高額療養費制度が改悪される。あまりマスコミが大きく取り上げていないというか、これがいかに影響が大きく現役世代にとって負担を増やす改悪なのかを説明していないのが極めて悪質だと思う。
(記事題:高額療養費制度、自己負担限度額を引き上げへ 25年8月から)
「上限額の引き上げ」は何の上限か
一部では「上限額」と曖昧な書き方さえ見受けられるが、これは健康保健制度における1月あたりの自己負担限度額の上限のことである。その上限引き上げが何を意味するのかネコでも分かるように書くと
「大きな病気をした時の負担が大きくなる」
こんなことが国会でろくに議論もされずに簡単に決まって良いのか?
マスコミもマスコミで、「自己負担限度額を引き上げ」だの「上限引き上げ」だのと分かりづらい書き方をしてないでもっと分かりやすく書けよと思う。特に「上限引き上げ」と言われれば、中には勝手に都合の良い解釈をしてしまう人間もいる。
https://www.asahi.com/articles/ASSDN3CF0SDNUTFL007M.html
朝日新聞のこの見出しなんか酷い。「激変緩和」なんて書いているが、要は負担を増やす制度改革を2段階でやる予定だったところ3段階に分けてやる予定になった、というだけの話。最終的に増える負担は変わらない。何が激変緩和だボケ。だからオールドメディアなんて言われるんだよ。左寄りなのか政府の犬なのかさえハッキリしない最低のメディアが。
実際どれくらい負担が増えるのか
現在の高額療養費制度の上限算出は下表の通り。参考までに。ここからどう変わるのかは更にこの下の図。
ここからどう変わるのか示したのが毎日新聞の以下の図。
https://mainichi.jp/articles/20241225/k00/00m/040/266000c
ぱっと見てそこまで大きくない負担増に思う人もいるかも知れないが、高額な治療費が必要な大きな病気の場合は療養している間、無収入になる可能性もある。その中でたとえば月々の負担が8,100円増えるだけでも苦しいものはあるだろう。
年収が上がるにつれて負担率も上がるのは仕方ないように思う。しかし年収が高いほど普段から相応の保険料を納めている訳で、いずれにせよ高い保険料を取っておいてこのようなサービス低下を勝手に決めることは許しがたい暴挙である。
たとえば年収1,650万円の人は健康保険料+介護保険料で月 82,149円払っている*1。これだけ払っていていざ大きな病気の時に自己負担を毎月44万円求められるとなれば、健康保険に払う金で普通に任意保険をかけておいた方が得では?と思わざるを得ない。
ここまで書くといずれ国民皆保険制度まで壊したいのかな?とも思えて来る。入るメリットを削っていけば廃止に反対する人も居なくなるだろう。
正直、年収が1,650万もあれば毎月44万払ったとてそれなりの金額が残るのであまり同情する気にはなれないのだが、先述したように大きな病気をすれば働けない=無収入になる期間が存在し得る。そうした状況下で今までと比べて約1.8倍の速度で貯金を切り崩さないといけなくなる、と考えると決して国民に優しい政策ではないし、上に比べればマシとはいえ下々もしっかり負担を増やされていることを見逃してはならない。
だったらもっと高齢者だって収入に応じて医療費を自己負担してくれよ
と現役世代が反発するのも当然だろう。高齢者と一括りにするのはどうかと思うが、中にはその辺の現役世代よりも収入のある人はいる。まずそういった人々に相応の負担を求めることが公平な制度改革ではないか。
ある意味、こうした制度改革内容を見ると厚生労働省が富裕層と貧困層の分断を煽っているようにも見える。そもそも今、ここに手を入れる必要はあったのか。富裕層、貧困層に関係なく現役世代の負担を増やすこと自体が大きな間違いだ。
意識の問題
税や社会保険料に累進性が必要であること自体は否定しないがそれにも限度があり、あまり重税を課せば「働けば働くほど損をする」という認識に繋がる。決して年収が高くない私でもそう感じることがあるので、高収入と自慢できるほどの労働者はなおさらその感覚が強いのでは。
世の中で転売ヤーだYouTuberだ闇バイトだが流行るのもよく分かる。まともに働くのが一番損(をした気分になる)。実際はまともに働いて社会保険料、税を納めることで得をしている部分もあるのだが、今はそのバランスが悪い。
税や社会保険料を取られずに済む収入源が欲しいと感じるのはもはや当然であり、その雰囲気を感じ取った若者がSNSの普及もあいまって、まともでない稼ぎ方を目指してしまう。日本の民度や治安が悪化している遠因は政府、特に厚生労働省や財務省にあると言っても過言ではない。
なお、Xでは一部で「年収1,650万円は月に14万も保険料を払っているのに」という意見を見かけたが、それは厚生年金保険料も含めているだろう。健康保険料だけで言えば71,000円前後では。
年収の壁引き上げについては「対応を苦慮」するくせに、国民の負担を増やす増税や社会保険料の引き上げ、果てはこうした健康保険制度そのものの改悪はいとも簡単に決めてくれる。自民党、財務省、厚生労働省および経済界は日本を破滅に導こうとしている国賊であり、自民党議員を国会から追い出して少しずつ政治を変えるしか治療法は無い。官僚は選挙で変わらないので厄介なのだが・・・。
つ い で
立憲民主党の原口一博議員がとうとうMeiji Seikaファルマから提訴された。氏は以前から陰謀論に傾倒しており、ワクチンを巡っても反ワクチンの立場から独自の主張を繰り返して来た。
(記事題:【独自】レプリコンワクチン巡る原口一博議員の「生物兵器まがい」発言で製薬会社が提訴へ“科学的根拠のない中傷で名誉を毀損された)
ワクチンを打つ/打たないの判断は個人ですれば良いと思うが、一体どこまで確かな根拠があって「生物兵器まがい」とまで言うのか。情報処理能力に欠けるというか、少々思い込みが激しいように思う。氏にとっては十分な根拠があるという認識なのかもしれないが、客観的に見た時にその根拠は十分なものではないだろう。
陰謀論の根底を辿っていくと、必ずどこかで根拠が無い/薄い何かを信じている部分がある。根拠の薄い情報を簡単に信じてしまう人物は情報の確度を確認する力が甘い。そして一旦こうだと思い込んでしまったら、それに都合の良い情報ばかりを集めてしまう(確証バイアス)傾向が強い。
確証バイアスは誰しもあるものだが、陰謀論者は間違いを指摘されてもそれを認めない。むしろ間違った認識を強める傾向にあるという。おそらくそういう人間は尊大な自尊心を持つがあまり、己の過ちを認められないのだろう。間違っているという現実を突きつけられても、自尊心が傷つくのが怖くて間違いを認められず、より一層自分の意見を信じる方向へ向かってしまう。
それはそれとして、以前から原口氏に関する問題は指摘されて来たにも関わらず立憲民主党は何ら動きを見せてこなかった。言論の自由があるとはいえ、こうした人物を放置し続けるのは一体どういう了見なのか。
個人の意見、自由を尊重することも重要だが、それゆえに立憲民主党には原口氏に限らず問題児の多い印象が拭えない。野党ならそれでも良いかもしれないが、政権与党を狙う場合においてこれは国民の目にリスクとしか映らないだろう。万一政権を握ろうものならあらゆる点で批判に晒され、原口氏のように隙の大きい者はマスコミに吊し上げられて、「やっぱり野党は頼りない」という印象を国民に与えることになる。
現実はそこに行くまでもなく、すでに「やっぱり立憲民主党はダメだ」という印象を有権者に与え続けている訳だが。立"件"民主党の誹りはしばらく消えそうに無い。