ヤマネコ目線

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投票用紙を香典代わりに使うな

 明日がもう参議院選挙の投票日なので書く。

 安倍元総理大臣が銃撃、殺害された事件はかなりショッキングで、本当に許せないと思う一方、私は正直言えば複雑な感情を抱えている。重ねて言うが銃撃は決して肯定されるべきではない。ああいった蛮行は民主主義そのものへの反逆行為であり挑戦。

 私自身、有権者になったのがちょうど民主党政権から自民党が政権を奪還する時期だったので、そこから安倍自民を支持して来た。民主党政権に対して溜まりに溜まった不満、ぼろぼろになった日本を強いリーダーシップで立て直したのが安倍元総理であり、彼を支持した事に後悔は無い。ただ、彼が残した功績も確かにある一方、政治は腐敗に向かい、経済は良くならなかった事も事実であろう。

 それについてはまた書くとして、今回の選挙が弔い合戦になってはいけないとも思う。安倍総理はもう亡くなられた。一方で選挙はこれからも生きていかねばならない我々の問題であって、それとこれとは話が別。投票用紙を香典代わりに使うなと私は言いたい。与党に入れるなとか、野党に入れろとかそういう話ではない。ただ「支持政党は特に無いけど同情で自民党に入れよう」、などと考えるのだけは辞めて欲しい。やめろ。そんな形で民意が歪められる事も民主主義にとって良くない。

もう一度、政治を変える

 近年の自民党の政治を見るに、どこかで痛い思いをしてでも政治を変えて行かなければならない時期に来ていると私は感じる。確かに民主党政権時代は本当に悪夢のような時代だった。

 しかしここ数十年の大半で政権を握り続けて来たのは自民党公明党であり、日本の衰退を招いた責任はその2党に重きがある。これから賃金を増やすだの、投資で所得倍増させるだのと豪語する岸田政権は信用できない。そもそも今の政治が日本国民の方を向いているとも思えない。自民党は一部の利益団体やアメリカばかり見ている。

自民党に投票しない理由

 とりあえず2020年に起こった出来事から大まかに振り返って行く。

 河井夫妻による買収事件、それに関する1.5億円もの自民党からの提供金と、それを誤魔化したままの二階前幹事長。河井夫妻は議員辞職せずボーナス約300万円も受け取っている。IRを巡る視察で中国の企業から100万円を受け取った白須賀氏も自民党であった(後に緊急事態宣言下で高級クラブ通いが報じられ離党)。

 レジ袋有料化を進めたのは小泉進次郎。コロナ禍がまだまだ収まっていない2020年にGoToトラベルキャンペーンなどと言い出し、二階氏が全国旅行業協会の会長だからか旅行業界だけ優遇しようとしたのが自民党。ちなみにGoToキャンペーン受託団体は7年間で4,200万円を二階氏に献金している。

 コロナ禍のためと編成された巨額の予備費の中から、故中曽根元総理大臣の葬儀費用9,600万円を出したのも自民党不織布マスクでも効果が無いとも言われる中で、給食のおばちゃんが付けているようなマスク(通称アベノマスク)を予算466億円もかけて発注し、あげく余りに余らせて管理にも余計な税金を使い、配布にも余計な税金を使ったのも自民党

 岸田総理は2020年8月時点から既にコロナ対策として消費税を引き下げる事に否定的であった。消費税は逆進課税であり、相対的に貧乏なほど税は重く、富める者ほど税が軽くなる。それは公務員試験でも普通に出てくるレベルの話なのだが、政治家は知らないのか。知ってて下げようとしないのか。最近では「消費税を引き下げると買い控えが起こる」などと訳の分からん事を抜かす始末。いい加減にして欲しい。

 同じく2020年8月には政府税調から新型コロナウイルス対応を巡って悪化する財政について、「消費増税を中核に」との意見が出ている。同9月には菅元総理大臣も「消費増税必要」と名言しており、このまま与党が勝てばさらなる消費増税へ向かうのは確実だろう。どこまで消費税が上がれば日本人は考えを改めるのだろうか。私はもう、10%以上にすると言うなら無理。支持しない。

 ささいな事?だが平岡卓也デジタル改革担当大臣(当時)が国会で審議中、タブレットでワニの動画を見たのがこの時期。ワニの動画面白いもんな(笑)。

 菅元総理は後に「消費増税、今後10年は不要」と述べているが、10年消費税が上がらない保証はどこにもない。予想外に先の発言への反発があり、火消しに走った可能性が高い。なお、菅総理は自身の著書から「政府が明確な記録を残すのは当然」とした公文書保管の重要性に関する章を新書版から削除している*1。都合の悪い事は残さないことになったのは菅政権からだろうか。

 伊吹文明衆議院議長菅総理(当時)が掲げた「自助・公助・共助」への野党の批判に関し、「憲法が国民に自助努力を課している」と反論したのもこの頃。その根拠というのが憲法第12条にある「~国民の不断の努力によつて・・・」のくだりであるが、ここで言う「不断の努力」はGHQの草案(英語)によれば「the eternal vigilance of the people」=「国民による永遠の警戒」であり、その真意は彼らが言う「自助」などではなく、国民が絶え間なく権力を監視、警戒する事によって「憲法によって保障された自由及び権利を守ること」である。いかに自民党の政治家が不勉強か、都合よく憲法を解釈しているかが透けて見えた。

 2021年4月には復興庁がトリチウムゆるキャラ電通に3億円で委託して製作している。福島原発事故での汚染水処理の問題に際し、トリチウムが含まれる水を海洋放出することへの理解を求めるため、という感じだが、ゆるキャラのデザインで3億円とは結構な商売である。それも朝日新聞の報道によれば、実際のゆるキャラのデザインに使用されたのは数百万円程度。差額の2億いくらはどこに中抜きされたのか。

 同5月には二階前幹事長が、河井夫妻への党からの提供金1.5億円について問われ「根掘り葉掘り踏み込むな」と報道陣を牽制している。よほど都合が悪かったのだろう。

 新型コロナウイルスワクチンの大規模接種予約システムに不具合が多発し、改修を急いでいるとのニュースがあったのもこの時期。システム発注自体にはどうせ多額の税金をかけているくせに、何故まともに開発すれば出来るはずのものが出来ないのか。IT後進国にしても明らかにおかしい。莫大な予算をかけて中抜きばかりさせるから、かかった予算に対して杜撰過ぎるものしか出力されない。

 同9月に菅総理肝いりで発足したデジタル庁が、グランドプリンスホテル赤坂の後に建てられたオフィスビルに入る事が報じられたのがこの頃。デジタル庁らしくテレワークなどで仕事が出来るのかと思いきや、東京の一等地に莫大な家賃を払ってオフィスを構える事になり批判を浴びた。正直、私も金のムダだと思う。なぜその位置でなければならないのか。

 デジタル関連で言えば、東京五輪アプリ開発費が73億円にものぼった事が注目を浴びた。まあこれはアプリ開発費のみと考えると高額だが、各省庁のシステムや新型コロナウイルスの検査、待機期間管理などを横断的にやろうとした訳で、サーバーなどのシステム全体を込みとすればまだ理解できる値段かも知れない。ただ最終的に費用が適切であったかは不明。

 この時期、政府は飲食店に休業要請や酒を出さないよう要請する一方、オリンピック選手村では酒の持ち込みを許可していた。これが報道で明るみに出た結果、要請に従わず酒を出すと宣言した飲食店もあった。後に問題になるIOCバッハ会長に銀座観光といい、日本国民には自粛を強いる一方、選手や組織委員会には甘い”おもてなし”が目立つ大会だった。五輪関係で忘れてはならないのがもう1つ。選手村のトイレの便器には金箔の装飾が。どこまで金をかければ気が済むのか。外国にばかり良い顔し過ぎだろ。後に7月1日にはもう、選手村で初の陽性者が出ている。バブル方式?何のこったよ。

 同7月、まだまだ自粛ムード漂う中で岸田派が都内ホテルで政治資金パーティーを開催し、秘書5人がコロナに感染、自宅療養している。同じく7月、穴見陽一衆院議員がまん防(まん延防止措置)下で設けられた外食制限(同一グループ2人以内、滞在90分以内)を大きく逸脱し、外食産業首脳ら4人と3時間に渡って酒を交えて会食している。ちなみに穴見氏はファミリーレストラン「ジョイフル」会長。後に党の役職を停止されている。18日にはバッハ会長、森喜朗菅首相ら40名を招いてのオリンピック歓迎会が迎賓館で開かれた。23日には「選手村ではPCR検査を毎日行う」としていた当初の発表に反し、日本の体操選手団の検査が検査キット不足によって遅れている。

 正直、オリンピックに関する不手際について書けば別の記事になるので割愛。弁当13万食廃棄とか書き出すとキリがない。今思い返しても無様な大会だった。札幌五輪なんてもってのほか。今後100年は日本でオリンピックなんてやって欲しくない。喜ぶのは一部のアスリートと利権関係者だけ。

 同7月26日、国の2020年度予算から2021年度への繰越金が過去最大の30兆円にものぼる事が報道されている。コロナ補正予算で~、と言うがそれにしてもなぜそこまで余るのか。それに見合う補償はあっただろうか。結局、オリンピックが終わった後の感染拡大に際しても自宅療養メインであったし。どの役所もそろいもそろって予算の引っ張り合い、とりあえず予算取っとけ、中抜きさせとけ、そんな感じで仕事をしているから、そんな事が発生するのではないか。自民党のみならず行政組織、官僚の問題でもあるが、いい加減にそこも変えさせなければいけない。因みに例年は5兆円くらいで収まって来た。30兆円なんて下手すればそこそこの国の国家予算だぞ・・・。

 ちなみに8月、厚生労働省コロナウイルスの自宅療養における死者数に関して「把握していない」と回答している。東京五輪は開催したし、政治家は政治資金パーティーだの会食だのしておいて、お盆の親族の集まりは自粛要請。

 丸川五輪担当大臣がオリンピックの学校観戦に前向きな姿勢を示して批判を浴びたのがこの頃。お盆に親族で集まるな、と言っておきながら子供を「教育の機会」と称して東京オリンピックの観戦に引っ張り出そうというなかなかの話。ただでさえ学校での感染も広がっている中、子供がコロナに感染して親に伝染させて親が死んだらどうするのか、そういった観点は全く無かった。一方で自宅療養者の数は10万人に近づいていた。

 8月31日、二階幹事長に4年間で37億円以上の政務活動費が党から支給されていた事が報じられている。自民党は適正に処理していると回答、元国税局職員は国税局も実態を把握していないとの回答。結局どうなったか分かっていない。

 同9月、デジタル庁審議官、水産庁職員が相次いで国家公務員法倫理規定違反で処分されている。それぞれ12万円、14万円分の接待と金額はそこまででは無いが、上が腐れば下も腐って来たという感じが否めない。

 10月にはTwitterで野党に批判的言動を繰り返していた有名アカウントDappiが、立憲民主党の小西氏による情報開示請求で法人によって運営され、その法人が自民党と取引のある企業であった事が判明している。この問題は未だに釈然としないが、やり方が汚いとしか言いようがない。

 2022年3月、岸田政権。年金生活者に5,000円を一律給付する案が浮上し批判が相次いだ。これは選挙対策のバラまきの誹りを受けても仕方ないだろう。それにしてもたかだか5,000円かよとは思うが、一銭を笑う者は~とも言うし、選挙対策に予算を抑えつつお金配りしようという小賢しい魂胆が透けて見えて腹が立つ。

 4月には内閣府男女共同参画局の研究会が「教育で『壁ドン』の練習を」などと言い出して炎上。何が壁ドンの練習だボケがと思うが、そんなゴミみたいな研究会が税金で運用されていると思うと余計に腹が立つ。そんな事で少子化対策になるならとっくに解決してるわ。

 コロナ予備費12兆円の使途9割が不明であるとの報道が出たのもこの辺り。直後の4,630万円の騒ぎでかき消されたが、結局これもうやむやにされている。日本経済新聞によれば分析して使途が明確になったのは約8,000億円と1兆円にも満たない。残り約11兆2,000億円は使い道を公に出来ないレベルのずさんな使い方をされたのだろう。

 デジタル庁のトップ、石倉氏(当時73歳)もこの時点で退任している。そもそもデジタルへの知見が少なかったと言うのが理由。アホくさい。だったら最初から若い人材を登用し・・・いねぇかそんな良い人材。国内ITは待遇悪すぎてそんな人材、外資に取られ放題だもんな。

 一方で政府の「デジタル推進委員」制度が判明したのもこの時期。デジタル化を支援するため、高齢者の支援をする人間約1万人を無給で募集するという。パソナにはたんまり払う金があるのに、そういった支援を行う人間に払う金はビタ一文無いらしい。前々から(東京オリンピックのボランティアなど)に関してもそうだったが、削るべき所を間違えているのではないか。

 まだまだ書きたい事はたくさんあるが、検討検討また検討、円安放置、物価高騰放置、その上で雇用調整助成金で財源が逼迫したからと、予備費をその補填に充てることもせず雇用保険料を上げ、消費増税がおそらくまた行われるであろう自民党政権、いい加減にぶっ叩かなければならないと私は思う。

 憲法改正については今やるべき内容ではないし、自民党の草案が明らかに稚拙かつ現行憲法より内容が後退しているため支持できない。今の経済、社会を見ているととても憲法改正を許そうという気にはなれない。憲法改正に賛成と言っている人間は、ちゃんと自民党憲法改正草案と現行憲法を比較・精査した上で言っているのだろうか。もし「自衛隊国防軍に」だけの内容だと思って賛成と言っているなら甚だ恥ずかしい。それは日本国民として行うべき不断の努力(=権力の監視)を怠っている。もし読んで比較・精査した上で賛成と言っているならば、私からかける言葉は無い。どうしようもない。

公明党に投票しない理由

 もはや壊れたブレーキ。壊れていて意味を成さないのであればお役御免。もともと創価学会がバックにいて自民党を票田的な意味で補佐して来ただけで、たまに時の政権を諌めたりと良い所が無い訳では無かったが、国民にとってそこまで役に立つ政党ではない。政教分離の面でも良くない。

その他

 立憲民主党は論外。迫真君とか有田YSFなんかが居る限り支持は無理。とっとと解散して左寄りは共産党に合流、それ以外は国民民主なり何なりに行けば良い。

 維新の会は松井氏の水道橋博士へのスラップ訴訟や、元奈良県橿原市議が市長を強い口調で叱責し辞任した件などで単純に印象が悪い。パソナとズブズブの関係とされるのも投票したくない理由の1つ。第2の自民党を増やしても意味がない。 

どうせ参院選だし

 身も蓋もない言い方をすれば、今回は参議院の選挙なので与党を選び続ける必要もない。どのみち与党は衆議院の優越で大抵のことを押し通す訳で、元から白熱した議論も期待していないので、ここ数年の政治への不満をあてつけ代わりにぶつけて野党へ投票するのも良いだろう。

 とはいえ、今回のように銃撃事件なんかがあれば、弔い合戦(この記事を書いている時点ではまだ亡くなられてはいないが)になって与党が圧勝したりするのだろうが。

日本の治安が悪化したのは何故か

 Twitterでは「ヤクザや半グレではなく、社会的弱者が八つ当たり的に起こす犯罪によって日本の治安が悪化している事が気持ち悪い」との声もあったが、それを言い出すならばその「社会的弱者」を増やして来たのは誰かという話になる。今回の犯人は宗教絡みのようなので実質的にあまり関係はないが。

*1:2020年10月19日毎日新聞の記事