ヤマネコ目線

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「作詞作曲できてこそ一流」は古い

 書き散らし。私は最近Adoさん推しだが、たまに見かける「でもこの子って作詞作曲できないよね(だから一流とは言えない)」に反論したい。私から言わせればその考えは本当に古い。というかAdoさんの、いや”歌い手”の強みを理解していない。

出来なくて良いんです

 確かに純粋なスキルの面では、作詞作曲から歌唱まで1人でこなす宇多田ヒカル氏や椎名林檎氏のようなアーティストの方が凄いかも知れない。

 一方でそういった方々は傍から見れば”1人で完結したアーティスト”であり、歌い手のように「歌だけお願いします」と依頼するのはやりづらくなる。そこまで気にする人がどこまで居るかは分からないが、アーティストとしてその人をリスペクトすればする程、「歌だけお願いします」というのは依頼しづらくなるだろう。超有名な画家に線画だけ送って「着色だけお願いします」と言えるような人間はどこまでいるか。

 その点、歌い手は最初から歌うことだけを仕事にしている。作詞作曲まで出来る人もいるがそれはそれとして、アーティストの形式としての歌い手は誰かから楽曲提供を受けることを前提としている。なので良くも悪くも自分自身や特定のメンバーに囚われることなく、どんどん様々なアーティストとコラボして化学反応を起こすことが出来る。実に多種多様な音楽をそのアーティストの声で聴くことが可能になる。

 いくら才能に恵まれた人といえど、1人から出てくる楽曲の幅には限界があると私は思っている。2人組でも3人組でもそれは変わらない。時によっては音楽性の違いが亀裂となって解散の引き金になることすらある。

 その点、歌い手は音楽性の幅に縛りがない(本人の好みは影響するだろうが)。誰とでもコラボし得るし、それが新進気鋭のアーティストであれ、生まれる前からいるスターであれ関係ない。何ならAdoさんはそのメリットを生かしまくっている。これまで楽曲提供を受けたのは私が名前を覚えているだけでも(敬称略)まふまふ、中田ヤスタカ、Vaundy、椎名林檎ともうこれだけでも十分豪華。特にまふまふ氏は歌い手として、椎名林檎氏はスターとして憧れの存在であっただろうから*1、そういった人に楽曲提供を受けられるアーティストとしての形はどんな理由があれメリットが大きい。これからもどんどん往年の大スターであれ新鋭のアーティストであれぶち当たって行ってほしい。

 ONE PIECE FILM REDでAdoさんは7曲も歌っているが、これもたとえば従来のアーティストに「1人(グループ)で7曲作ってください。超アグレッシブなのからしんみり系からララバイまで」と言うとなかなか厳しかっただろう。そこでバラバラな7組のアーティストから楽曲提供を受け、なおかつ全てを自分の作品として完成させる事が出来るのも”歌い手”というアーティスト形態の強みと言える。

 そういったメリットを考えれば本人に作詞作曲まで出来る能力があるか無いかは差し置いて、逆に作詞作曲までやるメリットが無いように思う。1人のアーティストとして完結し、歌唱だけの依頼がしづらくなってしまう方が怖い。「作詞作曲をやって欲しくない」とは言うまいが、メジャーデビューしてからも「歌ってみた」動画を投稿している、歌い手としてのあり方を大切にしている姿勢を支持したい。

余談

 つい先日はYouTubeLiveで配信があったが、そこで「『Adoはビジネス陰キャ』って言われるけどビジネスで陰キャやるならビジネスで陽キャやりたいわ!、と若干キレてるのが面白かった。そりゃそうだ。あとコメントに押されて結局、獅子舞の話するのも面白かった。配信アーカイブを見る方が面白いと思うのであえてここでは書かないが、とにかく獅子舞に悪い思い出があるという話。毎年恒例の行事が増えた(年始のうっせぇわ ピアノverを歌っている自分の映像を観て発狂する会、夏の獅子舞の話をする会←NEW!)。

 個人的には梶浦由記女史とのコラボもして欲しい。言い方が悪いかも知れないが歌い手は人間ボーカロイドのようなもの。椎名林檎氏も「曲にいろいろしたためたつもり」と仰っていたように、梶浦由記氏がどのような曲を提供し、Adoさんがどう歌うのか聴いてみたい。

 ゲーム実況(特にホラー系)で大騒ぎする様子も見たいが、引っ張りだこでなかなか難しいだろうな・・・パフォーマンスの後は充電期間も大事だし。

*1:歌い方に影響を受けたと公表している