ヤマネコ目線

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ウィル・スミスのビンタは許されるか

 書き散らし。アカデミー賞でのウィル・スミスによるビンタ事件は正直、私はクリス・ロックが悪いと思う。日本人的な感覚から言えば、他人の妻の病気を笑いの種にしようという発想は明らかに低俗で醜い。

 しかし、欧米ではウィル・スミスの方が悪いという声がそれなりにある。

ノブレス・オブリージュ的な思考

 「ノブレス・オブリージュ」そのものだと言ってしまうと少し大げさかなと思いつつも、ウィル・スミスを批判している人々(≒海外の人々)にはその意識があるのかなと思う。ノブレス・オブリージュは「富裕層・有名人はその立場にふさわしい倫理観をもった振る舞いをすべき」という考え方であって、それは社会的な圧力でもある。要は「たかが道化の戯言に何を一流俳優がガチ切れしてるんだよ」という感じだろう。平手打ちはまだ良心的ではあると思うが、手を出さずその場で口で抗議するに収めておくべきだったのかも知れない。

gigazine.net

 一応、海外でもウィル・スミスを批判する層、クリス・ロックを批判する層は年代や年収などで分かれており、若い世代ではクリス・ロックに批判的な割合が若干多い。ノブレス・オブリージュ的な意識が若年層とどのような関係にあるかまでは見えないので、そこで関連性があると断定は出来ないが、若年層がクリス・ロックに批判的なことを見るに感情を優先した場合はクリス・ロックが悪いのだろう。

海外と日本の「コメディアン」の立ち位置の違い

 そもそも日本と海外では、コメディアンの性質が大きく違う。海外のコメディアンではネタの型は大きく3つあるとパックンが述べている。性的なネタ、政治的なネタ、田舎ネタの3つ。カテゴリからしてどれも日本でやれば観客は眉をひそめるものが、アメリカではメジャーなのだ。日本のコメディアンは自分たち自身を笑い者にさせ、可能な限り「誰も傷つけない」お笑いを目指す。テレビ局も誰かを傷つけそうな言葉、政治批判を放送することは避けたがる。一方、海外では大っぴらに有名人や政治家の性的、政治的なネタを笑いの種にする。有名人や政治家、富裕層といった「持てる者」はそれを甘んじて受け入れる。

logmi.jp

 ちなみにWikipediaにも記載があるが、クリス・ロックが問題発言をしたのは今回が初めてではない。アカデミー賞の対応は全くもって甘いもので、人種差別を感じずにはいられないが、それがアカデミー賞というものなのだろう。口先では綺麗な事を言っていても、本質はいつだってそんなもの。黒人はBLMなんて言うがアジア人は平気で差別する。

ja.wikipedia.org

残念ながら

 正直、私個人としてはウィル・スミスはそれでも許されて欲しいと思う。どこにでも「超えてはならない一線」はあると思うし、それはあって然るべきだと思う。しかし、アメリカ社会においてウィル・スミスもまたその一線を超えてしまったと見做されている可能性は大いにある。どちらも一線を超えているのならば、分が悪いのはより"持てる者"たるウィル・スミスだろう。アカデミー賞追放は十分にありえる。願わくば今回の一件が何らかの形で生かされる事を・・・