ヤマネコ目線

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少子化なのに伸びるおもちゃ市場

 何となくテレビをつけていると、おもちゃの見本市のニュースで国内市場が伸びているという話が出ていた。少子化にも関わらずである。これを不思議に思う人もいるかも知れない。が、見方を変えれば別に不思議でも何でもない。

余る経済力

 少子化の原因に関連して何度か書いて来たが改めて書くと、今の若い社会人は子どもよりは経済力があるがライフステージが上がる程では無いという状態に置かれている。自分でお金を稼ぐ力はあっても、結婚や子育てを当然のように出来るほどではない。でも学生時代よりは確実にお金はある、という状態。そうなれば経済力はある程度余って来る。それがどこへ向かうか。その一端がホビー、おもちゃ市場である。

 それを幼稚と切り捨てる向きもあるが、自分たちの手の届く範囲で自分なりに人生を楽しもうとしている結果である訳で、他人がとやかく口を出すべき事ではない。むしろそうした事を言う世代が、若年層への経済的負担が大きいこの国の現状を作って来た面もあるだろう。批判する資格は無い。

 一部では「趣味に回すお金があるから羨ましい」という見方もあるようだがそれは大抵、「結婚・子育てをしてなおお金が余っているから趣味に回している」ではなく、「結婚も子育てもしない/出来ないからその分、余ったお金を趣味に回している」のである。それが本当に羨ましい事かどうかの判断はお任せするが、少子化対策の面で見れば良くは無いだろう。

大人向けに作られる娯楽

 昔は確かに幼稚というか、それこそ子ども騙しのようなホビーしか無かったのだろう。が、今は大人に需要があるので作る側もそれに合わせて様々な製品を出している。純粋に大人も楽しめる(というかむしろ子ども向けとは言えない)製品もあれば、昔を懐かしむ心に売り込みをかけるものも多い(今さらうる星やつらがアニメ化されたり、ZOIDSが再放送されたりetc.)。

 そうした娯楽を純粋に楽しめない世代はそれはそれで何というか、勿体ないなという気もする。家庭を支えるために身を粉にして働く上では、娯楽をただの道楽、価値の無いもの、無価値であるべきもの、幼稚で取るに足りないものと切り捨てざるを得なかったのだろうが、それはそれで豊かな人生といえるのだろうか。

 私の祖父はまさにそれで、儲からないと文句を言いながらも農林業しか知らずに生きて来た。仕事こそが生きがいであり、彼にとっての価値であった。が、老いた今、体が不自由になった今、以前のような肉体労働などとても出来る状態に無い。あらゆる娯楽を幼稚で無価値だと切り捨てて来たがゆえ、家にいながら自分で楽しめるものはせいぜいテレビやラジオくらいのもの。自分から能動的に楽しめる娯楽が無い。それはそれで、見ていて可哀想なものである。

 生涯楽しめる娯楽を見つけような