ヤマネコ目線

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小さいハンバーグの写真が炎上した理由

 書き散らし。最近、Twitterで目にした言葉に「年賀状マウント」なんて言葉があったり、かと思えば「今まで2つだったハンバーグが3つになりました」という、暗に子供の存在を思わせるツイートが炎上したりしている。今回はそれらの理由について。それらの理由が分からないという人は良い人生を送っている。

年賀状マウントとは

 言ってしまえばしょうもない話だが、子供の写真を載せた年賀状が送られて来ることを一種のマウントと捉える人間がいる、という話。

年賀状マウント、ハンバーグ炎上に共通するもの

 年賀状マウントも小さいハンバーグの写真も、そこに共通するのは発信する側が結婚して子供がいるということ。同じくらい充実した(=何の不自由もなく恋愛して結婚して子供もいる)人生を送っている人間には「それがどうした」という感じだろうが、今はそうした人生を当たり前に送ることが出来る時代ではない。むしろそうした人間は減っている。

 その中でTwitterで不意に流れて来る子供がいることを匂わせるツイートも、知り合いから送られて来る年賀状も、受け取る側が情報を受取るか否かを選択しづらい上に「私はこんなに幸せな人生を歩んでいるんですよ」という、ある種の自慢に見えてしまう。

 今は結婚したくても出来ない、恋愛すら出来ない人間が増えている。内閣府の研究会が壁ドンがどうのと抜かすほど、若者の恋愛離れは進んでいる。性交渉も減っているし、今年の出生率は過去最少を更新した。今の20代は約25%が生涯未婚と言われる。そうした中ではもはや子供は贅沢品であり、結婚して子供がいる人生というのは羨望の的なのである。だから結婚している、子供がいるというのはそれが当たり前に出来る人間からすれば何とも無い事でも、そうでない人間からすればその事実自体が自慢なのだ。

 だから情報を発信する側には悪気は無くとも、受け手によって炎上が発生してしまう。妬みそねみを買ってしまう。今の日本において、「自分が結婚して幸せな生活を送っている」という事を発信するのはそういう事である。極端なことを言えば、スラム街を金持ちっぽい身なりで歩くようなものだ。本人はただ(本人からすれば)普通の格好で歩いているだけなのだが、それを見るスラム街の住人の目は羨望と嫉妬に染まっている。逆に言えば日本社会は結婚・子育てがもはやそんな位置づけに来るほど没落している、とも言える。

 なおタチの悪い話なのは、先述したようにそれが双方意図せずに起こっている点。発信する側はまさか年賀状でマウントだと思われる、ハンバーグの写真で炎上するなどとは思ってもいない=完全に悪気は無く何が悪いのかさっぱり分からない。受け手側は普段、見たくもないと思っている他人の幸せな姿が不意に視界に入って来るのだから、より一層の不快感を覚える。このミスマッチがさらなる軋轢を生んでいる。

 幸せな姿など親しい身内以外に見せるべきではない。妬みを買うから。