国内の自治体をアフリカのホームタウンに認定する事業を巡ってSNS等で誤情報が広がっている。これを受けてナイジェリア政府はHPの記載を変更した。マスコミや政府はSNSが悪い、誤解するほうが悪いで済ませたがっているが、それで良いのだろうか。
そもそもJICAの脇が甘い
まず「姉妹都市」ではなく「ホームタウン」という語句を使ったのが間違い。日本人には「ホームタウンと書いているけど実質は姉妹都市で交流事業です」という本音と建前が通用しても、アフリカでは通じないだろう。それが理解できない時点でJICAのこの件に関わった人々の知能の程度を疑わざるを得ない。用語を正しく使え。
「ホームタウン」の一般的な意味は本拠地、生まれ育った町ないし現在の居住地であり、英語で「Hometown」と書けばそれが海外にどう伝わるかは推して知るべしである。国際的な業務を請け負う機関で働く人間がこのような間違いをうっかりでしてしまうとは考えづらく、ここで「JICAは移民政策を推進しようとしている」と捉えられても仕方ない。
それがアフリカの国の政府声明やメディアでも取り上げられた訳で、デマだ誤解だというが国民が誤解しても仕方ないような状態にあったことは確実。そんな状況を作り出した責任がJICAにあることは確実ではないか。「誤解した国民が悪い」、「誤情報を拡散したSNSが悪い」と責任転嫁するのは無理がある。
一部の専門家は「アフリカの政府発表やメディアは誤情報だらけなのでもともと信用できないもの。それが常識」と言ってのけるが、それが常識ならばそういう国相手により慎重かつ確実なやり取りをするべき。第一、一般人は「そんなこと言われても知らんがな」としか。
そして海外で一度拡散された情報が簡単に訂正でき、海外の、それもアフリカの人々に日本的な本音と建前の話が通用すると思っている時点で頭が悪い。既に誤解をもとに日本に移住する気満々のアフリカ人が激増していることだろう。この責任を一体誰が取るのか。
この考えの甘さは現地の汚職政治家、日本国内の自称リベラル連中にも利用されかねない。JICAも外務省も情報の訂正はするが誰が責任者でどう責任を取るのかの話が一切出てこないのは一体どういうつもりか。事態を軽く考え過ぎでは。あまりに無責任で不誠実。こんなことだから政治行政への不信感が募り、排外主義が蔓延し、デマが拡散しやすくなるのだ。それとも、「自分たちは悪く無い」とでも言うつもりなのか。
電凸した人がいたのでそれも紹介する。
JICAに電凸しました。
— りんカス (@oZkZqQQkf170830) 2025年8月27日
ご丁寧に折り返しして来てくださって、昨日の木更津市の対応と同様にとても真摯にご対応くださいました。
個人的に伝えたいこと、聞いてみたかったことをお話しすることができました。
雑ですが健忘録としてツリー表記でまとめておきます。
↓つづく
上の投稿ツリーをざっと要約すると
- 「帰国を前提としている」が失踪に対する具体的な対策は決まっていない*1
- ホームタウン認定の対象自治体での住民に対する事前説明は行っていない
- 相手国から移住促進と捉えられたのは英語でコミュニケーションを取る上での齟齬の可能性が高い
- 協定を結ぶ上で文書の取り交わしはしなかった
- 一般企業では取り決めをすると文書に残すが?→回答無し
という感じ(元投稿は上の引用をクリック)。これだけ見てもどれだけいい加減なことをしているのかよく分かる。何から何まで甘く、特に対象自治体の住民にすら説明がろくにされていないのは一体どういうことか。知らない間に勝手なことを進めようとすれば信用を失うのは当然。
これを利用して参政党のような勢力は国内での排外主義をますます煽り、情報商材を売り、海外勢力がいるならば分断工作に利用するだろう。結局JICAのやらかしは良からぬ勢力に利用されている。もはや脇が甘いとかそういうレベルではない。白紙撤回しろとはいうまいが、責任者の処分は必要ではないか。電凸されて業務がーだの何だの言ってる人もいるが、これは行政の怠慢のツケ。自業自得。
もう1つの信用できない要素
今回の騒動を見てまず最初に感じたのは、実際はともかく「とうとうアジアから奴隷を連れてこられるだけの国力すら無くなってアフリカからの”人材”確保に乗り出したか」という印象。
これまでも日本は安い労働力のために技能実習という形式で中国や東南アジアから出稼ぎ労働者を募ってきた。しかし近年は円安が進行し、日本の労働環境の劣悪さが周知されはじめ、東南アジアの国々が発展してわざわざ他国へ出稼ぎに行く理由が減ったことなどもあって現代の奴隷集めは難航しつつある。現実としてベトナム人にすら見向きもされないような国になってしまった*2。
次の”人材”はカンボジアから連れて来るか、バングラデシュからにするかなんて話がある訳で、そこでアフリカでの”人材”確保がどうのと言われると個人的には勘ぐらざるを得ない。というかはっきり言って経済界の意向でそういう下地を作ろうとしているようにしか見えない。いっきにやれば反発が強いのでまずは「これは国際交流ですよ」と慣らしをしているのでは。
実際、21日の記事ではエジプト人の日本における雇用について東京都とエジプトが覚書・合意書を締結している。
日本では既に実質的な移民政策が展開されている。玉木氏の指摘通り育成就労(技能実習の後継制度)から特定技能1号、2号と在留期間は更新可能であり、働きながら10年日本にいれば永住権申請が可能となる。よほど素行が悪いとか経済的に自立していないといった瑕疵がない限りはおおむね認められるのではないか。政府自民党はこれを移民政策ではないと言うが、実質的には移民政策である。
現在の外国人受け入れは、簡単に言うと以下のとおり。
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) 2025年8月29日
・育成就労制度(最低3年の研修、かつての技能実習制度)
↓ 移行可能
・特定技能1号(在留期間は通算5年)
↓移行可能
・特定技能2号(在留期間の制限なし、家族の帯同可能)…
労働力が不足していることは事実にしても、だからと言って安直に最低賃金で働いてくれそうな外国人を国内に増やし続けるのは正解といえるだろうか。多文化共生社会とは言うがそれは言うほど簡単ではない。イスラム土葬問題のように実際に摩擦は起きているし、外国人観光客相手ですらトラブルがある。そんな中で欧州における移民問題なども見れば、移民政策に警戒心を抱くのは当然だろう。
加えて技能実習生制度は毎年数千人が失踪している。監理団体や機構の人ともこれについて会話したことがあるが失踪した外国人の居場所は誰も「分からない」。場合によっては悪徳業者につかまってブラック企業へ斡旋される者もある。たまに訳のわからんところから「外国人材の紹介をしておりまして」などと本当に電話がかかってくるのだが、おそらく失踪者はそういう所で搾取されているのだろう。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001425159.pdf
こういう状況があってなお「失踪の対策は考えていません」とは一体どういう了見か。意図して失踪者を野放しにしている、までいかないにしてもあまりに無責任。こうした「適当に良さそうなアイデアを実行はするけどどうなっても責任は取らないし後始末も知らない」、といった無責任極まりない態度が、政治行政への信用を損ない続けている。ソーラーパネル問題なんかも良い例だ。釧路湿原なんか開拓させて一体誰がどう責任を取れるのか。
なお、技能実習制度は建前として実習計画という技能習熟の計画、それに関する日誌をつけ、相手国の送り出し機関や日本国内の監理団体・機構も関わってがっちりやっているので、どこの馬の骨ともわからんクソ電話営業から素性も分からなければ合法的に在留しているかも分からない外国人材とやらを採用することはあり得ない。不法滞在者を身分確認もせずに雇って問題が起きたら企業の遵法意識が問われる。
ちなみに私が聞く限り技能実習生の失踪が一番多いのはとび職。中には技能実習生として雇った全員が失踪した事例もある。1人が「もっと儲かる仕事紹介するよ」などという甘言に乗せられて失踪し、その失踪した人間がもといた企業の技能実習生を「もっと良いところ見つけたからみんなも来いよ」と芋づる式に引っ張っていってしまう。
あとミャンマー人は今、軍事政権で帰国すると命が危ぶまれるとか何だとかで本来は帰国するべきところ、特定活動として在留を許されている人が多い。母国の事情が事情なので気の毒だが、結局彼らもなし崩し的に定住することになるのではないか。
デマを拡散するSNSアカウントに注意
デマです。皆さま騙されないようにしてください。
— 高橋みつお 🌾 参議院議員(兵庫選挙区) TAKAHASHI Mitsuo (@takahashimitsu7) 2025年8月27日
JICA海外協力隊も地域おこし協力隊も日本人です。ここにある協定は両者の経験者の連携、その定住・定着の促進を通じて地域の活性化を図るもの。外国人の定住や定着とは全く関係ありません。
アフリカホームタウンの件を悪用した情報拡散にご注意を。 https://t.co/cehBw20JIW

高橋みつお氏が指摘している通り、この夏樹蒼依なるアカウントが広めているこの内容は日本人の定住・定着を促進するという内容を意図して分かりづらく切り取り、拡散しているもの。こうした青バッジ付きでデマでインプレッションを稼ぐ悪質なアカウントをフォローするべきではない。

NewsSharingやJapanNewsNaviなどはニュースサイトに見せかけた悪質なインプレッション稼ぎ・アフィリエイトブログであってまともなメディアではない。コミュニティノートを付けられる回数も多く、発信内容の多くは扇動的で事実に即していない。
ホームタウンに関するデマも大元をたどれば火元は参政党支持者を名乗るアカウントらしく、意図して煽っている節は否めない。JICAのことを考えればそのような隙を与える方も悪い。
デマと切り捨てるのは簡単だが
今回の件は一旦「デマだった」で終息で良いと思うが、ホームタウンどうこうが瞬く間に拡散した上でJICA解体論まで出て来た背景には日本の政治行政への強い不信感がある。政府行政の発表が信じられない、何か悪意をもった裏があるのではと勘ぐらないといけないような政治を普段からしているから、こういう時に誤情報がまたたく間に拡散されて極論が出てくる。
一部の専門家はJICA解体論などを海外による情報撹乱、分断工作と見ているようだが、それはそれで陰謀論に片足突っ込んでいるように思う。すでに日本政府は普段の行いが悪すぎて日本国民からの信用を失っており、今回はそこでJICAが派手に自爆しただけの話。
「誤解する国民が悪い」で済ませるのも結構だが、もう少し自分たちの振る舞いを見直してほしい。
加えてあえてここで追記すれば、既に政治に対する不満が外国人問題へとすり替えられてしまった感があるのは残念。外国人は参政権を持っておらず、今の日本の有り様はすべて腐った日本の政治家と、それを支持し続けて政治を変えることを拒否してきた日本国民がもたらした結果である。外国人は根本的な部分では関係ない。すべて日本人が悪い。同じ日本人として誰が敵であるかを間違えてはいけない。
余談:外国人労働者は日本人の仕事を奪い得るか
外国人が最低賃金で働くせいで日本人の給与がなかなか上がらない、待遇改善が進まないという点では一理ある。一方で日本人は仕事を選ぶので、たとえ外国人がいなくなってもその部分を日本人労働者がカバーすることは無いだろう。
たとえば先に挙げたとび職なんかは、外国人がいなくなれば日本人でやりたい人間がいないので完全に職種として途絶えてしまうのでは。工場で何らかの製造にあたる人々も、農業で働く人も、建設現場で働く人もいなくなる。外国人を入れなければ事業として消えるものが多い。「そんなものは消えてしまうのが自然の摂理」と言うのは簡単だが、それでどうなるかを考えるとそれはそれで怖い。