書き散らし。ウクライナへのドイツ製戦車レオパルト2、アメリカ製戦車M1エイブラムスの供与がそこそこ話題になっている。普通にそれらとロシア軍最新戦車T-14アルマータの強さ議論をしても良いのだが、武器、兵器における強さ議論はなかなか「戦ってみないと分からない」所があったりする。
戦車のスペック勝負はあまり意味がない
戦車のスペックだけ見れば、ロシア軍の最新戦車T-14の方があらゆる面でレオパルト2、エイブラムスに勝っている。そう、スペックだけ見れば。しかしいくら戦車1台同士の比較で勝っていると言っても、それが勝利に直結する事は無い。戦車は戦争における1要素に過ぎないからだ。
たとえば配備されている数。T-14は制裁などで思うように量産が出来ていないと言われている。それも調べた限り20前後とかなり心許ない。最近確認されたウクライナ投入のニュースも、蓋を開けてみれば衛生写真で確認されたのはたったの2両。単純な話、たった2両で戦争の勝敗が決する戦車など存在しない。100対2ならば多少スペックは劣っていても、数の多い方が勝つ可能性の方が高い。
戦車以外の存在も忘れてはならない。ウクライナ戦争で一躍有名になったFGM-148 ジャベリン対戦車ミサイルをはじめ、現代の戦場には様々な歩兵携行の対戦車兵器がある。アメリカやドイツが供与を表明している歩兵戦闘車も対戦車ミサイルを装備しているし、野砲などの砲撃、対戦車地雷、対戦車バリケードも脅威だ。その中で戦車同士、1対1での戦闘を想定した単純なスペック比較は非現実的であり、何の参考にもならない。最新の戦車であればアクティブ防御システム(対戦車ミサイルを空中で迎撃・破壊するシステム)なんかも搭載しているが、ゲームのように無限に使える訳もなく・・・。
ゲームなどで戦車に乗ったことがある人なら分かると思うが、戦車は兵士にとってある程度安心して戦える車両である反面、戦場においては敵から一番の脅威であると認識されている。なので思っている以上に戦場で活躍する事は難しい。なにせ敵の戦車、歩兵戦闘車、歩兵、航空戦力あらゆる方向から最優先で狙われるのだから。下手なことをすればあっという間に鉄の棺桶。
余談:対戦車ライフル
ミリオタか古い人間なら「対戦車ライフル」という言葉を知っているかも知れない。第二次世界大戦あたりまでは戦車を攻撃する目的で作られた大口径の銃、対戦車ライフルがあった。今は戦車の防御力が向上し、ライフルでは攻撃しても意味がないので「対戦車」ライフルは姿を消している。ただし、「対物」ライフルならある。目的としては比較的装甲の薄い車両などへの攻撃、遮蔽物に隠れた敵兵の排除、長距離狙撃など。戦車はともかく、装甲車はまだまだ意外に?装甲が薄かったりするので対物ライフルでの攻撃は有効。