ヤマネコ目線

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メタバースはセカンドライフの二の舞になる

 書きなぐり。ただの感想。これって私の感想ですよね?はいそうです。

セカンドライフの香りがする

 最近メディアでも推されているメタバースだが、そこから感じるのはそこはかとなく懐かしい「セカンドライフ」の香りだ。理想と厳しい現実とが入り混じった物が焼け焦げたどうしようもない臭い。そういう臭いがする。特に何かデータとかある訳ではないが、直感的にも、また少し頭の中で考えてみても、メタバースセカンドライフに二の舞になる予感がする。

VRはまだまだ敷居が高い

 セカンドライフにせよメタバースにせよ、問題となるのはその世界に入り込むための手段であり、そこで要求されるガジェット(=VRゴーグル等)はまだまだニッチな層しか使っていない。たとえVRゴーグルに興味があっても手を出しやすい価格とは言えず、今のところ一般大衆に普及し得る娯楽ではない。大衆は高価なデバイスとそれを活かすためのより高価なPC等を買うよりは、もっと安価で手軽な娯楽を求めている。VRゴーグルの決定版とでも言うべきものがあればまだ良いが、今のところそんな物はない。

 日本人に関して言えば総じて貧困化の一途をたどっており、貧しいゆえにVRだの何だのの娯楽以前に、人並みの幸せすら掴むのが難しくなっている。その中で5万10万をポンと娯楽のために出せる人間は少ない(ソシャゲへ大金をつぎ込む人間はいるがあれはあれで異常者でしかない)。私はまだニッチな層の一部なので出そうと思えば出せるが、より現実に重きを置いて生きている人間はそうではないし、若くして結婚し子供もいるなら尚更である。子供の養育、将来的に教育にかかる費用等を考えれば不安は多いだろう。

 また、VRゴーグルを買ってもそれを活かせるコンテンツはまだまだ少ない。有名どころのビートセイバーやVR対応のAV等はまだマシな部類だろうが、それ意外で特にこれが凄いというものが聞こえて来ない。メタバースというある種未知の領域に踏み込むのに、付随するものがそれではやはり敷居が高い。セカンドライフ失敗の最大の要因は「過疎りやすいシステム」であったとも言われるが、それを言い出せばそもそもVRゴーグルを使って何かをするという行為自体が至極ニッチな世界であり、まだ今の時点では過疎りやすいも何最初からあまり人がいない。

企業先行の金儲けで一般人は白け切る

 仮想空間における利害においても、メタバースセカンドライフの二の舞になるだろう。人々はある種の理想を求めて仮想空間に行くのに、そこでは現実と同じような格差が広がっており、それも一般人が世界に入る頃には先行した企業によってその格差がガチガチに固められている。企業がメタバースのような世界観を支持するのは単に金儲けの機会だからであって、何らかの崇高な理想に基づいたものでは全く無い。そこにはただ厳しい現実の再現が広がる事になる。ブランド物を身につけてイキり散らしている人間は仮想空間でも財力にまかせてイキり散らかすだろうし、現実でお金がない人間は仮想空間でも最低限のアバターのままうろつくのである。

 最低限のアバターというのはあくまで比喩表現であって、仮想空間上の家や土地ほか、あらゆる物についてこれは言える。価値というのは絶対的なものではなく相対的なものであり、人間が勝手に作りだすものであって、仮想空間でもそれは変わりがない。仮想空間の中では価値が生まれない訳ではないが、逆に言えばそこで格差が生まれない訳でもない。そしてそこで有利なのは、必然的に現実でも富める者である。

仮想空間はSDGsにも反する

 今流行りのSDGsだが、メタバースはその理念に反していると思う。仮想空間を支えるのは膨大なコンピューターであり、膨大な電気エネルギーである。その電気エネルギー調達のために必要なエネルギー、環境負荷を考えた時に、果たして仮想空間自体が許されるべきなのか否か。

 環境問題が叫ばれて久しいが、人類の生活はほとんど変わっていない。触媒だのEVだの小手先で何とかしようとしてはいるが、現実問題として地球上に人間は増え続け、使用するエネルギーの総量は増え続けている。人類が使用するエネルギーの総量こそが環境負荷の本質であり、それが減らない事には地球にかかる負荷が減ることはない。エネルギーはどうやってもこの世界の中で収支が合うようになっている。エネルギー保存の法則を知っていれば当然の事だ。エネルギーの形態を化石燃料から電気に変えただの、発電方法を火力から原子力に変えただの、そんな小手先では環境負荷は変わらない。減ったような変わったような気がしても、それはどこかで別の形となって現れている。人間がそれに気づいていない、あるいは気づかないフリをしたいだけだ。

 仮想空間に価値がないと言いたい訳ではないが、そういった人類の娯楽のためだけの世界を発展維持させる事に、今以上に膨大なエネルギーを浪費する事に私は強い危機感を抱いている。仮想通貨についても同様で、それらが連動して発展するのであれば尚さら悪い。人類が作り出した経済というゲームフィールド、元からある種の仮想世界である経済においてのみ価値を発揮する仮想通貨、そのマイニングのために夥しい数のGPUを電力を湯水のごとく使って稼働させる。そんな事が、それと同様の事がこのご時世に許されている事が不思議でならない。電気エネルギーはエコだからいくら使っても大丈夫なのか?そんなバカげた考えは100年前かそこらに置いて来るべきだ。

仮想空間のこれからはどうすべきか

 メタバースのような世界は目新しく、未知の物事が少なくなった現代では魅力的に映るかも知れない。しかしそれを構成する中身が現実の人間である限り、そこに理想の世界は無い。それでも仮想空間に夢を見たいならば、人類はそれを維持し発展させるためのエネルギー源を地球に負担をかけない形で用意する必要がある。そうでもしなければ今後、我々が現実で直面する問題を更に大きくするだろう。そうなれば仮想空間どころではなくなる。一時の夢を見たとしても、その世界はすぐに崩れ去る事になる。