石破内閣の記念写真とされるものがXで出回っており、石破氏の口が半開きであったり、閣僚の姿勢がイマイチだったり、そもそもライティングが横からだったりと残念な姿であったので「だらし内閣」なるワードが出ていた。
一方で官邸が出している写真と日経新聞の写真が明らかに異なっており、石破内閣の是非は一旦横に置いてその辺りを検証しておきたい。
まず日経新聞の写真。「だらし内閣」と呼ばれる原因となった1枚。確かに全体的にそういった印象を受けるというか、引き締まった感じが無い。右上のロゴは私が入れたものではない。元から入っている。
次に首相官邸公式の写真。三原じゅん子氏の顔を見比べると明らかに影が違う。ほかにも石破氏の口が開いている、開いていない、坂井学氏やあべ俊子氏らの顔に影が落ちているか否かなど、細かい差異がある。
日経の写真について一部では「まだ撮影準備が整っていない間に撮られた写真ではないか」との指摘があり、私もそう思う。プロが閣僚の顔に影のかかったまま写真を撮るとは思えない。何せライティングさえキまっていないのだから。
裏を返せば日経新聞の記者はあえて撮影準備が整っていない段階の写真を撮影し、どこからか分からないが拡散され、石破政権を快く思わない人間が印象操作をしようとしたのではないか。一般人の撮影でも主役の口が半開きになったような写真は使わないだろ。常識的に考えて。
投資家から嫌われている、経済界、竹中平蔵からも嫌われているとこういう今まで見たことも無いようなリークというかネガキャンが起きるようだ。こういったネガキャンに惑わされずに内閣の是非を判断したい。さっそく色々と裏切られそうではあるが・・・保険証廃止も堅持か。
官邸側の修正疑惑
「官邸の写真は写真でかなり修正されている」との情報もあるようだが、その根拠はズボンのストライプ柄の線幅が違うというものだった。しかし日経の写真と官邸の写真はおそらく撮影に使用されたカメラが違う。画角も違う。
上の写真2枚を石破氏が同じくらいの大きさになるように切り抜いて並べると上図のようになる。左右でズボンのストライプの幅は同じと見て良い。
また、色味が違うのはカメラのメーカーによるし、ライティングがちゃんとしている/していないの違いも大きいだろう。CanonのカメラとSONYのカメラではびっくりするくらい色味が違うので、それを知らないと「激しく編集してる」とあらぬ誤解をする。屋内ではライトの当て方1つで色味も変わりやすい。
上の写真2枚を一番手前の人物の足を基準とし、ほぼ同じ大きさにリサイズして重ねてみた。上の方にいる人物や階段の模様の角度などを見れば違いが分かりやすい。撮影場所の左右方向や上下位置も違うと思われる。
なお、色味はカメラメーカーによって違う。富士フイルムとSONYとCanonでは本当に全然違う。富士フイルムはフイルム再現が基本でニュートラルな色味は無理。SONYは良く言えばニュートラルに近く悪く言えば肌の写りが悪い。Canonはブライダル業界では定番と言われるほど肌の写りが良いが赤みが強い*1。
というか多少の修正くらいするだろ普通。宣材写真だぞ。足元の立ち位置の目印?の白いものを消して無いのが逆に不思議。
消してみた。左が足の間の白い目印?を消したもの。右が消してない状態。Photoshopを使えばこの程度は1クリックで出来る。
これに限らず、今どきPhotoshopやAIを使えば写真を悪いように改変することも可能だろう。編集した痕跡を見ようにもノイズだって後から乗せられるし、誤魔化したければ画像を縮小すれば何とかなる。
これからの時代、写真1枚、画像1枚で安易に判断するのがどれだけ危険かをよくよく認識しておくべきである。でなければ悪意ある人間に騙される。工作用のスパムアカウントにはAI生成された「地球上のどこにも実在しない」架空の人物の写真まで使われる時代。短いが動画生成も可能になって来ているし、通常の動画編集の技術も上がっている。洪水被害のニセ画像をAIで生成して拡散した事件もあった。目を引く画像や映像に飛びつかないように。
画像だけで判断するのが危険な別の例
今回は政治的な写真だったが、他にも陰謀論者の間で話題の「シェディング」とやらに関連する写真にも使いまわしというか、よそから勝手に引っ張ってきた写真で危険を煽る行為が見られる。以下はその1例。元写真はグロいのでぼかしをかけてある。
この画像、左側にある患部写真とされるものを検索すると以下のサイトに当たる。リンク先はグロい上にホメオパシーというエセ科学の紹介サイトなので注意。というかこのサイトも別のどこかから患部写真引っ張って来てそう。
掌蹠膿疱症?ひどい膿疱症が短期間で改善!/ホメオパシー | ホメオパシーとQX-SCIOで体と心の健康を取り戻す 東京新宿・千葉船橋
日付を見ると2022年9月20日なので、少なくとも「シェディング」なる概念が聞かれ始めたような最近ではないことが分かる。怪しい連中同士で画像を使いまわしてんじゃねーよ。
右側の患部写真は残念ながら元画像を辿れなかったが、同一人物が撮影した写真にしてはぼかしの上からも分かるように肌の色が全く違う。元画像では症状の進行度合いも明らかに違うし、撮影された背景も異なる。明らかに不自然であり、危険性を煽って陰謀論に引きずり込もうという悪意しかない。
そもそも「シェディング」なる概念もおかしい。反ワクチン界隈で聞かれ始めた言葉であり、曰く「ワクチンを打った人の近くにいるだけでも健康被害を受ける」というもの。中にはこれを理由にワクチン接種者の受診を拒否するようなクリニックさえあり、情報リテラシーもへったくれもない深刻な状態がある。ワクチン接種でそんな事は起きない。気にし過ぎ、逆プラシーボ効果、病は気から。
本当に体調が悪いなら下らない造語で自己診断していないでさっさと病院を受診するべきだと思うが、反ワクチン界隈にとっては病院=ワクチン接種者がいる場所なので近づけない、近づいたら危険ということになるのがなかなか悪質。
何もかも解明されつつあるこの時代、神秘性のあるもの、我々がまだまだ知らない、好奇心をそそられるものは無くなりつつある。だからと言ってありもしない事をさも事実かのように喧伝し、「隠された恐ろしい事実」を追うのは不健全である。そこには何も無い。そんなものを追っていると自分自身の健康を損ない、信頼を失い、お金も失い、何もかも無くなって好奇心に殺されることだろう。
なお、「シェディング」で検索するとトップにAmazonで売られている陰謀論の書籍が出てくる。悪辣な商売しやがって詐欺師どもが。