ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

アトピー性皮膚炎という鬼

今週のお題「鬼」

 今週のお題2つめになってしまうが、最近ようやくアトピー性皮膚炎から開放されつつあるので書いておく。ちなみに治療前の私のIgE(アレルギーの指標の1種)の値は約41,000です。常人というか普通の人なら高くても370とかそんなあたり。というか改めて調べたら7歳以上なら170くらいってあってなあにこれ・・・

アトピー性皮膚炎はちゃんとした薬で治す

 これが一番大事。今はちゃんとした薬がある。訳の分からない健康食品だのサプリだのに頼るのは良くない。実際、アトピーに苦しむ人々をターゲットにした「アトピー商法」という言葉がある。しかしそういったモノにお金を出しても治る事はない。むしろ下手すれば悪化する。神頼みなんてもってのほか。

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デュピクセント(自己注射、スタンプタイプ)

 で、これがその「ちゃんとした薬」、デュピクセント。薬価が高い(3割負担で1本約2万円)のでおそらくその辺の皮膚科では処方してくれないかも知れない。私は医大病院へ行って初めてこの薬を知った。この薬のおかげでIgEの値は今、8,000くらいまで下がっている(それでもまだ8,000あるんだよなあ・・・)。今はこの注射薬を4週間に1回、自分で注射して飲み薬も一応飲んでいる。あと一応書いておくが案件ではございません。むしろ紹介料ください。薬代の足しにします。

注射薬を処方されるまで、されてからの経緯

 私の戦闘力4万には小さな病院の皮膚科では歯が立たなかったので、紹介状を書いてもらって県立医大病院を受診することになった。医大病院はいきなり電話で予約や現地に行って診察してもらうことは出来ないので注意。初診には地域連携でかかりつけの病院から連絡で予約してもらう(奈良県の場合。ほかは知らん)。

 最初の受診では注射薬の紹介とあまり見ない飲み薬を処方され、上記の注射薬を打っても良いかの血液検査、何にアレルギーがあるのかを詳しく調べるための血液検査を受けた。残念ながら最初からポンと処方されるものではない。

 その次の受診で血液検査の結果と具体的な注射薬についての説明、次回から最初の処方をすることの説明を受けた。一番最初だけ2本、病院内にて看護師さんに打ってもらうこと、それ以降は2週間に1本のペースで注射を打つこと、慣れて来てからは自己注射になることの説明を受けた。病状の経過観察のために写真撮影もされた。

 あとは高額療養費制度・限度額適用認定制度の利用も勧められたが、私の少ない年収でも返ってくるのが雀の涙程度なので利用するのはやめた(とはいえ初回で2本=注射代だけで4万かかるので、その月だけでも利用したい人はする事をオススメする)。IgEの値が下がるまで2週間に1本なのでそれなりに痛い出費ではあった。

 それ以降は定期的な受診で血液検査によってIgEの値がどう変わっていくか観察。皮膚に押し付けるだけの簡単な注射キット(上に掲載した写真)があるので自己注射も簡単であり、すぐに自己注射へと移行できた。IgEは順調に下がって来ていたので徐々に注射の間隔が3週間に1度になり、しばらくして4週間に1度となった。

デュピクセントの効果

 デュピクセントの効果はかなり実感出来ている。これまで飲み薬は処方されて来たが効いている実感は全く無かったのに対し、デュピクセントを打ってからは驚くほど痒みを感じる機会が減った。アトピーによって皮膚が自己崩壊のような状態となり、赤みを帯びることも減った。痒みからアタマを掻きむしり、フケが雪のように舞うことも無くなった。喉の皮膚が荒れる事が無くなり、首を振るだけで治りかけの皮膚が剥がれて痛みを感じるという事も無くなった。何せ痒い所を掻いてもこれまでと違い、痒みが残って広がる感じが無い。普通の人間の体というのはこんなにも楽なのか。ズルいとすら思う。

 小さい皮膚科ではこれまでワセリンでの保湿と飲み薬、ステロイド軟膏を処方されて来たが、ワセリンも飲み薬もほぼ意味を成さず、ステロイドは効くが焼け石に水でどうしようも無かったので、デュピクセントという薬を開発してくれた方々には心の底から感謝している。本当にありがとう。

ステロイドは悪か

 これはハッキリ言っておく。悪くはない。よく「ステロイドは悪!使いたくない!」みたいな話があるが、正直ステロイドで治らないならそれ以外の訳のわからんサプリだの健康食品だので治る訳がない。

 ただ正直、前述したように私の症状には焼け石に水だった。悪化→ステロイドで治る→やっぱり痒くて掻く→悪化の繰り返し。アトピーの程度が低く、何らかの要因で特定の時期だけ悪化するなどで無い限り、ステロイドだけで根治することは無いと思う。症状が長引くという言い方は間違っているというか、「家の壁が壊れたのをダンボールで塞いで、雨風で劣化するたびに新しいダンボールに貼り替えてる」という感じ。それじゃ本当の意味では治らないよねっていう。

苦しみの記憶

 参考までに、戦闘力4万(だった)の私の症状を羅列しておく。備忘録的な意味も込めて

  • 手の甲や喉の皮膚が謎の赤みを帯び、特に冬はいくら保湿しても自然崩壊
  • 常にどこかしらが痒い、掻くと痒みがいつまでも残る上に広がる
  • 痒みで勉強にも仕事にも集中できない。5分と持たない
  • マスクをしているだけで耳が荒れ膿が出る(ゴムアレルギーもあり)
  • 体が痒くて眠れず万年寝不足、特に顔
  • 寝不足なので当然、高校では勉強についていけず(我ながらそれでよく大学行けたなと思う。電気電子工学)
  • 酷い時は顔を掻きすぎてその痛みで眠れない
  • しゃがむと膝の裏が荒れて掻いて出来たかさぶたが皮膚に刺さって痛い
  • 荒れた喉の皮膚が治りかけたものの、運転中に安全確認のため首を左右に振る動作で皮膚が剥がれて痛い
  • アタマが痒くてつい掻きむしり、フケが雪のように舞う(当然、溶けて無くなる事はないので積もりっぱなし)
  • 最悪な時(高校時代)では肘の内側にもかさぶたが出来て腕を曲げるだけで痛い
  • 最悪な時では背中も荒れに荒れ、感染症?か何かで黄色い汁が出て固まる。朝起きてまずやる事は背中に血やら汁やらで貼り付いたシャツを痛みと不快感を我慢して引き剥がすこと。
  • 最悪な時は黄色い汁が荒れた皮膚のいたる箇所から出ており、その不快感を負って服を来て生活する。
  • 略)体から血が出ない日がない、夏は汗をかくと背中の傷にしみて電撃のような痛みが走る。寝不足で日中に限界が来て寝てしまうもその痛みで起きる。
余談

 私の父はあまり私自身に関心がなく、母はスピリチュアルにハマるという地獄のような環境で、私は高校時代にアトピー性皮膚炎を発症した。それはもう思い出したくもないくらい最悪で、デュピクセントに出会ったのは社会人になってから。どれだけ惨めな人生か。私のような思いはもう誰にもして欲しくない。アトピーは神頼みでも民間療法でも治らないことを肝に命じて欲しい。特にこれから親になる方々、子にきちんとした医療を受けさせる事は親としての責務です!下手をして恨みを買って後で殺されても知りませんよ。私は腐っても善良な人間として生きているのでそんな事をしようと思いませんが。