ヤマネコ目線

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蛙化現象の正体

 最近、蛙化現象という言葉を目にするようになった。「両想いで好きだった筈なのに、いざ相手に好意を向けられると嫌悪感を抱いてしまう」、「ちょっとした事で気持ちが醒めてしまう」といった現象だ。これに関してどう解釈するべきかを考えて見る。

原因は何か

 蛙化現象自体、「欲しくて仕方がなかったものでも、いざ手に入れてしまえば気持ちが醒めてしまう」という状況に似ていると考えている。そういった経験は無いだろうか。「一眼カメラが欲しくて買ったのだけど今はホコリを被っている」だとか、「買った当時はものすごく大事にしてたけど今はそうでもない」とか。そうした現象と多少、共通する部分があるのではないか。

 では、欲しかったものを手に入れた後で気持ちが醒めてしまう原因は何か。

  • 欲望の原動力と満足感の喪失
  • 期待と現実のギャップ
  • 新鮮さの喪失

あたりが挙げられるだろう。

 まず欲望の原動力が「何かを手に入れたいと思う気持ち」である場合、それを手に入れる(ここでは相手と両想いになって交際を始める)ことで、ある程度の欲望は満たされてしまう。裏を返せば手に入れた時点で自分自身を突き動かす原動力が失われる。また、それによって満足できる期間はごく限られている。なので気持ちが醒めやすい。

 そして蛙化現象の一番の理由と思われるのは期待と現実のギャップ。男女限らず恋愛に高い理想を抱いてしまうことは多い。そこでいざ相手と交際を始め、期待したものよりも低い現実を突きつけられた時、自分が求めていたものはこんなモノでは無かった筈だという拒否感を抱いてしまう。蛙化現象は女性に特有のように語られる場合があるが、男女は関係無いのではと思う。

 特に不景気の中で育ち、使えるリソースが少ないゆえに「自分が苦労して手に入れるからには手に入れるモノの品質はそれなりに良くなければならない。自分が求める条件に対して完璧でなければならない」、というコスパ重視の価値観が強くなっている若年層において、その傾向が顕著に出て来るのは仕方ないのだろう。「異性として見られる条件」に対する完璧さを求め、そこから少しでも外れれば相手への評価を下げてしまう。

 それは「自分はこんな相手を好きになったのか」、「自分の価値はこんなものなのか」という自尊心の低下にも繋がって来る。嫌悪感を抱く、嫌いになろうとするのは、自尊心の低下を防ぐための防御反応とも見ることができる。少しの欠点で物事に対する評価を大きく下げてしまうというのはなんとも生きづらいものだ。そういう自分たちはどれだけ完璧なんだろうな?何はともあれ、女性の「追いかけるような恋がしたい」という心理の本質がここに垣間見えるような気がする。要は選ぶ相手によって自分の価値を最大化したいのだ。

 また、新鮮さの喪失も手に入れたモノに対して興味を失う一因ではある。が、今回はあまり関係ないと思われるので省略する。特に語るべき事もない。ただ一応、交際一歩前なんかは男女問わずお互いに良い面ばかり見せようと思うもので、それが交際を始めて慣れ親しんでいく内にメッキがどんどん剥がれて行き、という面は蛙化現象に限らずあるだろう。

避けるには何をすれば良いか

 ぶっちゃけこれは難しい。言うは易しだが相手にあまり期待し過ぎないことに尽きる。特に「期待と現実のギャップ」はなかなか埋められないもので、小さい頃の方が景気が良かった日本ではなおさら。野原ひろしの生活水準が当たり前と思って育った世代にとって、今の現実は受け入れがたい。また、漫画やアニメのキャラクターに親しみ深い世代にとっては現実の人間はまったく欠点だらけで醜く不健全な存在である。映画やドラマなんかでも男女関係に幻想を抱かせるものが多いが、現実は残酷なほどそうした理想からかけ離れている。恋愛に、異性に完璧さを求めてしまうようであれば蛙化現象は避けられない。

 男性視点から言わせてもらえばアニメや漫画、ドラマや映画の女性は見た目もキレイなら大抵身持ちも固い。が、現代日本の女性は多少見た目が良ければ(全員とは言わないまでも)パパ活という名の売春、性産業への従事当たり前、経験人数10人くらい当たり前で貞操観念なんか欠片も無い。その現実に生理的嫌悪感を抱いてしまう。蛙化現象は女性特有とも言われるが、視点を変えれば男はその辺りを割り切ることが出来る人間しか恋愛などしていない、とも取ることが出来る。

 話が逸れたが欲望の原動力、満足感の喪失は次のゴールを設定し続けることで多少は緩和できるのではないかと思う。要は「手に入れること(交際すること)」をゴールにしているから、満足感や欲望の原動力がすぐに失われる。交際した直後あるいはその前から次のゴールを探る方が良い。一緒に旅行に行くだとかちょっとした事でもいい。人間は欲深い生き物なので、ある特定の状態で永遠に満足できることは無い。到達距離が短い目標を設定し続ければ、それを達成するたびに満足感を得られるし、新しいことに挑戦することで新鮮さを得ることが出来るだろう。

 まあ私には一生関係ないことですけどね(笑)