ヤマネコ目線

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年収300万円では外国人すら来ない

 書き散らし。GW明けのウォーミングアップ。Xで年収300万円が話題だったので何かと思えば日経の記事だった。それに何を勘違いしたのか「人件費圧縮を煽ったのは日経」、「それより低い給与で働いている人間もいるんだぞ」だのとリプがついていたのはお約束。

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問題はそこじゃない

 年収300万円が額面として少ないのは間違いないとして、問題はそこではなく為替。以前からちょくちょく書いているが、技能実習生は日本に来るためにドル建てで借金をしている。日本で働いてお金を稼ぐにしても、まず借金を返せなければ赤字。お話にならない。

 ここで円安が問題になる。1ドル100円と1ドル160円では完済までに単純計算で1.6倍の差が生まれる。特にここ最近の急激な円安は観光で来る外国人にとっては最高かも知れないが、日本で働いている/働きに来る予定の外国人からすれば穏やかでは無い。それも今、円はあらゆる通貨に対して安くなっている。ロシア人にセルフ経済制裁と揶揄されるレベル。

円安の被害

 「外国人が来なくなるならそれはそれで良いわ」と言う人もいるだろう。しかしそこには落とし穴がある。

 日本国内では人手不足が続くことに変わりは無い。特に日本人から敬遠される業種は絶対的な人手不足にある。そこで労働力の不足を補うためにはどのみち外国人を入れざるを得ない。決して、円安で出稼ぎ先として敬遠される状態でも外国人労働者流入が止まる訳では無い。技能実習だ育成就労だと言って政府も業界もむしろ外国人労働力の確保を加速させている。

 そこで円安が続けばどうなるか。優秀な人材の確保が難しくなる。当然である。待遇も悪い上に二束三文の給与で優秀な人材など来る訳が無い。少し前に技能実習に関する講習を受けたが、その時点で日本はベトナム人には見向きもされなくなっているという話だった。ド田舎で軍隊やめて何年間もニートしているような人にまで1軒1軒回って「日本で働いてみませんか」と声をかけている状態。昔は募集すれば向こうから群がって来たらしいがそれも今は昔。

 もはやこうなってしまうと質の低い、言い方は悪いが人間として、社会人として通用するかどうか怪しい外国人労働者しか日本に呼び込めなくなる。ベトナムどころかカンボジアなどから人材を探さなければいけなくなる。そうした人材は勤労意欲も低いし日本語学習に対する意欲も低い。しかし贅沢は言っていられない。落ちぶれているのはこちら、日本の方なのだから。

 それが育成就労からの特定技能で永住権を取得し、国内に定住するようになればどうなるか。その数が増えればどうなるか。治安は今以上に悪化するだろうし、いずれは彼らの声が政治的にも無視出来なくなる。

 外国人参政権は今は非現実的で私としても反対だが、このまま日本人が減って外国人が増え続け、マジョリティの座が彼らに渡ればそうも言っていられない。いずれ「ここは日本人の国」とは言えなくなる。もっともこの辺は、優秀な人材を確保できるか否か関係ないのだが。少子化を加速させて同時に外国人を増やし続ける限りは同じ。

 加えて観光立国(笑)にも良い影響ばかりでは無い。確かに円安ならば外国人からは観光に来やすい。それは事実。しかし「安い国」と見られることは必ずしもブランディングにとってプラスにはならないし、本来ならば来て欲しくないマナーの悪い客層も呼び込むことになる。それがオーバーツーリズムによる被害を助長させることにもつながる。金の無い奴に限ってマナーが悪いのはどこの国も同じ。

アベノミクスの幻影

 アベノミクスは円安誘導によって物価高を誘発して安売り合戦を終了させ、それに伴って賃金上昇を促し、物価も賃金も上がる好循環を作り出すことが目的であった筈だ。しかし実際に起こっているのはスタグフレーションであり、さらに政府は増税社会保険料の引き上げで賃上げ効果を減殺し続けている。惰性で続けて来たアベノミクスの路線すら自ら殺しつつある。

 結局、トリクルダウンも経済の好循環も何もかもまやかしだったのではないか。格差は拡大し続け、株高も経済の実態を伴っていない。バブル期の女性はお立ち台に立って踊っていた。今の女性は売春するために路上に立っている。何とも情けない。

 安倍氏は「美しい国」という言葉を多用していたが実態は酷いものだ。確かに美しい所はある。しかしそれを破壊して来た、しているのは他でもない自民党公明党。自称保守、自称愛国者はいくら保守を自称しようが実際は破壊の権化であり、守るべきものを守ることが出来るような道を選んで来なかった。むしろ破壊する道を選んで来た。何から何まで虚しいものだ。

 氏が生きていたらどう申し開きするつもりだっただろう。それとも巧みな話術とカリスマ性で誤魔化していただろうか。山上被告のやった事は許されないが、彼がやったことを非難する傍らで元総理大臣が韓国発祥のカルト団体と手を組んでいたことを軽視している奴らがいる。あれも私は許せない。

何か見かけた

 ちらっと見かけた話だが、アメリカでは医療保険料を月32万円払っているご家庭があるらしい。日本の国民皆保険制度のありがたさを痛感すると共に何か情けなくなった。この保険料以下の収入で暮らしている人が日本には一体どれだけいるか。向こうは給与も高いが物価も高いという点はあるにせよ、ここまで来ると本当に出稼ぎに行ける人が羨ましい。

 進め円安 火の玉だ!(玉砕)