ヤマネコ目線

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大麻グミなんか食うな

 知らない人から大麻グミなる物をもらって食べた数名が、体調不良を訴える事件があった。

news.yahoo.co.jp

(記事題|「音楽がよく聞こえる」祭りで男性が”大麻グミ”配布 5人が病院搬送 専門家「野放し状態・・・放置すると死者が出る可能性も)

大麻グミと言うが

 記事に記載があるが大麻グミなるものに入っているのはHHCHと呼ばれる成分で、厳密に言えば大麻に入っている成分とはまた少し異なるもののようだ。だからと言って「大麻は悪くない」と大げさにまくし立てるつもりは無いので先に書いておく。

 大麻に含まれる”有効”成分で指定薬物とされているTHCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)に、さらに水素を付与して化学的安定性を高めたのがHHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)。これがまだ規制対象となっていないのが問題。素人目線で言えばなぜ「カンナビヘキソール類」と括って規制しないのか謎。それで困る場合があるのかも知れないが、ホワイトリスト方式にすれば良いだけでは。

 大麻に寛容な人々はこれまでしきりに「自然由来でタバコよりも依存性が低い」ことを盾にして来た訳だが、それが有効成分だけを抽出したTHCH製品を求めるようになり、さらに人工的に水素を付与したHHCHになりと、より刺激の強い幻覚作用を求めて順調にステップアップし、さらには健康被害まで出ている点はどう考えているのだろうか。いわゆるゲートウェイドラッグの論理は正しかったのではないか。

 まあ、「大麻反対派の工作」だとか何だとか言って逃げるのだろうが。

知らない人から貰ったものを食べるな

 大麻うんぬん以前に指摘されていたのがこれ。ごもっともである。武蔵野はらっぱ祭りでは白杖を持った人物が大麻グミを配っていたそうだが、そんな良く分からん奴から、それも「大麻グミ」と言って渡されたグミをよく平気で口に出来るな、というのが正直な感想。合法かどうか怪しい、ひょっとしたら大麻と言いつつ別の薬物が入っている、などの可能性を考えなかったのか。

 昨今は大麻解禁の声も聞かれるが、逆に「大麻」だと言っておけば何が入っていても「ちょっと怪しいけどそこまで害が無いもの」と認識を誤らせることも可能だろう。最初だけ無料で大麻と偽ってより強い薬物を与え、依存させてから2回目以降は「金を払えば売ってやる」という流れもあり得る。祭りなどのイベントで浮かれている時は要注意だ。

 今回の件ほど直接的な受け渡しではないにせよ、過去には自動販売機に忘れられたものを装って毒物入りの飲み物が置かれ、それを飲んだ複数名が死亡する事件が起こっている。何にせよ知らない人からもらったり、何故か手をつけずに置いてあったりする飲食物には手を出さない方が良い。

ja.wikipedia.org

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大麻自体の是非

 X(旧Twitter)で大麻解禁派を名乗る攻撃的な輩に絡まれたのが悪い思い出として残っているがあえて書いておく。

 大麻の毒性や依存性はタバコやアルコールよりも低い、というのは様々な資料を見る限り事実として表れている。ではなぜアルコールやタバコが合法である(許容される)一方で、大麻は禁止されて来たのか。

 おそらくそれは文化的な影響力の違いだろう。大麻を使用する文化や宗教はあったとされるが、それがメジャーになる事が無かった。かたやアルコールは発酵を利用して様々な食物から作られ、古代エジプトのビール、古代ギリシャのワインなど生活・文化の一部として嗜まれて来た。現代では産業の一部となっている。

 タバコは北米の先住民が儀式などに使用していたのが最初とされ、それをコロンブスが持ち帰って広めたのが始まりとされている。もしこれがタバコではなく大麻であったなら、現状も少し違っていたかも知れない。

禁煙豆知識・タバコの歴史 | 健康づくり | ソニー健康保険組合

 逆に考えれば大麻はアルコールやタバコほど依存性が強くないため、その2つのように人間社会に取り入るには(良くも悪くも)パワー不足だったと見ることも出来る。「アルコールやタバコほど依存性が少ない」と言うのは、言い換えれば「アルコールやタバコよりは無くても平気」ということ。

 現在では「大麻を解禁する国が増えている」と言われているが、ここでいう解禁は”医療目的での”解禁と”嗜好品としての”解禁があることを忘れてはならない。嗜好品として解禁しているのはカナダ、ウルグアイ、タイ、アメリカの一部の州。このうちタイは新政権が嗜好品としての合法化を見直す意思を表明しており、これからどうなるか不透明。

news.yahoo.co.jp

(記事題|タイ新政権「大麻解禁」の見直し検討 娯楽使用の拡大を問題視)

 なお、タイは観光立国でありコロナ禍からの立ち直りのため、大麻目的の外国人を観光へ呼び込むために嗜好品大麻を解禁したのでは、という見方もある。

 カナダやウルグアイに関しては既に大麻使用者が多過ぎて違法にしても取締りに無理が生じる、キリが無いので実務上の問題から容認するしかないという話で、大麻経験者がそこまで多く無い日本とは事情が違う。

 何にせよ「世界的にこういう流れなんだから日本においても嗜好目的での使用解禁を」、という同調圧力的な論理で他国との事情の違いを無視し、世界196カ国の中では明らかに少数派の解禁国の話を持ち出して世界的な流れがどうのと言われてもそれこそラリってるのかとしか思えない。

 大麻は依存性や毒性の低さ、有効な活用が出来るという観点から冷静に見れば医療用としての解禁は妥当と思う。しかし娯楽用として広く解禁しようと言う点については既にアルコールとタバコという問題児がいる以上、さらに問題を増やす可能性が高いと思われるので賛成しがたい。特にゲートウェイドラッグとしての立ち位置はHHCHやTHCHの存在が証明している。それでも解禁するならばせめて先にタバコを違法にして欲しい。

 タバコやアルコールにしても違法では無いとは言え、その悪影響が手放しに許容されている訳ではない。喫煙所は減り続けて喫煙者そのものが煙たがられ、アルコールは少量であっても毒であるという認識が広く浸透しつつある。すでに文化的、産業的な地位を確立しているがゆえに下手な規制が出来ないだけであって、依存症患者以外から肯定的に受け入れられている訳ではない。酒もタバコも大麻も手を出さずに快適に過ごせるならば、それが一番ではないか。

 ところで医療用大麻の法整備が進む中で娯楽用と区別するために「大麻使用罪」の創設が検討されているが、今まで医療用大麻の解禁を訴えて来た人々が医療用には制約を課さないであろう使用罪の創設に猛反発しているのは何故なのか。結局、医療用ではなく嗜好品として使いたかっただけではないのか。だったら解禁されている国に行けば良いのに。その方が日本社会が大麻を受け入れるのを待つより早い。

 ちなみに大麻もタバコと同様の吸引(喫煙)方法があり、その場合は有害な副流煙が発生するとされている。解禁しろ解禁しろと言ってる連中はいざ解禁されれば、「タバコより害は無いから」と他人のことなどお構い無しにそこら中で吸い始めるのだろう。ろくな事にならないのは目に見えている。

 「酒もタバコもやらないなんて人生何が楽しくて生きているの」とはたまに上の世代が口にする言葉だが、逆にそんなものしか人生に楽しみを見いだせないなんて可哀想なことだ。頼らなくて良いものに頼らないといけない事態は出来るだけ避けたい。お金が無いからというのもあるが、自分自身の人生に何が必要で何が必要で無いかは自分で選ぶ。

 余談だがStableDiffusionに「hemp gummy」とだけ投げた(ネガティブプロンプト無し)ら下の画像が出てきた。普通にありそう