ヤマネコ目線

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なぜ投票に行かないのか

 先の参議院議員選挙投票率は新聞社によって微妙な誤差があるが、おおむね約52%だった。前回よりは高かったが史上4番目の低さである。

www.nikkei.com

「どうせ変わらない」じゃねえよ

 私の身の回りの人間でも「行っても変わらないから」という理由で選挙に行かない人間がいるが、これほど愚かな考え方は無い。

 確かに今回の選挙も与党が勝つのは予想の範囲であったし、直前に置きた安倍元総理の殺害事件、それに乗じた各野党と応援勢力のセルフ・ネガキャンによって更に与党に追い風が吹いている感じはあったので、そこで「自分1人が選挙に行ったところでそう大して変わらない」と感じるのは分からなくもない。

 しかしそれが自分1人だけでなく、同じように考える人間が10万、100万、1,000万人居たらどうか。それによって政治に反映されない意見はどれだけ多くになるか。

 たとえばスウェーデン投票率約80%である(人口からして違うので単純比較するのも心苦しいが)。日本の人口は約1.2億人で、実際に投票権のある人間はおおよそ近似して約1億人。その約52%が5,200万人。スウェーデンと同じ80%になれば8,000万人なので、実に約2,800万人が投票にすら行っていない計算になる。

 これはあくまで概算値だが、「自分が行ったってどうせ何も変わらない」、そういった浅はかな思考の積み重ねが大きな損失を招いているのは明らかである。それだけの人間が動けば多少なりとも世の中は変わる。変わらない筈がない。

投票率が低すぎる

 国政選挙で50数%という投票率はいつ見ても本当に情けないと思う。行けよ・・・政治に不満があるなら!逆に投票行かないで最低限の権利すら行使しないなら、もう一切政治に関する文句言うなと思う。「税金多い」とか「社会保険料高い」とか含めて一切言うな。言う権利がない。俺は近年の自民党の政治に不満があるから意地で野党に入れたぞ。比例は国民民主党。それにしても思ったよりも皆さん、政治への不満が少ないんですね~・・・。

 投票率52%と言うのは、学校で例えれば40人のクラスで21人の意見で重要なことが決まっているというのと同じ。それで納得できるのか。それで良いのか。どう考えても少なくないか。

 それも今回は参議院選挙だった。与党はどのみち衆議院の優越を使って大抵の事を押し切る訳で、そういう意味では存在意義の薄い参議院の選挙だからこそ普段から溜まっている政治への不満をぶつけるチャンスであった筈なのに、なぜ与党を大勝させ、あまつさえ改憲勢力とされる政党も勝たせるのか。意味が分からない。今の失政と消費増税憲法改正への方針にお墨付きを与えてしまった。本当に、この国民あって今の政治ありという感じで面白くない。いわゆるサヨクの人たちの気持ちが少し分かって来た。

 一応書いておくと、私は時期が来れば憲法改正はすれば良いと考えている。自衛隊国防軍にすることも防衛力強化も異論はない。ただ自民党憲法改正草案を見るとそれだけの内容では無いし、現行憲法と比較して削除すべきでない箇所が削除されている、内容そのものが幼稚化あるいは退化しているので、憲法改正にはまだまだ時期が早い。国民の関心がそもそも薄い。改正草案を読まずに何となく「自衛隊国防軍にするだけっしょ」と思って賛成しているなら論外も論外だし、精査した上で憲法改正に賛成しているなら残念ながら救いようがない。何も言えん。

 それはさておき、考えなしにそれこそ香典代わりに投票に行く様な感じならそれはやめろとは言いたい。”出来る”人間と”出来ない”人間がいるように、どうしても得手不得手とかではなく能力的に不足している人間がいるのも事実なので、投票率100%は無理であろう事は仕方ない。私は能力的に言えば下の方だと自覚しているがそんな私ですら呆れるような無能な人間もいたりする訳で、同じ人間として生まれても、生まれながらにして格差がある事を感じずにはいられない。

 でもせめて普段からYahoo!ニュースで国内、国際、経済、IT、科学、地域のカテゴリにあるニュースくらいは抑えておけよとは思う。それすら出来ない、ニュース見ない人間が思ったよりいるのでそれが何より危機感を覚える。判断材料が無ければ判断は出来ないし、選挙前にいちいち候補者ごとに主張を調べなくとも、普段から政党の動きを見ていればその政党がどの程度のレベルなのか、党として全体的にはどの方向で動いているのかが分かる筈。18歳から投票できる訳だが、逆に言えば18歳以上で世の中を観察する事が出来ていないなら本当に恥ずかしい。もはや一周回って哀れみすら感じる。せっっかく人間として日本に生まれたのに、どうしてそんな事すらしないのか。

ネット投票は実現できるか

 一部では選挙の度にネット投票を求める声が挙がるが私は反対である。

 確かにネット投票が実現すれば投票率は多少なりとも上がるかも知れない。しかしそれを実現すると今度は企業、宗教団体などによる特定候補者・政党への投票強制が起きかねない。投票所へわざわざ足を運ぶ価値は、その場所に立会人がいて有権者が誰にも強制される事なく秘密投票を実行している事が保障される事にある。民意を歪めるリスクと多少の利便性を天秤にかけた時、どちらが重いかは比べるまでもない。

 そして、この国のIT技術でセキュリティが確保され外部からの攻撃にも強く信頼性も高くて使いやすいネット投票システムが構築できるとは、もはや残念ながら思えない。紙の投票はムダだと言う人間もいるが、デジタルはデジタルでコストが全く掛からない訳でも、あるいは安くつく訳でもない。むしろ国の行く末を左右するようなシステムともなればそれなりにお金がかかるし、ちゃんと本人が自分の意思で投票操作をしているのかを判定するシステム設計が必要になるので結局、面倒くさいものになる。投票所に行かない人間は結局、ネット投票にしてもほとんど行かない。

 何より心配なのはサイバー攻撃中国、ロシアからサイバー攻撃を受ける可能性は十二分にあるし、そうなった時に対応できるだけの力があるとは思えない。対応しようと思えばかなりの設備と備えが必要になるだろう。単純にDDoSだけでも中国は数が多いのでねじ伏せられ得る。サーバーダウンくらいならまだ良いが、得票数の改ざんなどが行われてしまうともう、目も当てられない。私は一時期ハマっていたゲームがあったが、そのゲームで中国人チーター(チート=ソフトウェアやハードウェアで不正行為をすること)が増えてからはやらなくなった。ゲームのサーバーにまでDDoS攻撃がある。

 システムを構築するにしても、どこの会社がいくらで請け負うかも問題になる。再委託再々委託、中抜き中抜きの日本の行政で、前述した要件を満たすネット投票システムを構築しようとなるといくら掛かるのか、どれだけムダな税金がかかるか分かったものではない。元の予算からすれば少なすぎる予算で製作されたろくでもない杜撰な投票システムが出て来るくらいなら、最初からやらない方がマシである。