ヤマネコ目線

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外国人だけができる「年金払い戻し」とは

 一部まとめサイト等で外国人が利用できる脱退一時金制度が取り上げられ、外国人優遇ではないかとの批判がある。私も厚生年金を脱退したいのは山々なので気持ちは分からなくもないが、どういった制度なのかを知ってから批判するべきだろう。

 先に書いておくが私は外国人を優遇することには反対であるし、同時に不当に搾取することにも反対である。

脱退一時金とは

 詳細は以下の日本年金機構のページを見てもらうとして、簡単に要約すれば

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html

  • 外国人が日本から出国して2年以内であれば過去に払った年金を返してもらえる
  • 返してもらえる金額は過去60ヶ月分まで
  • 返してもらった期間は年金の受給資格(10年)のカウントから除外される
なぜ外国人は脱退一時金をもらえるのか

 自分の国へ帰ってしまえば日本の社会保険の枠から外れることになる、将来的に日本政府から年金をもらえる見込みは無い。なので日本に在留した期間中に支払った年金保険料は返してもらって当然とも言える。

 それも先に書いた通り、返って来るのは過去60ヶ月分(=5年)分まで。10年日本にいて10年間働きながら年金保険料を納めたとしても、途中で一時帰国して申請しない限り5年分は日本政府に没収される。そのうえ先の計算式を見れば分かる通り払った額100%を返してもらえる訳ではない。

本当に「外国人優遇」なのか

 これはむしろ外国人優遇とは真逆。本当に帰国を前提として外国人労働者を受け入れるのであれば、年金を受給する見込みが無いことは明らかなのだから最初から年金保険料を徴収するべきでは無い筈だ。

 しかし実際、外国人労働者であっても毎月日本人と同じ基準で重い年金保険料が課されている。年金の財源のために取るだけ取って全額は返さない、2年以内に申請しなかったら時効なので日本政府が持ち逃げすることも可能性としては出来る(外国人はそう甘くは無いのでしっかり申請するから可能性としては低い)。

 実にいやらしい話である。取るべきでないものを取り、勝手に都合の良い返却基準を設定し、相応の事務処理の手間と費用をかけて後から年金保険料を返却するなどという手法を取っているのだから。この点について日本の行政を批判するのなら理解できるが、「外国人優遇だ」などと言って外国人を批判するのはお門違いも甚だしい。

 ちなみに「過去60ヶ月分まで」というのはこれでも延びた方で、2021年4月1日以前までは過去36ヶ月分=過去3年分までだった。技能実習生は大体5年くらいいるのでうっかりしていたら丸々2年分払い損をさせられるという悪辣さ。払い損世代としても年金制度にはほとほと反吐が出る。

実務者としての愚痴等

 出国前に脱退一時金の申請をすることは可能だが、その場合は自治体の転出届の提出を求められる。この点について政府行政がどこまできちんと「確かに出国したか」を確認しているかが非常に怪しい。隣町に引っ越しただけで申請が可能になっているかも知れない。

 かなり前に帰国した技能実習生の年金定期便が料金後納郵便で届くことが多々あり、日本年金機構が当該実習生について帰国しているかどうかを把握できていないのは明白である。マイナンバーが導入されて以降もこの傾向は変わらない。一体マイナンバーは何の役に立っているのか。この点においても日本の行政は性善説的な運用形態であり甘い。そもそも余計なものをバンバン料金後納郵便で送って来るのをやめろ。下らない広報パンフレットなんかホームページにでも載せておけ。

 これから外国人は否が応でも増えていくだろう。その中で制度設計を見直すべき点は多いのではないだろうか。日本人と同じような感覚で性善説的な制度設計をすれば、制度の穴を悪用されて思わぬ損害をもたらすことになる。そうでなくとも今、日本人そのものに余裕が無くなって来ている。余裕が無ければ道徳心も倫理観も薄れつつあり、あらゆる点で性善説を排除するべき時期が来ているかも知れない。

脱退一時金Q&A