ヤマネコ目線

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年収の壁、同性婚ほか雑記

「年収の壁」議論について

 2023年2月、岸田首相は国会で「年収の壁」見直しについて見直す考えを示した。

news.yahoo.co.jp

(リンク切れ対策:記事題=首相「年収の壁」を見直す考え 共働きの労働意欲にブレーキ)

 またも余計なことを言い出した、という感想しかない。要は国民にもっと働け、働いて税金と社会保険料を納めろと言うのだろう。そのために年収による「扶養に入れる・入れない」、「社会保険に入らないといけない・入らなくていい」といった区別を無くし、一括して「配偶者控除は廃止」、「社会保険は非正規でも入れ」とする流れなのだ。そうすれば政府は税金も、社会保険料も取りっぱぐれる事が無い。そうした流れに持って来ようとしているのは目に見えている。インボイス制度なんかを見ても、とにかくもっと搾り取ろう、国民を苦しめてやろうとしているのは明らかだ。

 そんな事で労働意欲など上がるはずが無い。そも税金や社会保険料を取られるのが嫌だから年収を抑えているのに、取られるとなればただでさえ低い就労意欲はさらに低くなる。そうなれば(現実的に出来るかどうかはともかく)専業主婦志望の女性はむしろ増えるかも知れない。女性活躍推進という建前に現実は逆行して行く。

 結婚して中途半端に働くくらいなら結婚せずに働き続けるか、専業主婦になっても養ってくれる男を見つけるかの二極化が起きるだろう。あるいは職業的にグレーで社会保険が関係ない方向へ、それこそ風俗、パパ活、ギャラ飲み、YouTuberといったことで稼ぐ方向に行く*1。現にそれで稼いでいる女性が出てきている。女性活躍推進などという口実で政府が進める方向では社会は良くならない。むしろ社会はどんどん不健全な方向へと進んでいる。

 もし年収の壁とやらを見直すならば、より税金・社会保険料の負担が減るような方向での見直しを検討しなければならない。大体、真面目に生きているのがバカバカしい、真面目に働くよりもYouTuberの方が良い暮らしができるといった世の中がおかしい。終わっている。せめてボーナスから社会保険料取るのやめろバカタレ!

 ただでさえ「産休・育休中の学び直し」などと言って顰蹙を買っている中で、そうした所でも制度の改悪を言い出す神経は本当にどうなっているのかと思う。岸田総理は「私も子育てを経験した」と堂々と反論したが奥さんはそうは言っていないし、氏は今年で66歳。今現在の子育て事情がわかってる人間ではない。ましてや今の若年層のマインドなど理解できる訳がない。ああいった年寄りからすれば、「今の若い子はこんなに良い社会でどうして結婚も子育てもしないんだろう」、などと思っているに違いない。感覚が致命的なまでにズレている。

 むしろ最近、岸田総理は率先してヘイトを買いに来ようとしているのではないかとも思う。あえて反感を買うようなことをし、旧統一協会から目を逸らさせるための的になって、防衛増税に異論を唱えた高市早苗萩生田光一その他議員のお株を上げる。「総理の息子が公用車で観光していた」だとか何だとか言っていれば国民は旧統一協会問題など忘れる、飽きると思っているのだろう。都合の良い捨て駒大臣という訳だ。実際、総理大臣は責任など「感じる」とか「重く受け止める」ものであって、まともに責任など取った者などいない。

同性婚について

 私自身は同性愛者ではないので、LGBTQsの方々がそこまで結婚という制度的なものにこだわる理由はあまり理解できないでいる。しかし同性婚の制度化を求める国民の、主権者の声があることも事実であり、それをあくまで代議士にすぎない政治家が抑え込み、認めようとしない、議論しようとしない現状には疑問を感じる。この国の主権者はあくまで我々国民1人1人であって、総理大臣でも政治家でもない。何の権利があって国民の要求を一方的に「社会が変わってしまうから」、などという小学生並の反論で否定できるのか。社会を変えるために国会で議論しているのでは無いのか。

 また、ついでに触れるが杉田水脈氏の発言「同性愛カップルには生産性がない」には呆れと同時に憐れみを感じている。杉田氏は愛情というものを「生産性の有無」、「有益か無益か」といった尺度でしか量れないらしい。それが憐れでなくて何なのか。杉田氏は最近になって発言を撤回しているが、一度出た発言を撤回など出来ないし、その思考の根底まで変わった上での撤回でないことは明らかだろう。杉田氏に限らず、自称保守の連中は「国を良い方向へ導く」という本来の使命を放棄し、ただただ復古主義・懐古主義の幻想に浸ってあらぬ方向へと国の舵取りをしようとしている。

選択的夫婦別姓について

 私は夫婦別姓を選択制であれば認めても良いのではないかと思っている。昔は政府与党のご老人方がいうように、日本の家族制度を壊してしまうのではないかと思った時期もあった。しかし今はもう、そんな事を言っていられる段階ではない。そもそも家族制度など、この国ごと自民党が破壊して来たではないか。今や家族制度どころか結婚できる人間がまず少ない。その破壊をもたらしてきた張本人たちが「家族制度を守るため」などとは片腹痛い。

 まずもって夫婦別姓が制度として求められている理由は、「同姓を強制する制度によって発生する不利益」が若年層の価値観において看過できないものになっているからだ。これまでの世代の(主に女性)も我慢して来ただけであって、そこに不利益があったことに違いは無い。女性活躍だ何だと言いながら女性の声を真剣には聴かず、そうした制度的欠陥を放置し、夫婦別姓の要請が出てきても何ら是正に取り組まずに今日まで来た。そうして同姓を強制することで発生する不利益を解消できないのであれば、選択的夫婦別姓という制度を導入することも本格的に視野に入れるべきである。

 何より私から言わせれば、このご時世に結婚しようという人々の意見を政府がそこまで蔑ろにする意味が分からない。異次元の少子化対策などとのたまうならまず夫婦別姓にもメスを入れるべき。結婚に対する障壁は可能な限り無くして行くべきであり、政治家どもの動きは明らかにそれに反している。異次元なのはアタマの中だけか。それとも予算だけか。

ただの愚痴

 何にせよこの国はもう終わっていると思う。最近はもう、いっそ戦争でも地震でも原発事故でも起こって潔く滅びないかなとさえ思う。そうでもしなければこの国が変われる気配がない。人が簡単には変われないのと同じで政府、”お上”が変わるのを期待して待っているのはムダでしかない。しかし若年層に政治を変える力は無い。詰んでいる。弱音を吐いても仕方がないので皆、口には出さないが若者は薄々、本能的に感じているのだ。もうこの国は悪くなることはあっても良くなることが無いと。だから世の中の動きにも政治にも無関心だし、社会を変えようという動きも起こらない。どうすればここから巻き返せるのか。

*1:男子の場合はこれが強盗、転売、半グレになる