ヤマネコ目線

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経団連が「社会貢献」とは

 経団連の会長が自民党への政治献金24億円について「社会貢献の1つ」とし、「世界各国でも同様のことが行われている。何が問題なのか」と発言して反感を買った。

news.yahoo.co.jp

(記事題|自民党に毎年24億円献金経団連会長「何が問題なのか」と発言の報道にネットの怒り沸騰)

「社会貢献」とは

 経団連が行っている行為の本質は「社会貢献」などでは無く、自分たちの私利私欲、金儲けのために資本力をもってして政治・行政をゆがめる行為である。経団連に限らずほかのあらゆる業界・利益団体に言えることだが献金を積むことで政治家の目を民意から反らし、国のためよりも一部業界が美味しい思いをするための政治をするよう操作することは「社会貢献」とは言わない。

 もし経団連が出来る「社会貢献」があるとすれば今すぐこの世から消えることだ。自民党政治資金パーティーをめぐる問題については厳しく批判しているがその資格は無い。

生命保険料控除やリフォームで減税

 あまり関係ないがついでなので書く。岸田政権は少子化対策としてまた的外れもいい所な政策を打ち出している。

news.yahoo.co.jp

(記事題|生命保険料控除、「子育て世帯」に手厚く 控除額の上限引き上げ検討)

news.yahoo.co.jp

(記事題|転落防止や対面キッチン…「子育て」リフォーム減税検討 政府・与党)

これが「社会貢献」ですか

 保険業界や建築業界から献金をもらってこういう政策をやろうとしているのだろうか。どうにも直接的な減税ではなく、間に何かしらの業界を挟まないとダメなように思っている節がある。これこそ企業からの献金に対する見返りとしての政策ではないか。そうで無いにせよ少子化対策がこれとは相当に歪んでいる。

 保険に入ろうにもお金が無ければ入れない、リフォームしようにもお金が無ければ依頼できない、裏を返せばこうした「何かをすればちょっとは支援してやる」という少子化対策は、元からある程度の余裕がある世帯への支援でしかない。恵まれた層をさらに優遇している。格差是正を放棄している一例だ。

 加えて人口は子どもが3人以上いなければ増えない訳だが、保険料控除やリフォームを手厚く支援したところで子どもの数は増えるだろうか。「やった!保険料控除が増えるんだ!3人目作ろう!」とはならないだろう。根本的におかしい。目的と手段が逆。「少子化対策のために負担を軽減する」では無く、「負担軽減かこつけて特定の業界に利益誘導するために少子化対策を詐称する」が本質ではないか。

 そして妙な所で「負担軽減」はする癖に、消費減税のような足元の経済政策は頑なにしようとしない。五輪だ万博だ半導体復活だと一部の企業が儲かることばかり積極的。このまま次の選挙が終われば、経団連あたりの経済音痴に言われるがままに消費増税するのだろう。消費増税を提言することが「社会貢献」なら私が書いているこの文章は聖書の一節だ。ふざけるのも大概にしてほしい。

ズレまくりの少子化対策

 第一、以前から書いているが「結婚して子どもが出来る」前提の少子化対策はもはや少子化対策とは言えない。まず結婚自体をする人間が減っている中で「結婚した上で子ども作れば多少の支援をしてあげますよ」と言うのは対策でも何でも無い。結婚まで辿りつく人間が減っている現実をいつになったら受け入れるのか。

 政府が無駄な歳出を減らして減税を行い、とにかく現役世代の負担を減らすことが経済政策であり一番の少子化対策だと思うが、現状はその真逆を行っている。負担は増える一方のくせに回すべきところに予算が回っていない。若い世代の将来への不安は払拭どころか増す一方。

 子どもを作れば多少の支援があるとは言え、かかってくる負担はそれ以上に大きいことが明白であり、子どもを作ること自体が大きなリスクとなって敬遠されている。結婚や子育てを単純な損得勘定で切り捨てることが上の世代からは理解し難いかも知れないが、不景気で育った人間の価値観とはそういうものである。

 私はまだ映画館で映画を観ることに耐えられる部類だが、より若い世代はそれすら耐えられない。それだけ時間というコストに対して厳しい節約をしている。そうした節約志向が人生設計に向けられればどうなるか。残念ながら自分が生きていく上では配偶者も子どもも「無くても死にはしない」ものなので、切り捨てる/ざるを得ない人間が増えても何ら不思議ではない。そういう人間を作って来たのはこれまでの日本という国であり、それを形作ってきた国民。因果関係はしっかり見ればハッキリしている。理解できないのは観察し、考察する力が足りないだけ。

余談:他国と比較する意味

 年配の人はよく「日本は世界的に見れば恵まれている国なのに、どうして若者は結婚子育てしないのだろう」みたいな事を言う。一見それっぽい事を言っているように思うが、世界の国々(それも大抵は日本よりも貧しい国)と比較する意味など全く無い。ここ日本だぞ?日本の基準で語れや。

 一見それらしい先述した論理?が通るのであれば、日本よりも貧しい国々は日本よりも深刻な少子化に陥っている筈であるが、現実はまったくそんな事は無い。日本人からして貧しい国に見えても、その国の基準で普通ならば結婚して子どもを作れる人間はいる。少し観察して考えれば分かることを理解出来ていない。そんなのが上に大勢いて政治の実権を握っているのだから、少子化はいつまで経っても解決どころか悪化して行くのだろう。