「娯楽の多様化」と漠然と書いたが、「大人の趣味」とこれまで言われて来たもの(酒、タバコ、ギャンブル、風俗など)は嗜む者が減り、20~30代の趣味志向が多様化していることに関して。予め断っておくが特にそれが悪いと言いたい訳ではない。娯楽が多様化すること自体は良いと思うが、いかんせんその原因、流れの方向は良くない。
テレビで社会人の女性がアニメグッズを買い漁っているのを見て、私の親が「それだけ余計なことにお金を使える余裕があるんや」などと言っていたので、ああ、年配の人間にはそう見えるのかと思ったので書く。ちゃんと諭しておきました。内容的には以前の記事の延長線。
「余裕がある」から娯楽が多様化しているのか
結論から書けばその認識は9割くらい間違い。
これまで結婚して子どもを作るのが当たり前だった年齢層の経済力が低下し、今やそれは「当たり前」では無くなった。となれば今まで家庭、子育てに向かって費やされていたお金はどこへ向かうのか。自分自身の人生の充実に向かうのである。
それは確かに高校生や大学生の視点からすればお金に余裕があると言えるかも知れない。学生よりは経済力がある。上の世代からすればある意味で羨ましくも見えるのだろう。自分たちの時代には無かった、ともすれば自分たちだって欲しかったような娯楽が今の世の中にはある。
しかし、ライフプランにおける経済力の観点からすればそうした層に全く余裕はない。人生を十分に楽しみながら何となくで結婚して子育てが出来るか、それだけの経済力があるかと言われれば全くもってそんな事は無い。結婚や子育てに手が届かない中で、自分たちなりに人生を楽しく生きる方法を各自で探っている状態にある。
となれば、20~30代にとって手が届く範囲の娯楽の需要が増える訳である。実際、増えて来た。なのでそれに応じて供給も増えている。具体例を挙げるならば、私や少し上の世代が子どもの頃に流行っていた漫画やアニメの再アニメ化なんかが流行って来た。子どもの頃に売られていたプラモデルの大人向けverが売られるようになった。探せばいろいろあるだろう。最近で言えば「うる星やつら」の再アニメ化が話題であった。
結局、「娯楽の多様化」は言い方は悪いが子どもが大人になり切れなくなったが故に起きている。「若年層が経済的に潤い過ぎて」今の状況が発生している訳ではまったく無い。むしろその真逆である。
余談:「親子仲が良い」ことは本当に良い事か
昨今、反抗期というものが少なくなり、親子仲の良い親子が増えたとされる。しかしそれは本当に良い事なのだろうか。先に述べたように「子どもが大人になり切れなくなった」ことの表れでは無いのかと思う。
専門家ではないのでそこにどんな要素があるのか全て読み切れてはいないし、私自身も反抗期は無かったので*1本当のところは分からないが、反抗期とは一人の人間としての自我を確立し、大人と対等に歩んでいくための準備期間だったのではないか。といま振り返って思う。
それがどこまで親の経済力、あるいは社会的な要素と関わっているかまで計算し切ることは出来ないが、子どもは子どもなりに親の顔色を、世の中の空気を感じ取っているものである。そうした要素の影響が無いとは言い切れまい。
若年層の自殺が増えているのも何ら不思議ではない。学生からしてこの国の将来は暗いと読めてしまっているのだろう。人間の予測能力はかなり正確であり、「これじゃダメだ」と思うなら大抵はダメなもの。
最低でも選挙は行くべき
こうした事を考えているとつい悲観的になるが、希望が無いことはない。旧統一教会の問題が明るみに出た今、これから世の中で起こることをしっかり観察し、広め、国民全体が怒りを燃やして政治を少しでも変えていけばまだ少しの間はこの国も持つだろう。でなければ滅びる。
話は違うが、Twitterで右翼っぽいアカウントがプーチンの主席エクソシスト任命ニュースに関し「サヨクは統一教会がどうとか言ってないでプーチンと話し合いしてこいよ」、みたいな事を書いていてゲンナリした。彼からすれば、国内の問題よりもロシアの為政者がバカげた事を言っている方が問題らしい。お前はサタンの手先か何かか?国内の問題とロシアの政治家のバカげた肩書は明らかに別問題だと思うが。
何もかもどうでも良くなって来た。ジェノザウラーのプラモデル買っちゃったし作るか!