ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

レビュー+)Fallout ドラマ第1話

 AmazonPrimeVideoで4月11日から人気ゲーム、Falloutを題材としたドラマが配信されている。私も同シリーズのプレイヤーなので楽しみにしていた。とりあえず第1話を見た感想などをネタバレを極力避けて書いておく。

大前提

 予習しておいた方が良い用語等は後述。

 Falloutシリーズはベセスダ社が製作している人気ゲームシリーズで、核戦争が起きた後の荒廃したリカ*1を生き延びていくゲーム。性質的にはRPGだが自由度が高くエンディングも複数あり、何より世界観の作り込みと自由度の高さが売り。「Fallout」は放射性降下物を意味する。核でまき散らされた放射性物質は雨などに混じって地上に降り注ぐのでこう呼ばれる。

 今からやってみるならFallout4がおすすめ。レトロフューチャーな世界観が面白い。

store.steampowered.com

全体的な感想

 クオリティとしては満点。正直、冒頭に出てくる家が時代設定にくらべて新しい感じがするとか、シリーズ特有の荒れた感じが第1話の時点では足りないとか些細な点はあれど、Falloutシリーズをプレイした人間からしても、ゲームを題材としたドラマとしてかなり再現度が高い。正直、クオリティはその辺の日本の実写化映画よりも上。予算もおそらく上。

 第1話ではまだまだ物語が始まったばかりなので何が好きとかどこが良かったとか書きづらいのだが、シリーズ特有のバイオレンス、きな臭さ、まともそうに見えて実はまともじゃない人間たちがちゃんと描かれている。この辺は合う、合わないはある。ゲームが原作とはいえ子供に濡れ場やグロいシーンを見せたくない、あるいは自分自身が血や暴力の表現が苦手という人には非推奨。なお原作ゲームも基本的にCERO Z指定(18歳以上対象)である。

 難点を言えば世界観や組織の説明が省略されているため、原作(ゲーム)をプレイしていない人は何がどうなっているのか自分で考えながら見るしかない。それはそれで面白いと思うが、ゲームをやっている方が解像度は上がるし何がどうなっているか分かりやすい。

 なので本稿では世界観を理解する上で最低限、予習しておいた方が良い項目についても書いておく。

予習しておいた方が良い要素・用語

*一部ネタバレに繋がる要素があるかも知れないので注意

世界観

 核戦争が起きてかなりの年月が経過した後がドラマの時間軸。核戦争の爪痕は凄まじく、世界は荒廃し切っている。放射能汚染も残っており、水や食料を口にするだけでも徐々に汚染が蓄積される。その中でも力強く生き延びている人々が描かれている。

Vault(ヴォルト、ボルト)

 主人公?の女性が暮らしている施設。核戦争が起きた後のシーンから登場するレトロフューチャーな空間。核シェルターであり完全に地下。

 来るべき核戦争に備えてVault-Tec(ボルトテック)社が建設した核シェルターでアメリカ各地に122戸ある。居住権を与えられた人々がそれぞれのシェルターの中でアメリカ再建に向けて暮らしている。監督官は居住者のリーダー。

 と言うのは建前で

 Vault-Tec社は非常時かつ閉鎖空間であることを良いことに、非道な行為も含めた実験も行っている。全てが実験場な訳でも無いが、それなりの割合で”ハズレ”のVaultがある。たとえば「ギャンブル依存者だけを集めて住まわせたVault」など。襲撃や実験の失敗などで無人と化したVaultも多い。主人公のいたVaultはまともな方。

Vaultジャンプスーツ

 Vault居住者が身につけている青ベースに黄色の差し色が入ったダサい制服。ゲームにおいては無課金装備みたいなもの。戦闘用の服では無いので防御力は皆無ゆえ、ゲームにおいてはすぐに別の服に着替えられがち。

 逆にこれを着ていると一目でVault居住者と分かるので、善良な市民からは敵視されづらい。ぶっちゃけゲームではそういう要素は無く、山賊の服を着ていようが変な見た目だろうが主人公が善良な市民から一方的に敵対されることは無い。こちらから危害を加えると永久に敵対する場合はある。

Pip-Boy

 Vault居住者が腕に付けている小型(Fallout比)のコンピュータ。ゲームにおいてはメニューや装備GUIとして使用される。これが無ければVaultの入口を開閉することは出来ない。逆にこれを付けている人間はVault居住者である、とも見れる。

ヌカ・コーラ

 Nuke(原子力)とCoca-Colaを合わせたパロディ的な名前の清涼飲料水。見た目からしてもう、「まんまじゃん!」と言いたくなるレベル。Fallout3までのヌカ・コーラはボトルのデザインもほぼコカ・コーラ。Fallout4からは可愛いロケット風のボトルに変更されている。ドラマでも採用されているのは確かロケット風のボトルだったような。

 ゲームでは各地に自販機が設置されており、戦前からの製品にも関わらず飲むことも可能。大抵は空き瓶しか見つからないが、中には特別なフレーバーもある。その辺に落ちている瓶1つ1つまで拾ったりできるのがFalloutシリーズの細かさ、自由さ。

 核戦争によって経済も崩壊した結果、戦前のお金の価値が崩壊したのかヌカ・コーラのボトルのキャップ(王冠)が通貨代わりに使用されているほか、ボトルキャップ地雷など武器にも使用される事がある。

 なお、隠し味として放射性物質が配合されているヤベー代物でもある。企業倫理もへったくれも無かった50年代アメリカを揶揄しているらしい。まあ、時計や健康食品に放射性物質を使ってた時代もあったから多少はね?

レイダー

 「Raider」は侵入者、襲撃者の意。要は。核戦争を生き延びた人々の末裔の中でも主として略奪行為を行って生活しているならず者ども。複数人で行動しており殺しも厭わない。と言うかゲームでは出会うと問答無用で襲いかかって来る。もっと恐ろしい脅威がごろごろしているFalloutの世界では脅威度は低いが序盤では脅威。

 とはいえ人間なので生存に役立つ物資を持っているという側面もあり、武器弾薬はもちろん防具、食料などの生存に役立つ物資を得るためには居て欲しい存在でもある。たとえば野生動物なんかは殺すためには弾薬が要るが、殺したって弾薬なんか持っている筈が無い。資源的に見れば損するだけ。

 その点、レイダーは殺しても誰にも文句を言われないし物資も漁れる。見かけたら積極的に襲いたい。殺して奪え!情けは無用!これもうどっちがレイダーか分かんねえな・・・

スティムパック

スティムパック | Fallout Wiki | Fandom より

 回復薬。ゲームにおける一般的なHP回復アイテムと思ってもらえば良い。ただしコイツ、患部に突き刺すだけで即座に回復するわ手足の欠損だろうが治るわの万能回復薬。それでいて依存性も無い。治療できないのは放射能汚染くらい。

ジェット

 喘息の吸入器のような容器に入っている薬物。ゲームにおいては時間の流れがスローに見えるような効果がある。一方で中毒性があり依存するとデバフがかかる。これ以外にも中毒を起こす薬物は複数あり、主としてレイダーが持っている。ヤクをキメて問答無用で襲いかかってくる山賊とか怖すぎ・・・殺そう。

BoS

 Vaultの描写の次に登場。Brotherfoot Of Steel(鋼鉄の同志)、アメリカ陸軍の一部が非道な人体実験に反発し、離反して出来た組織。元が軍隊らしく規律ある組織であり善良な市民を傷つけることは無い。一方でアメリカ再建という当初の目的を見失っており、もっぱら戦前の高度な技術を収集・保全することを目的としている。

 基本的に害意は無い一方で装備は軍隊そのものであり、ハイテク機器を強引に持ち去る面もあって「ハイテクレイダー」とも揶揄されるらしい。

パワーアーマー

 全身を覆う強化装甲服、パワードスーツ。主にBoSの兵士が装備しているがゲームでは野ざらしになっている物、保管庫に入っている物、骨格だけが残っているもの等もある。レイダーが一部を着用している場合もあり。

 分厚い装甲と放射能汚染下でも活動できる防護性を誇り、パワーアシストによって格闘でも相手を圧倒することが出来る。ただしあまりに重いので使用するには訓練が必要、かつFallout4においてはフュージョンコアと呼ばれる電池の一種が必要。

 T-51、T-60、X-01など複数のバリエーションが存在する。

ベルチバード

 BoSが運用しているオスプレイみたいなやつ。レトロフューチャーな見た目のティルトローター機でずんぐりむっくりな形状が可愛らしい(?)。運用面では輸送・攻撃・爆撃など。文明が壊滅し、航空戦力など無いに等しい世界ではこうした兵器を持っているだけで圧倒的に有利に立てる。

 ただし攻撃時に低空飛行するためか頻繁に撃墜されている。

 あと燃料は何を使用しているのかよく分からない。世界観としては大体どんな乗り物でも核エネルギーで動いているのでおそらくその一種。

プリドゥエン

 BoSの母船である巨大な飛行船。ベルチバードを格納可能でさながら空中母艦とでも言うべき存在。Fallout4ではBoSに味方すると内部に入る機会がある。ドラマで描写されていたのがやたら巨大に見えたのは気のせいだろうか。

冷蔵庫で生き延びた子

 Fallout4に登場する、冷蔵庫の中に隠れて核戦争を生き延びた子のような描写が存在する。当時の冷蔵庫には鉛が多用されており、その中で放射線被曝を免れて生存出来たという感じ。インディー・ジョーンズ:クリスタル・スカルの王国でも同様の描写が存在する。ドラマ時間軸では核戦争から200年以上が経過しているため、BoS所属の子が冷蔵庫に隠れていたのはおそらく別の理由から。

エンクレイヴ

 第1話で名前だけ登場。アメリカ合衆国を影で操っていた秘密結社で、戦後も活動している。組織規模や技術面でBoSと対峙できる組織と考えて良い。ゲームの時系列ではBoSがベルチバードを使用し始めるのはエンクレイヴが壊滅し、その技術を接収した後であるため、厳密にはその辺りが原作準拠とは言えない。

 BoS系とは異なるタイプのパワードスーツを運用している。

ジャンクジェット

 男3人組が墓場を訪れたシーン冒頭でチラっと登場。訳の分からないもので見張り?を殺害している。

 ゲームではその辺にあるガラクタ(空き瓶でもクマのぬいぐるみでも何でも)を弾として打ち出すことが出来る。威力は打ち出す物体依存で吸引も出来たような・・・出来なかったような。なお、打ち出した物体は消える訳では無いので使えば使うほど辺り一帯が散らかって行く。もちろん物体には物理演算がある上に、ゲーム的に様々な物体の位置が記録されていくので重くなる一因に。

 弾が回収できる、荒廃した世界=ゴミがあふれている世界なので弾薬には困らない、という点では良い。威力は正直微妙。大きさも重さも違う物体をどのようにして殺傷力があるレベルの速度で打ち出しているのかも不明。考えたら負け。

グール

 核戦争を生き延びた人々のうち、放射線を浴びてゾンビのような見た目になってしまった人々。変異ゆえか長寿命化して戦前から生き残っている人までいる。見た目が酷く焼けただれた(ケロイドのような)感じなので、人間性が失われていなくても見た目だけで怖がられることが多い。そのためグールだけで生活している場合もある。

フェラル・グール

 フェラル(feral)は野生化した、凶暴な、等の意味。グールのうち、放射線汚染が著しく正気を保つことが出来なくなった=野生化した人間。ゾンビの別ver.と考えて差し支えない。

 ドラマ第1話には「フェラル」という言葉だけが登場。どうもニワトリに目が無いらしく、グールの前にニワトリを置いて襲えばフェラル、襲わなければ正気という判定をしている。

 ゲームでは死体のようにじっとしている事が多く、プレイヤーが近づいたりすると起き上がって襲いかかって来る。見た目はグールと同じく焼けただれた人間であり、武器を扱う知能も無くひたすら素手で走りながら襲いかかって来る。

 武器を持っていれば対処は容易だが、元は罪なき一般市民だったのが変わり果てた姿で襲ってくるのは別の意味で怖い。もちろん殺しても武器弾薬などは持っておらず資源的にうまみは無い。持ち物を漁っても生前に身に着けていたであろう物品が手に入るだけなのがなおさら傷ましい。

 ドラマ見る前にゲームやった方が良い

*1:基本的に舞台はアメリカ国内