ヤマネコ目線

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徴兵制の是非と肯定する心理への考察

 参政党の候補者、さや氏が「核武装は安上がり」と発言し、同時に過去に徴兵制を肯定していたことが注目されている。

(記事題:参政党候補のさや氏「核武装は安上がり」 入党前には徴兵制に言及)

 「自分は関係ない」人間に限って徴兵制を肯定するものだな。もし彼女の子供が男子だったらどうするんだろう。喜んで兵士としてお国へ差し出すよな・・・?これは皮肉なのだが、この手の女はそこで本当に喜んで差し出しそうな思想的グロテスクさがあるので怖い。

 参政党の政策と核武装・徴兵制は関係ないと聞いたが、ではこの候補者の主張は何なのか。候補者も神谷代表も好き勝手言って後は知らぬ存ぜぬか。Sputnikの取材の件も知らん顔だし、こんな無責任な輩に国政を任せようという奴の気が知れない。

 核武装論についてはアメリカの核の傘から出たい、アメリカから真の独立を勝ち取りたいというなら必要だろう。ウクライナ戦争を見れば、核を持たない国がいくら努力しようが核を持つ国に侵略され得る現実がある。それでも日本においては憲法違反であり、核武装論は道義的に許されないという意見が多い。ゆえにアメリカに安全保障を頼る現状は変えられない。

徴兵制の是非

 そもそも論として兵役を強制的に課すことは憲法違反である、という解釈が一般的。だからこそ参政党や自民党憲法改正にこだわるのだろう。参政党の場合はこれ以外もいろいろと酷いが。

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何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

日本国憲法第18条 

 石破総理も「兵役は苦役ではない」と主張していたように思うが、何が苦役で何が苦役でないかを決めるのは政治家や国家・行政ではない。三権分立で言えば司法の領分であり、なおかつそれは国民の意思を汲んで決められるべきだろう。

 現在、徴兵制が広く行われていないのは戦争が高度化し、人材育成や1人あたりの装備にお金がかかるようになったからである。無線1つ使えない上にやる気も無いバカをいくら集めても有効な戦力にはなり得ない上に金がかかるだけ。だからこそ量より質重視で志願制になっている。一方でロシアによるウクライナ侵攻を受けて徴兵制を復活させた国もある。

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 現在、自衛隊は人手不足に陥っている。このまま少子化が進めばさらに人手不足は深刻化するだろう。兵士の質も何も根本的に人手不足となればお話にならないし、外国人に国防を任せる訳にもいかないとなれば、徴兵制を敷いてでも人手を確保しようと考える政治家が出てきても不思議ではない。

(記事題:2万人足りない……。自衛隊の深刻化する人手不足)

 しかし、徴兵制を敷くとますます子供を産むこと自体を敬遠する人間が増えるのではないか。安易な徴兵制は大衆の意識を少子化へと加速させるだろう。そもそも自衛隊の人手不足の原因が何なのかを究明し、改善することが先決。特に待遇とセクハラ・いじめ問題。

 結局、「少子化で人手不足だから徴兵制」は場当たり的な政策でしかなく国民感情を悪化させるだけであり、私は反対である。このまま少子化が続けば日本人そのものの存亡が危うく、徴兵制を敷こうにも徴兵できる子供すらいなくなる。政治が根本的におかしいのをどうにかしなければ先は無いし、目先の利益や気持ちの良いことだけで参政党のような政党に飛びつけば、日本人は民族・国家としての寿命をさらに縮めるだろう。

 で、今度は党首が徴農制を訴えているのであった。

 神谷氏は元自衛官らしいが調べてもあまり詳しく出て来ない。とはいえ強制的にやらせてもやる気のない奴はダメだと言うことは分かっていそうなものだが、農業ならそれでも通用すると思っているのだろうか。農業も肉体労働メインでやる気の無い奴はダメだぞ。

それはそれとして

 「もし徴兵制になったら俺は喜んで行くよ!」と言う奴がちょこちょこいる。こういう人間の心理は何なのか

 徴兵制が敷かれれば「行くよ」も何も「行くしか無い」訳だが。そこまでやる気があるならなぜ今、自衛隊に志願していないのか。後に続く言葉もなかなか香ばしい。「こういう事を書ける自分」に酔っているに過ぎず、精神的に未熟。

 動物が自分の子供や卵を守るのはある程度は本当だが、それと人間の社会性を並べられても困る。自然界は残酷で時として人間以上に親子関係で非情な場面はあるし、他の個体を強制的に使役することもない。こういう人間は動物的価値観でしか人間社会を考えられないのかも知れないが、人間社会はもう少し複雑なのだ。

 結局こういう連中は自分に酔っているだけで、そのくせ自衛隊に志願するだけの行動力も覚悟も無く、ただ徴兵制によって強制的に現状を変えられることを希求しているに過ぎないのではないか。そこに日本という国家ないし日本人という民族性にすがるしかない自尊心の低さ、美化された戦争犠牲者への憧憬が加わって、徴兵制によって戦う場さえ与えられれば何者か(=英雄)として死ねるとでも思っているのだろう。そんな世捨て人のお遊びのために徴兵制など導入されてたまるか。

 現実の戦争は英雄になれる者などほんの一握り、それも勝った側であって、英雄の像の下には無数の無名のまま散った兵士たちが居る。カッコつけて「戦って死ぬぞ」などと言っているが、思うように「戦って死ぬ」が出来ると考えているのなら甘すぎる。そういう人間にはぜひ以下の動画を見て欲しい。

 ドローン相手でなくとも砲撃で死ぬ、爆撃で死ぬ、地雷を踏んで死ぬ、負傷からの感染症で死ぬ、投降したのに拷問されて殺される、味方の誤爆で死ぬ、ブービートラップで死ぬ etc.、戦場には非英雄的な死が溢れている。人間同士が殺し合いをする以上、そこに手加減できる余裕は無い。なりふり構わずどんな手を尽くしてでも殺し合うのが戦場であり、「戦って死ぬ」などと抜刀隊を思い描いている人間は、いざ戦場に駆り出されれば失望のうちに死ぬことになるだろう。

 というかこういう輩、前線に駆り出させるだけの体力すら無さそう。補給や負傷兵の搬送の手伝い、SNS工作などをやらせた方がまだ使えるのでは。今どき情報戦だって立派な戦争であり、最前線で刀を持って突撃するだけが戦争ではない。

 部屋の隅でガタガタ震えて、ドローン相手に命乞いをする心の準備はOK?

manuller416.hatenablog.com

 あーあ、くぅじーに見つかっちゃったね。

ちなみにこれも

 憲法違反です。思想・良心の自由の侵害。思想統制言論統制表現規制、ここまで目に見えてヤバい政党初めて見た(見たくなかった)。右寄りの人間から見ても終わってる。公務員として憲法尊重擁護義務違反では?外国人にルール守れと言う前に憲法を守れ。

mainichi.jp

 基本的人権に関する様々な重要項目が削除された参政党の憲法改正草案について神谷氏や支持者は「あくまで叩き台」などと嘯いてみせるが、こんなことを言い出す人間が「当たり前のことは省略しただけです」などと言って信用できるだろうか。当たり前のことを尊重していないではないか。

余談その1:アホの言い分

 JapanNewsNaviに関連してbotネットと見られるアカウント群が発見されたが、その中の1人ではないかと疑わしいアカウントがこんなことを書いている。

 うーん、いかにも視野が狭い意見というか、「だったら対案出せよ」と言えば相手が黙ると思っているタイプの頭の悪さ。参政党の出してくる案よりも良い制度はすでにあります。現行憲法とか現行法って言うんですけど。

 大体、悪いものを悪いと言って何が悪いの?そこに対案を示すことは必ずしもセットではないよ。もしセットであるべきと言うなら、外国人の悪口を無限に言ってないで「もっと良い外国人」を連れて来い。

余談その2:リベラル側の思い上がり

 志葉玲氏が以下のような投稿をしていて「ああ、思うようにいかない時の毒親*1みたいだな」と思ったなど。

 特に「あんたらのために」という言葉に物凄く凝縮された上から目線や蔑視を感じるのは私だけだろうか。「あんたら」という二人称自体がまず相手を対等に見ていない感じが強いというか、後に続く言葉も「あんたらみたいなもんのためにこっちは朝から晩まで働いとるんや。こっちがこんだけしとるんやからあんたらも私の言うことくらい聞け!」、くらいにしか見えない。さすがモノホンのリベラルさんは違うわ。

 「あんたらのため」と言いながら相手の気持ちや求めるものは一切考えず、独善的に自分たちの理想を押し付けるだけでは嫌われて当然だとなぜ理解できないのか。いくら頑張ってもその方向性が間違っていれば無駄。間違った方向に頑張った結果が今の有り様。

 それもこのご時世、高まって当然のナショナリズムについては至極当たり前の感覚ですら全否定し、日本人の大衆の中にいる弱者を無視し続けて大衆からの支持を得られる筈が無いだろう。今や日本人の弱者すらリベラルを味方であると見なしていない。

 「リベラルのせいで参政党の支持者が増えた」というのは半分間違い、半分正解で完全にお門違いという訳でもない。半分はリベラル以外の国民の愚かさのせい、もう半分は「リベラルが批判する勢力が正しい」とさえ大衆に認識させてしまったリベラルの愚かさのせい。

 引用RTに「自分の愚かさや弱さを棚にあげて」と言うが、自分たちは賢くて強いと思っているのか・・・?そういう所だぞ。

*1:子供にとって害悪をもたらす親