ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

失敗しないカメラ選び(入門・初心者向け)

 一眼カメラを4台を買ってきた身として、経験を踏まえて失敗しないカメラ選びを少し書いておく。一応、経験に基づく話に絞って書きたい。

購入してきたカメラ:Canon EOSkissM, SONY α7III, FUJIFILM  X-S10, SONY  α7IV  *購入順

画質について

 よく比較されるのがスマホだが、スマホよりは絶対に一眼の方が画質は良い。これはまず断言しておく。ただ正直なところ、センサーサイズがAPS-C10万円台クラスのカメラであれば感動するまでの画質の差は無いと思う。こればっかりは初心者、入門者にとってどれだけの予算が許せるかという問題もあるが・・・。ただ10万円台のカメラでも「良いレンズを使って屋外で晴れた日に三脚を使って撮影した写真」ならば十分鑑賞に堪える写真は撮れる。

 スマホカメラの画質が良く見える原因は主に3つある。

  • シャッターを押したら否応なく自動で修正をかけている
  • 小さい画面で見ている
  • 本当に高画質な写真がどういうものか知らない

 この3点があるから、スマホの写真にはそこまで不満が生まれない。

 1つ目は自動で修正。これはシャッターボタンを押したら写真を撮影するだけでなく、自動で輪郭をシャープにするなどの処理をかけているという事。一眼カメラでは良くも悪くもそこまでしない(編集する余地を残すため)。

 2つ目は小さい画面で見ているから。これはあまり実感が湧かないが、何だかんだで小さい画面でしか見ないものは多少粗くても誤魔化しが利く。27インチくらいのPCモニターなんかで見れば差は歴然だし、それは印刷においても同じ。

 3つ目は単純に「上を知らない」というだけの話。何事も上位と下位では差があるが、その差は上に登って見て初めて実感できる。「回らないお寿司に行ったことが無いから『回転寿司で十分』と言える」みたいなもの。ちなみに私は回らないお寿司に行ったことありません・・・。

周辺機器

 大前提として一眼カメラはスマホより重いし嵩張る。まあこれは誰でも分かるとして、レンズ交換式カメラなので用途に応じてレンズを変えることが必要というか醍醐味になる。維持費も知れた程度ではあるがかかる。レンズに関しては一応、広角から望遠まで対応できるものがあるが画質は専用のものには劣る(いわゆる便利ズーム)。

 初めて購入する際はカメラとレンズのセットだけでなく、保管用のケース、レンズのホコリを掃除するクリーニングセット、写真記録用のSDカード、レンズをカビから守るための防湿剤などが必要なことに注意。首からかけるためのストラップは附属していることが多いが、いろいろ買うことを考えると予算は1万円ほど多めに見ないといけない。別に買わなくてもいいや、と言う人もいるだろうけどそれでレンズがカビたりするともったいない。売るとしてもカビると買取査定は当然下がる。私が最初に買った周辺機器等は以下のとおり。

  • 液晶保護フィルム(対応機種を要確認)
  • 予備バッテリー(ミラーレス一眼で10万くらいのは特にスタミナが持たない)
  • SDカード(連写する場合は書込み可能速度に注意)
  • カメラバッグ
  • レンズフィルター(レンズ保護用、対応直径を要確認)
  • レンズフード(レンズ保護用、附属していない場合が多い)

ファインダーが付いているものを選ぶ

 よくあるのが「背面液晶しか見ないからファインダーは要らない」という意見、私は賛同しかねる。背面ディスプレイは確かに見やすいが、屋外で晴れた日だと本当に見づらくなる。今どんな風に写っているかが確認できなければ写真は撮れない。「集合写真撮ったけど誰かが切れてしまった」なんて事になる可能性がある(集合写真に限らないがとにかく構図で失敗する可能性が上がる)。

 ファインダーは覗き込む必要はあるが、その分、強い日差しの下でもどんな風に写っているかが見やすい。屋外で撮影する可能性があるなら付いているに越した事はない。予算の問題で付いていない機種を選ぶのは別に止めはしないが・・・。屋内でしか撮影しないという場合はおそらくファインダーが無くても構わない(と思う)。

センサーサイズ

 この先、センサーサイズという言葉が出て来るがここで言うセンサーとは、ざっくり言えば光を電気信号に変えるセンサーのこと。人間の眼で言えば網膜。センサーが大きければ大きいほど画質は良くなると考えれば良い。大きさは「センサーサイズ 比較」でggればすぐに出てくる。画素数も大事だが本当に大事なのは「センサーサイズ」。

参考)MAPCAMERA

 写真の本質は「光の記録」である。「いかに多くの光を集め、記録出来るか」が画質に直結する。そこでモノを言う大きな要素は

  • より多くの光を損失が少ないまま集められるレンズ
  • より多くの光を受け止めて記録できるセンサー

の2つ。スマホのカメラは物理的にこの点で一眼には敵わない。逆に上位のカメラになればなるほど、画質が上がる一方でレンズとセンサーは大きくなる(=カメラが重くなる)。

 なお、私のオススメのセンサーサイズは「フルサイズ」。明らかにスマホよりも上の画質の写真が撮れるし、個人的に納得のいく画質がフルサイズ以上でしか撮影出来ない。なおかつアマチュアが手を出せる予算の範囲で本体もレンズもある。フルサイズ以上(=中判、ラージフォーマット)となるといろいろ値段が手を出せないレベルになるのでちょうど良い。

一眼レフが良いのか、ミラーレス一眼が良いのか

 どっちが良いかはまず構造とそれによる違いを理解して、自分の撮影用途にとってどちらが向いているかを考えて選ぶ必要がある。一概にどちらが良いとは断言できない。ただ単に帰属意識から一眼レフが良いだとかミラーレス一眼が良いだとか言うのは愚かしい。重要なのは自分にとって納得のいく写真が撮れるかどうか。

 一眼にはミラーレス一眼、一眼レフの二種類があるが、その差は「内部にミラーが入っているか否か」。ミラーレス一眼は内部にミラーが無いので「ミラーレス」。一眼レフのレフはレフレックス(反射)の意味で、内部にミラーが入っている。

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一眼レフとミラーレス一眼の違い 模式図

 一眼レフは内部にミラーが入っており、ファインダーにはレンズからの光が直接届く。ファインダーを覗く=肉眼でレンズから見える景色を見る。これに対し、ミラーレス一眼ではセンサーに入った光を一旦電気信号に変換し、それをEVFや背面ディスプレイに映し出すことでどんな風に撮れているかを確認する。

 センサーサイズや使えるレンズが同じなら画質に差は出ない。価格帯が同じでもレフ機(≒大きいカメラ)の方が画質が良い、というのはただの感覚的な偏見である。というかもはやBig3、主要なカメラメーカー(CanonNikonSONY)は軸足をミラーレス一眼へ移しつつある。問題になるのは主に使い勝手の面。一眼レフ、ミラーレス一眼それぞれ一長一短ある。

<一眼レフ>

・光学ファインダーなので被写体を直接的に見て撮影できる=リアルタイム感がある

・〃 なのでファインダーから見る映像にラグがない=動体撮影に強い

・ファインダーに電力がいらないのでスタミナが持つ

・長時間ファインダーを覗いていても疲れづらい

・レンズ交換時にセンサーにホコリがつきづらい

・ミラーがある分、ミラーレス一眼よりも大きくなる

・撮影時にミラーを跳ね上げるため、その反動がある(気にならない程度?)

・AF測距点が少なく画面に対するカバー率が低い

・光学ファインダーなのでどのような明るさで撮れているか等が分からない

  *背面ディスプレイを見れば解決するがそれではミラーレス一眼と変わらない

・光学ファインダーなので暗い場所では被写体が見えづらく、明る過ぎる被写体は眩しくてファインダーを覗けない

・レンズとセンサーの間にミラーがある分、レンズ設計の自由度で不利

 

<ミラーレス一眼>

・一眼レフよりもコンパクト(同スペックのものと比べて)

ミラーショックが無い

・AF測距点が多く、画面に対するカバー率も高い

・どのように撮れるかがファインダーからも見えるので初心者にも使いやすい

・暗い場所や明るい被写体でもファインダーで撮影状態が確認しやすい

 *とはいえ太陽を撮影するのはセンサーを傷める可能性があるので注意

・レンズ設計面で有利であり、レフ機では使えなかったようなレンズが使える

・センサーにホコリが付きやすい

 *保護機能があるものもあるがまだまだ少数

EVFはいわば液晶なので臨場感がない

EVFの映像は現実とラグがある=動体撮影には不向き

 *最近のはほぼ気にならない。あくまでレフ機と比較しての話

EVFに電力を食われるので同じスペックでもバッテリー持ちがレフ機より悪い

EVFを長時間覗いていると疲れる場合がある

・コンパクト過ぎてホールド感が悪い(人によるが)

まず触って見ること

 何より大事なのがこれ。初心者というか今どきの人間にありがち(実際、自分もそうだった)なのがネットで単純にスペックや価格だけ比較して買う機種を決めてしまうこと。確かにそういった情報は重要なのだが、本当に重要なのは実機を触って確かめて見ることである。

 じゃあ何を確かめれば良いんだよという話だが、大きくは下記の通り

  • 重さと大きさ(握った時、できれば一緒に購入するレンズを着けて)
  • ボタンの配置、種類、操作感
  • タッチ操作などのレスポンス
  • ファインダーの有無と見やすさ

 まず問題なのが重さ。一眼を買ったのに持ち出す機会がどんどん減って腐らせてしまう理由に、「大きくて重いから持ち出すのが面倒くさくなった」というのが散見される。そうならないようにまず実機を触り、どの程度の重さ、大きさなのか実感しておく事が重要になる。自分の許容できる範囲を確認すると同時に、この時点で面倒くさいと感じたなら購入しない方が良い。ムダなお金を使わずに済む。

 大きな家電量販店(大阪梅田など)ならそこそこ上位の機種も置いているし、レンズもお試しで装着できる種類が多い。カメラ本体と一緒に購入する予定のレンズを着けて、重さを確認しておくのが良い。

 ボタン類は今のカメラではあまり不満点になる事がないかも知れないが、一応確認しておいた方が良い。特にメニューボタンが押しづらい位置にあると、細かい設定変更をする時にストレスが大きい。カスタム可能な場合もあるので物理的な位置だけではなかなか判断しづらいが。

 また、ダイヤル類は多いに越した事はない。一眼カメラの醍醐味にマニュアルモード(様々な要素を思い通りに設定して撮影するモード)があるが、そのモードでは最低でも2つ、シャッタースピード、絞りの操作が出来る方が良い。タッチ操作でやる機種もあるが、物理的なダイヤルがあればファインダーを覗きながらでも操作がしやすいので、ダイヤルの数は重要。

 そのほか細かい所を言えば、ボタン自体の押しやすさ(ファインダーを覗きながらでも押せるか等)、自分が設定したい通りの機能をカスタム出来るか、ダイヤルは思ったような機能に設定出来るか、などを確認しておけば良い。

 タッチ操作のレスポンスも、使っていてストレスを感じるかどうかを大きく左右する点だ。今のカメラはスマホと同じように操作出来るものが大半で、特に撮影した写真を確認する画面でダブルタップで拡大、ピンチイン、ピンチアウト、スワイプで写真送りなどが出来る場合が多い。それらの操作がなめらかに出来るか、変な引っ掛かりや反応が悪いといった事がないかを確認した方が良い。

 タッチ操作は鑑賞モード以外にも、ジョイスティック非搭載のカメラでAF枠の移動に使ったりする。物理ボタンの数が申し分ないカメラならともかく、ボタンが少ないカメラであれば撮影にもタッチ操作は使うので、使用感は要確認。

作例を見る

 買おうと思っているカメラ、レンズのレビューを見るのはもちろんだが、それ以上に重要なのはやはり「どんな写真が撮れるのか」。レビュー記事でも良いしTwitterで検索してもいいので、とにかく「買おうとしているカメラでどんな写真が撮れるのか」を見ていくのがおすすめ。レンズのグレードによっても写りは違うし、カメラメーカーによっても写真の味付けというか色合いは微妙に違う。カメラ自体のグレードによっては多少色味は調整できるのでめちゃくちゃ気にする必要もないが、ベースが違うとカスタムしても出てくるものが違うのでやはり好みに応じて選ぶことが重要。

 特にFUJIFILMは好みが分かれると思う(私は合わなかった)。別にFUJIFILMアンチではないフィルムシミュレーションと呼ばれるフィルムカメラ時代のフィルムの写りをシミュレートした感じの写真が撮れるのだが、それは凄く趣のある良い写真が撮れる。フィルムシミュレーションの種類も多いのでいろいろ変えて楽しめる。ただニュートラルな写りをメインで、たまにフィルムライクな写真を撮りたい私には合わなかったという話(フィルムシミュレーションはシステム上、切れない)。使用機種はX-S10。

高画素=高画質か

 私自身、今のメインはSONY α7IV(有効画素3,300万)を使っているが、センサーサイズに関して述べた通り画素数が多ければ多いほど画質が上がるという訳ではない。上がるのはどちらかと言えば「撮影画像の大きさ」。

 たとえばα7III (2,400万画素、センサーサイズは同じ)で撮影した写真のサイズは

横6,000 ✕ 縦3,376 (アスペクト比16:9の場合)

 これに対しα7IVでは同じ条件で

横7,008 ✕ 縦3,994 (同16:9)

 写真のサイズそのものが違ってくるので、相対的により細かく写る=画質は上がる、のだが実際はオリジナルサイズそのまま使用する事は少ないので、やはり画素数にそこまでこだわってもあまり大きな差は出ない。より重要なのはセンサーサイズ。

 むしろ高画素化は下記のような弱点も出てくるので正直、入門者にはオススメしない。諸刃の剣。

  • 1枚あたりの容量の増加
  • 上記に伴うメモリーカードやストレージへの負担増と予算増
  • 上記に伴う連写のしづらさ
  • 編集時の負荷の増大
  • 暗所耐性の低下

 まず最初に書いておかなければいけないのが「1枚あたりの写真の容量増加」。2,400万画素のα7IIIの写真は1枚あたりの容量が約11MB。これに大して3,300万画素のα7IVは同じ設定で撮った写真1枚の容量が約21MB(JPEG,最高品質設定)。ほぼほぼ倍増している(理由は正直わからん)。確実に言えることはメモリーカードの容量が倍の速さで減っていくと言うこと。これはアマチュアのお財布には優しくない。

 私は撮影した写真をパソコンに保存しているが、それに必要なパソコンのストレージも倍速で減っていくことになる。厳選?撮影枚数が多すぎてそんなこと言ってられん。私のパソコンは写真等用に4TBのHDDをメインとは別に付けているのでものすごく困る訳ではないが、これがストレージの少ないノートPCしか使えないとかになると厳しい。外付けHDD or SSDを買うしかない。

 そして何より1枚あたりの容量が大きくなると連写しづらい。単純に考えてみて欲しい。JPEGで1枚約21MBなら、メモリーカードは書込み速度210MB/sec以上のものが最低ラインになる(α7IVを基準、秒間10コマとして)。書込み速度の速いメモリーカードはアマチュアからすれば結構なお値段がするので、下手に高画素機に手を出すと必須の消耗品で出費を迫られることになる。連写を封印すれば話は別だが、それが出来るかどうかは被写体による。これはJPEGのみの場合の話であって、JPEG + RAWを1枚のメモリーカードに記録する場合はそれ以上のスペックのメモリーカードが求められる。

 ちなみにα7IIIで安物のSDカードを使って連写してしまったしてみたことがあるが、SDカードが読み込み専用モードに固定されて永遠に書込みが出来なくなりました。パソコンから管理用ファイルを使っても書込みモードにするのは無理。当然、物理ボタンの「LOCK」は外れている状態で。連写する際はメモリーカードのスペックを確認しておきましょう。入門機ではそれほど気にする必要はないかも知れないが、いざという時にメモリーカードが壊れて書込み出来ませんは悪夢。

 編集時の負荷も高画素機の怖いところ。パソコンのメモリ使用量が違ってくる。生半可なPCならストレスも増えること間違いなし。私が使用しているパソコンのスペックはざっくり下記の通り。

CPU : Intel core i7-9700K

GPU : Gigabyte RTX2070Super

メモリ : 32GB

 α7IIIを使っていた頃は、YouTubeで動画を流しながらPhotoshopで編集していても止まる事は無かった。が、α7IVで撮影した写真をPhotoshopで開くと明らかにYouTubeの再生が一瞬止まる。

 暗所耐性の低下は高画素機の宿命(今のところ)。単純に暗所でノイズが増える。ノイズリダクションもあるが、あまりノイズリダクションをかけると細部が潰れて高画素機の強みが無くなるので、そのあたりのバランスが問題になる。

 

予算的なハードルはあるにせよ、その中で楽しんでいきましょう。