国民民主党の鳩山紀一郎氏が的外れな発言をし、Xで猛批判を浴びた。玉木代表が火消しに追われる始末。私は税理士では無いが実務に関わる人間として正直、アタマに来た。こういう何も分かっていない人間がいるから「野党はやはり頼りない」と思われるのだ。ある意味さすが鳩山由紀夫の息子。
税理士の利権では無い
インボイス制度、電子帳簿保存法、定額減税と無駄に手間ばかり増やしてくれる政府だが、それで増えた手間が一体誰の飯の種になるか。利権があるとすれば会計ソフトや給与計算サービスを運営する企業である。
実際、インボイス制度や電帳法が始まってから会計ソフトや電子明細の営業は増えた。テレビでもCMを見る機会が増えたように思う。あまりに手間が増えたため、今までそうしたものを導入していなかった零細企業、個人向けにも販路が広がったのだ。利益が上がるとすればそういう部分。あまりに余計な手間ばかり増えるので最近は会計ソフトメーカーが献金でもしているのかと思っている。
逆に今まで契約を続けていた会計、給与計算サービスや税理士は報酬据え置きという所が多いのではないだろうか。経理処理や税制に関わる制度変更は軽いものを含めてそう珍しい事では無いし、そうした制度改正の度にそれに対応するためとして報酬を値上げしてもらえるほど今の世の中、甘くない。
複雑な税制が税務署の利権と言う主張もいまいち理解できない。税制が複雑になった所で税務署に一体何の利益があるというのか。むしろ彼らも複雑な税制に適合した申告・納付が行われているかをチェックする手間が増えるだけでは。税収が増えたからと言って税務署職員の給与が出来高制のように増える訳でもあるまい。
利権を言うならばむしろ「給付で済むところ」と言うのが気になる。給付は給付にかかる事務があり、その業務委託を受ける企業が中抜き価格で事務作業を受注する。それこそが利権ではないか。コロナ関連のコールセンターでもパソナが受注して高い時給でスタッフを雇用していた。給付が良いだの定額減税のこの方式が良いだのは全て的外れであり、最初から消費減税にすれば面倒な手間も分かりづらい手引書作成も必要無い。給付にかかる事務も中抜き料も必要無い。最初から間違っている。
失望が広がるのは速い
鳩山氏のような実務、実態を知らない人間が思い込みだけで的外れな利権批判をすれば国民民主党全体にとってマイナスであるし、今回、玉木代表が諌めているだけマシではあるがこの程度の認識しか無い人間がいくら政治をやっても間違った方向にしか行かない。そう思わざるを得ない。元から野党に対して国民は懐疑的であり、その中では悪い印象は瞬く間に広がる。このような事でも大きな損害に繋がるのでもったいない。
そも鳩山氏の経歴を見ると立派なものだが社会人としての経験が無い。専門は都市工学、交通工学と今回のような話をするには完全に畑違い。強いて言えば玉木氏に諌められてからのツイート内容には同意できる。問題は何を無駄だと捉えるかだが。事業仕分けのような事をしても官僚に良いように煙に巻かれ、本来削るべき無駄が削れない、削ってはいけないものを削ってしまっては旧民主党政権の二の舞いになる。
個人的には国民民主党に期待しているので今回の件は残念だった。批判するべきことは与野党問わず批判するべき。立憲民主党には期待していない。枝野氏の「消費減税するなら財政がパンクする」発言の方が失望は大きかったし、有田芳生や白眞勲が所属している時点で論外。
ついでに書けば野党共闘も間違い。国民が求めているのは単独で自民党に代わり得る強い野党であって、選挙に勝つためだけに談合するような野党は必要ない。野党はそれを理解しておらず、どうでも良いようなのを含めて野党が乱立する事態になっている。再編するにしてもあまりに遅く、組織として硬直している。
共闘と称して候補者を絞れば票田としては有利になるかも知れないが、国民に本来は支持していない政党を支持させることになる。当然そこには抵抗が生まれるし、共闘する相手が共産党などとくれば支持者が離れる可能性すらある。目先の利益しか考えておらず長期的に損をする典型例。