ヤマネコ目線

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大麻は解禁すべきか

 書き散らし。タイで大麻の家庭栽培が解禁された。ただし、娯楽目的での吸引は違法である。

news.yahoo.co.jp

是非について

 私自身は日本国内での大麻解禁に反対というか単に「必要無い」と考えている人間だが、そうでない人間もそれなりに居る。いわゆる解禁派で正直、こういう話題を出すとすぐ攻撃的かつ無礼な態度で噛みついて来るので嫌いなのだが、彼らの主張する内容は理解できなくもない点もある。と言うか本当に攻撃的かつ無礼な噛みつき方をするのが多いので、むしろそういう人間のせいで実際がどうあれ、余計に心象が悪くなって反対が増えているまである。もう、タイへ移住しろよ・・・煽りじゃなくてその方が幸せになれるかも知れんぞ・・・。

 後述するが大麻有害性・依存性はタバコやアルコールより弱いので、その点を考えれば解禁できなくはないかも知れない。ただ私個人として一番懸念するのは”臭い”。今でもタバコの受動喫煙が問題になっている中で、タバコよりは弱毒とは言え煙を撒き散らされてはたまったものではない。臭い、煙からはなかなか逃れられない。タバコが非常に忌み嫌われるのはそこである。酒は自分が飲んでいても他人からすれば多少臭いだけで、自分以外が酔う事はない。しかしタバコは主流煙以上に有害な煙をそこら中に撒き散らす。自分以外に害を成す。大麻の煙がそれと同じような事にならないとは思えない。むしろ「タバコよりは毒性弱いよ」、などとヘラヘラ笑って吸わない人の前でも吸う輩が絶対に出てくる。現にタバコではそういう人間がいるし、ポイ捨てなども無くなりはしない。

依存性や解禁に関する議題

 依存性と有害性について調べると分かるが依存性、有害性ともアルコールやタバコより低い部類に属している。先の2者が違法とされていない以上、大麻を規制するのはおかしな話、というのが解禁派の主張である。ただ依存性、有害性がある事に変わりは無く、良く言えば「大した害は無い」のだが悪く言えば「中途半端な有害性がゆえに常習化・重症化しやすい」とも思える。その辺りをどう考えるかがまず問題だろう。

 医療用大麻についての文脈で解禁すべきとの声もある。大麻の鎮痛作用によって末期ガン患者の痛みを和らげるといった有効な使い方は確かに存在するし、海外でも認められている。冒頭で触れたタイのニュース、「娯楽目的での吸引は違法」な一方で「医療用ならば合法」というニュアンスが含まれる。ただ、日本で医療用に解禁をと主張しているのがどう見ても娯楽目的で使用したいと思しき人間で、本当に医療用の事だけで主張しているのか怪しいと感じる。本当に医療用だけの使用ならば解禁しても良いとは思うが、もし医療用以外にも解禁するとすれば、嗜好品として末期ガン患者が使用するような鎮痛作用のあるものを一般に流通させるべきなのか疑問でもある。

 日本における取締の基礎にはゲートウェイ理論(踏み石理論)がある。これはいわば大麻が薬物乱用の入門になって、そこから更に強い薬物へエスカレートするのが問題、なので入門段階から取り締まるべきという理論。この理論自体には懐疑的な考証もあるし、検証してもその理論を立証できなかったという研究の方が多いとされる。私見としては日本において、大麻が違法とされている以上はそれを取り扱うのが反社会的勢力(あるいはそれに近い組織)であり、そういった組織と関わりを持つこと自体が他の違法薬物へのゲートウェイとなっていると考えている。大麻自体が悪いのであれば同様にタバコやアルコールに依存する人間も違法薬物へ手を出しやすい筈で、そこにゲートウェイ理論が適用されないのは不思議な話。

バイオマス資源としての大麻

 日本古来に使用されていた大麻に含まれるTHC*1の量は不明だが、現在産業用に栽培されている産業用大麻THC含有量が品種改良によって0.3%以下まで減らされている*2。なので繊維やバイオマス燃料向けに栽培される産業用大麻(ヘンプ)と、いわゆる"ハイ"になれる大麻を混同して語るのは無意味。そもそも「麻」と一口に言っても品種は100種類以上あり、THC含有量やCBD*3含有量は品種によって大きく異る。そこをあえて混同させて解禁を主張する人間もいるが、そういう事をすると余計に信用されなくなるのでやめるべき。

何にせよ

 私はタバコもアルコールも大麻も関係ない人生が良いし、実際私はそういう選択をしているので関係ない。タバコにせよ何にせよ煙、臭いを撒き散らすのは迷惑なので勘弁して欲しい。IQOS(アイコス)みたいな電子タバコも臭い*4。ただまあ、末期ガン患者になったとして大麻が良い鎮痛剤になるなら、確かに欲しいのだろうとは思う。どうしても娯楽として吸いたい!と言う人は、冒頭に述べたようにいっそ解禁されつつある国へ移住すべきだ。その方が日本で解禁される事に淡い期待を持ち続けるより、幸せになれる可能性は高い。

 余談だがアルコールは昔から「適量なら健康に良い」と言われて来たが、最近の研究では「量に関係なく体に悪い」とされている。そもそも「適量」の定義が曖昧で個人差もある以上、その量は各人の判断に委ねられる訳で、それを「適量」と言うのは矛盾が生じるだろう。

 「酒もタバコも飲まないなんて何が楽しくて生きているの?」、とは上の世代の常套句だが、これは時代の移り変わりでしかない。というより日本人が貧困化するにつれて、娯楽の在り方が変わって来ただけの話。昔は結婚して子供を作るのが当たり前、いわば所帯持ちになるのが当然だったので、その中で男はお小遣いの中で最大限の楽しみを得られるもの(酒、タバコ、風俗etc.)や、お小遣いを増やせるかも知れない娯楽(パチンコ、競馬、競艇etc.)を主な楽しみとして来た。しかし今は所帯持ちになれるのが当たり前ではない。ともすれば諦めている人間もそれなりに居る。娯楽は世の中に溢れており、資金もある中でわざわざ健康に害のある嗜好品に手を出す必要性が薄い。酒、タバコ離れはそれだけの事。

 パリピ的な人々、いわゆるDQN、マイルドヤンキーのような層は本能のまま動き結婚などもしやすいので、その辺りの人間はタバコや酒から離れてはいない。

*1:テトラヒドロカンナビノール

*2:娯楽用は14%など

*3:カンナビジオール

*4:一風変わった屁みたいな臭いがする