ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

Vocument #1感想

 メタバースプロダクションなるチャンネルがYouTubeにアップしている動画を、知り合いの紹介で見た。その感想の書き散らし。

 批判的な内容が多分に含まれているのでオダギリジョーさんのファンの方々はブラウザバック下さい。

www.youtube.com

 ここから先はネタバレありで書くので、動画が気になる人は先に動画を見てからにして欲しい。行間を稼ぐために関連動画でも貼っておく。

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微妙過ぎる

 大型LEDパネルで背景を作り撮影されたドキュメントだが、正直タネ明かしの後は物凄くガッカリさせられた。確かに光の加減や環境音の再現などは見事で、違和感がありながらも最後までLEDパネルの背景だとは気づかなかった。

 しかし原理的というか技術的に言えば「大昔の白黒映画でカーチェイスのシーンをスクリーン投影した背景を使って撮影する」のとそう大差ない。合成技術で言えば、ハリウッド映画で流行りのクロマキーの方がまだ進化している。これが動画中でこれでもかと言うくらいカッコつけているオダギリジョー氏、一貫して映画チックな画づくりと相まって余計にガッカリさせられる。いくらカッコつけてもダサいもんはダサいぞ。

 終わりかけに雰囲気で気づき、私の中ではメタバースのチャンネル名も相まって「ひょっとしてオダギリ氏ふくめて全てCGで製作された映像なのでは」、という淡くて大き過ぎる?期待が急激に膨らんだのだが、その後での「実は背景LEDパネルでした~」という現実に打ちのめされ、余計にガッカリした。まあそんな訳ないよね。分かってたよ。

 アマチュアカメラマンからの視点で見ると、動画の中での映像は少し違和感を感じる点があった。まずオダギリ氏以外の登場人物の少なさ。あえてそういう場所、風景を選んでいるのだろうが飲食店でのシーンは違和感が強い。

 次に和室で何かを書いているシーン。下からのアングル、縁側の外側では夜に花火が映っているシーンがある。そんなに都合よく花火の見える時と場所で撮影出来るか?という疑問は置いても、花火そのものの見え方に違和感を感じる。後は寂れた商店街のシーン、背景ボケがどこか不自然でピント位置もずっとオダギリ氏に合っているのが逆に違和感を感じた。

 後はタネ明かしをされた後の話だが、映画風の画づくりはLEDパネルの色味を誤魔化すためなのだろうな、とも思う。ああいう動画の画づくりなら実用に堪えるのだろうが、それ以外での実用性は私の見立てでは怪しい。「この環境ならどんなシーンでも撮影できます」、みたいな事を言いたいのか知らないがおそらくそれは無理。重要なシーンを撮るなら私であればああいう手法は(出来る限り)使わない。

 オダギリ氏には申し訳ないが氏が動画の中で語った哲学も、ほかならぬこの動画のせいで酷く薄っぺらく感じてしまった。「場所が物語をつくる」だったか。氏は本心でああいった環境を映画か何かの撮影に使いたいと思うのだろうか。出来るなら現実の空間で理想的な撮影環境を探したいと思うのではないのか。現実的な場所こそが物語を作るのではないのか。撮影手法としての仮想空間を否定したい訳ではないが、クリエイターとしての哲学と動画の内容に酷い矛盾を感じざるを得ない。

そもそも論として

 というかこれ、メタバース関係あんの?ヘッドセットもVRゴーグルもいらないメタバース?これが???では現実の空間で普通に活動してはどうだろうか。好きな場所、好きな時間で。そっちの方が場所としての解像度、情報量は多いしヘッドセット、VRゴーグルもいらないぞ。

 と言うかあんまり気にせず見たけど製作がヒビノと"電通"じゃん。くっさ!ついでに言えばコメント欄閉鎖してるのもダサい。ネタバレ対策とかいろいろ言うだろうけどまあ、批判封じだろうね。他の企業もやってるけど。

メタバースは流行らない

 前々から言っているがメタバースは流行らない。流行らそうとしている人、企業を見れば分かる。彼らはいろいろ彼らなりの成果、活動をPRして見せるが、それらは全て「誰かをカモにして金儲けするため」である事を見透かされている。自覚があるのか無いのか知らないが露骨過ぎるのだ。なので現実が充実している人からは興味すら持たれず、そうでない私のようなオタク気質の人間には簡単にその本質を見抜かれ、ユーザー獲得に至らない。セカンドライフと同じ。どこまで行っても金儲けしたいと集まって来た狼たちの集会。共食いはご自由にどうぞ。