Xで食料品消費減税にかかる弁当屋の回答が叩かれていたが、これについて考えておく必要があると思う。果たして、「消費税減税があっても値段を下げない弁当屋はズルい」のか
下がるものと下がらないもの
まず第一に、このお弁当屋さんの投稿にもあるように材料費が高騰しているのでそれがどうにかならない限り価格が下がることは無い。これは何も弁当屋に限った話ではない。
最終的な成果物(=食料品)にかかる税率だけが1%になったとしても、その食料品を作るのにかかる物品や包装材にかかる税率が変わらず、石油危機や人件費の高騰、円安の進行で食料品の生産にかかるコストが上がり続ける限りはそこに値下げできる余裕など存在しない。
この点、自民党内や野党から問題視されている財源の話は正当性がある。日本政府は財政状況が悪い。その中で減税するために何を減らすかの議論も無く、国債(=借金)に頼ってまで減税をすれば諸外国からはますます日本政府の財政健全性、高市政権、自民党の経済感覚を疑われて円安になる。つまり材料費がさらに高騰する。
円安は食料品以外にも影響があるので、実際にやるかどうかは別として下手な減税政策で円安を加速させてしまうと減税効果を相殺するか上回るペースで物価高が進む。これでは減税は意味をなさない。河野太郎や石破前総理らが「財源論なき減税は無責任」と批判している理由はそこである。「財源はこれから探します」というのが高市政権の論だが、市場はこれを甘く見てくれない。
第二に、既に企業はコストを吸収する努力をして来たという事実がある。「安い方が売れる」というのは売る側も分かっている話で、それでも値上げが止まらないのは企業努力でその辺りがどうにもならなくなっているから。
加えて政府からは賃上げ要請があるので企業は今まで以上にコストと人件費の板挟み状態になっている。人件費を上げるためには販売価格を上げるしかない。社会保険料だってどんどん上げてくれるので企業が払うお金も増えている。
どの企業も慈善事業でやっている訳ではなく、存続のためにはある程度の利益が必要であって、その中で消費税減税だけで値下げが出来るような余裕はもはや残っていない。
第三に、政府は既にインボイス制度という実質的な消費増税を小さい事業者に対して行ってしまった。売上高がたかだか年間1,000万円程度の小さい事業者からもみっちり消費税免税分を徴収し、日本国民もその大半が益税批判、「免税事業者なんてズルい」と言ってその方針に賛同した。その結果、小さい事業者はコスト吸収のための余裕を奪われ、免税事業者以外の事業者も巻き添えで経理業務のコスト増加を強いられて原価高騰の影響をやわらげる部分が消し去られてしまった。もっとも、企業単位で見れば年間100万円ぽっちの益税とやらがあっても今の物価高騰には焼け石に水だろうが。
「消費税減税されたら食料品も何%か下がる筈」、などと小学生のような単純な思考回路をしていないで、いい大人だったらここに挙げたような要素を加味してこの先のことを考えるべき。間違っても値下げをしない弁当屋を叩くべきではない。暮らしが良くならないのは弁当屋のせいか?値下げしない事業者のせいか?いいえ、いつまでもどこまでも誤った政治を続ける自民党、高市政権と、そんな政党に300議席も与える国民が悪い。
そもそもの基本として
教科書的な話をすれば「デフレの時は減税、インフレの時は増税」が基本である。日本について言えば真逆、「デフレの時に増税し続けてインフレの時に減税をしようとしている」。まったくもって謎の国。
あくまでこれは教科書的な話であって、「インフレの時に減税するとかえって物価高を招く」理由は、インフレ時には給与も物価高騰に応じて給料が上がるのでそこで減税してしまうと可処分所得*1が増え、消費が促進されて物品の供給不足が加速し、バランスを取るために価格が上がるから。
しかし現実を見れば日本はスタグフレーション、物価高騰に給与水準が追いついていない。物価高騰を抑える、あるいは可処分所得を増やす方策は必要だろう。その1つの手段として減税は一概に否定すべきものでもないと私は思う。特に消費税は逆進課税(貧しい者ほど相対的に負担が大きい)なので。よく「金持ちほど恩恵が大きい」だの「老人からも取れる税なのに」だのという意見もあるが、国民を金持ちと貧乏人、若者と老人に分断するために意見にしか見えない。一般論として消費税の性質は逆進的。
ただし、やるとすれば「食料品だけ2年間」ではなく一律減税で恒久的なものにするべき。インボイス制度制度もただちに廃止。でなければ税制がより複雑になり経理コストが上がってしまう。減税の財源もよくよく議論して用意しなければ円安を加速させてコストプッシュ型の物価高を加速させてしまう。これを考えてやらなければならない。
残念ながら高市政権にそのような頭は無いし国民の大半は「難しいことわかんない」でこの流れに無頓着。自民党内から挙がる懸念の声も「自民党内の反日勢力が喚いてる」程度に受け止められている。このまま行けば「こんな筈じゃなかった」、「騙された」と嘆く羽目になるだろう。で、そこからさらに参政党のような質の悪い政党に支持が移っていく。度し難い。
「『だまされていた』といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。だまされるということそれ自体がすでに一つの悪徳なのである。」
伊丹万作「戦争責任者の問題」より(青空文庫)
為替対策については出来るならそっちの方が効果が大きいと思うが、残念ながら介入にも限界はあるし市場原理には逆らえない。円安になる根本的な原因が解消されない限りは円安傾向は続くし、それは小手先でどうにか出来るようなものではない。
仕入れ税額控除の問題
消費税減税については仕入れ税額控除の差額も問題になる。例え話をGeminiに作ってもらったのでまず、これをベースに考えてみよう。ここでは分かりやすく軽減後の税率を0%としている。

ここだけ見ると還付金が発生している(上の例では納めるべき消費税がマイナス50円)ので「やっぱり得するんじゃん!」と思うかも知れないが、還付金は「本来だったら払わなくて良い税金を払ったので後から返してもらえます」というお金。それも返してもらえるのは確定申告をしてからの話。
確定申告をして還付される金額が決まるまでずっとこのマイナス分を企業が立替で負担することになる。本来は払わなくて良い筈のお金を払わされて1年くらいずっと返してもらえない状態。企業単位となるとこれがもっと大きい金額で起きる。100万200万、小さい事業者ならこれだけで資金繰りが悪化する。街の小さな弁当屋にそれだけの負担を受け止める余裕などそうそう無い。
当然ながらそこに値下げをするだけの余裕など出てくる筈もなく、むしろ「値上げしないために値下げしません」と言わなければ経営が危うい。
還付金については職業柄、たまに外国人労働者から「私は還付受けられないの?」と聞かれることがあるのだが、まず払ってもいない税金について還付を受けることは出来ません。日本人でもこんな基本的なことを理解していない奴はたまにいる。「何か知らんけどお金貰えるらしい」程度の認識しかない。嘆かわしい。
Z世代の価値観
元ジャングルポケット斉藤氏による性的暴行事件の判決について、Z世代(自称)のアカウントが「口封じに殺した方が量刑軽かった説ないか」などと投稿して話題になっていた。
性的暴行や殺人の是非を刑期の長さだけで量る価値観は道徳心や倫理観を著しく欠いている。その損得勘定が妥当かどうか以前に人として終わっている。その上で損得勘定の面でもバカげた考えであると言わざるをえない。
Z世代皆が皆このような価値観では無い(あってはならない)とは思うが、このような冷酷なまでの損得勘定のみで物事を見始めたのもZ世代であり、今後の社会の行方が怖い。
肝心の?損得勘定についても甘い部分がある。性的暴行の有無は検死で明らかになるので相手を口封じで殺害したからと言って罪に問われない訳ではない。もちろん法定刑も変わってくる。
- 不同意性交:5年以上20年以下の有期拘禁刑
- 不同意性交等致死傷罪:無期または6年以上の拘禁刑
殺意が認められた場合には殺人罪とあわせて死刑もあり得るだろう。この辺りの解釈は学問的には分かれているのだが、逆説的に考えれば不同意性交等致死傷罪には死刑が無いため、殺人罪が同時に適用されないとすれば「殺意をもって性的暴行を加えてから殺した方が得」になってしまう。なので性的暴行に加えて相手を殺害した場合、殺人罪が適用されない道理は無い。明らかに量刑は重くなる。
闇バイトで強盗を働いたりする若者も「強盗で1,000万手に入れて懲役2年なら年収500万」などという計算をするらしい。あまりに損得勘定が甘く人間らしさが無い。私や私より上の世代でもあまりに考えが無く無知蒙昧で家畜のような人間が大勢いるが、それに輪をかけてある種、思考の短絡さが動物レベル。
強盗殺人は重罪で死刑もあり得るのだが、闇バイトの指示役に上手い話を持ちかけられてほいほい乗せられるのだろう。世の中そんなに甘くありません。甘くない世界だからそこで賢く生き残るために教育や道徳、倫理が必要なんです。
原爆投下を「無かった」ことにしたい人たち
「原爆投下は実は無かった」というデマが一部で広がっているらしい。NHKが報じている。こんなことをいい歳した大人が広め、いい歳した大人が信じてしまう社会、もはや底が抜けている。
何故このようなことを言い出したかと言えば、核武装論を推し進めるためだろう。「日本は世界で唯一の被爆国であり、その凄惨さを世界に知らしめて核廃絶を訴える平和国家として核武装は許されない」、という論調が核武装論者にとっては邪魔なのである。なので無かったことにしたい。AIも駆使して適当なことをSNSで流布する。
引用ポスト2件目、自称近現代史研究科、林千勝氏は「(原爆投下は)壮大なプロパガンダ」と言っているが、一体どちらがプロパガンダなのやら。少なくとも私は「原爆投下は無かった」などと抜かす方が荒唐無稽なプロパガンダであると思う。ちなみに歴史研究家を名乗っているが、林千勝氏は東京大学経済学部出身である。
それにしても、東大出身というだけで一定の信用が得られることを悪用する者のなんと多いことか。東大出身というだけでは値打ちがない。私のごく身近にも東大卒がいるが、最終学歴があるかどうかと人間として出来ているか、社会的に成功できるかどうかはまた別の話。
話が逸れたが、この話について想起されるのは「ホロコーストは実は無かった」という言説。何かにつけて不都合なことは無かったことにする勢力が出てくるようだ。いずれにしてもバカげた話だが、「こんなこと信じる奴居ないだろう」と思って放置するのも良くない。
「嘘も100回言えば真実になる」
これはナチス・ドイツの宣伝相、ヨーゼフ・ゲッベルスの言葉とされる。人間はそれほど単純ではないものの、論理的な思考にも限界があることも事実。バカげた嘘を100回つかれれば100回否定しておく必要がある。最近は「嘘を訂正するためにはそれなりのコストがかかるので、逆手に取って嘘を訂正し切れないレベルでつき続ける」というろくでもない手法が横行しており、日本国民は日本国民で論理的思考や批判的な思考を放棄し、調和を愛するがあまり自己家畜化しているので油断できない。
gigazine.net
余談:核武装に関する私見
核兵器の抑止力については様々な意見があるが
- 保有しようとするとイランのように事前に攻撃されるリスクが高まる
- 保有してしまえば絶大な抑止力を発揮する
は両立する。どちらか一方だけで是非を語ることは片手落ち。
では実際に持つべきかどうかについては慎重に議論する必要がある。保有に向けて動き始めればイランのように事前に叩かれる可能性があるのは事実。道義的にも保有するべきではない。小泉進次郎のように表立って核保有について肯定的な意見を述べれば諸外国、特に中国は警戒を増す。高市政権はやり方が露骨過ぎる。
実際は米軍基地に核兵器を配備してもらう核共有くらいが現実的ではないか。非核三原則が憲法に明記されたものでは無い以上、憲法改正なくしても「米軍基地は国内にあって国内にあらず」ということで配備する余地はあるはず。
しかし、そうなれば中国版のキューバ危機となって地域の緊張感は増す。本当にそこまでしなければいけないほど日中、米中の緊張感は増しているのか。米軍基地が存在するだけでは不十分なのか。
一方で、トランプ政権を見てアメリカに抑止力を依存することの限界を感じるという意見も一理ある。核共有しようがそれはあくまでアメリカの物。これが将来どう転ぶか分からないのはリスク。もし中国が米軍基地を避けて日本を攻撃し、米兵に1人の死者も出なかった場合、果たして米軍は、アメリカの世論はどう動くか。
「対米従属を脱するための核武装」という話もあるが今の日本、自民党による政治を見ていると核武装しただけでは対米従属から脱することが出来るとも思えない。政治家にも国民にもどこまでその気概があるのか。実際に対米自立はどこまで可能なのか。
そこからどういった立ち位置を目指すのか。自立した「戦争ができる国」になったとて、依然としてアメリカに依存して戦争の駒として使われ、自衛隊に死者が出るようなことになっては何をやっているか分からない。
この辺りの議論を深めることなく安直に核武装論に走ることは許されない。私の意見としては今やるなら「保有する過程で叩かれる」心配の無い核共有。それも秘密裏に進めるべき。間違ってもどこぞのアホボンのように公の場で「タブーなき議論を」どうこう言うべきではない。時すでに遅しだが。
あと私は「米兵や白人なら無罪」などというエセ愛国者、エセ保守、エセ右翼ではないので以下のニュースについてはっきり書いておく。このようなならず者は米兵だろうが白人だろうが日本からつまみ出せ。きっちり報いを受けさせろ。
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