ヤマネコ目線

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米の増産を今さら言っても遅いし自民党の手柄ではない

 石破総理が米の増産について言及した。が、これについて異論がある。

news.yahoo.co.jp

(記事題:【速報】石破首相 コメ今年産から増産すると表明「新たなコメ政策に転換する」 価格抑制「成果表れている。手を緩めず」と強調)

工業製品じゃ無いんだよ

 米は工業製品ではないので「原材料さえあればいつでも増産できます」というものではない。植物なので苗から育てる必要があり、それは今からでは間に合わない。田んぼ自体の管理もあるので土地さえあれば「はい!作れます!」というものでもない。

 以下の画像(Wikipedia:田植え機の項目より)を見れば分かる通り、お米(稲)は苗をある程度育ててこうした機械で規則正しく植えていく。この苗は専用の長方形パレットに種籾をまく器具を使って種まきし、ビニールハウスなどで水やりしながら育てる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E6%A4%8D%E6%A9%9F

 私の住んでいる地域では4月あたりに田起こし、苗づくりなどの準備を始めて5月に田植えをする。地域によって時期に差があるが、大体6月中には田植えを終えているイメージ。北海道、さたけ農園さんの以下の記事を見ても、田植えのピークは5月20日ごろ。当然ながらその年の気候や天気によって前後する。

satakenoen.jp

 つまり大体の農家が田植えを終えた6月末あるいは7月に入ってから「今年産から米を増産します」などと政治家が言ったところで不可能。沖縄・九州あたりの限られた地域であれば二毛作も可能だろうが、おおよその地域では既に今年どれだけの米を作るのかは決まっている。増産が出来ているとすればそれは先読みして増産に踏み切った農家の判断によるもの。

 小泉農相はこれについてXでこう発信しているが、たとえ増産につながる流れがあったとしても自民党ないし石破総理や小泉進次郎の手柄ではない。小泉に関して言えばむしろ農家から反発を買っている側。モチベーションを下げている側。つくづく汚いし気に食わない。

 「政策面で今年から」増産する方向へ舵を切るという意味なら通じるが、これまでも記事にして来たように自民党小泉進次郎は新米が店頭に並び始めた段階でもなお備蓄米放出をやめず、緊急輸入まで言い出して市場価格を破壊し、JAの概算金制度にまで口出しをして農家や流通上の関連組織を威圧しつづけている。民業圧迫も甚だしく、その分際で「米を増産して欲しい」と言われて応じる農家はどれだけいるか。そもそも高齢化が進みギリギリのところでやっているのに、急に言われてもそんな余裕は無い。

 米農家が減ってきた理由は米の需要が少なくなっているからでもあり、一時的な米不足が起きたからといって場当たり的に米を増産するなどと言うのも間違い。供給過多になればただでさえ収益性の低い米農業がさらに打撃を受けるだろう。

 それとは直接関係ないが、小泉進次郎のこうした発言にも違和感を覚える。

 わざわざXでこれ見よがしにこうした投稿をするあたりが小泉劇場だなあ、と思う。大臣なので直接お話したいならXで言ってないですぐ出来るだろうし、業界団体の意見を吸い上げるのは大臣の仕事ではない。それこそ官僚にやらせてそこから判断するのが権力のバランスを考えたやり方。小泉進次郎はあえてそれをせず、より大衆に見えやすいようにプロレスをやる。政治家とて独善的であり危険。

 大臣という立場、公権力を有し、国会議員として立法権もある者が「直接会って話、しようぜ?」と密室かつ個人VS個人に持ち込めばどちらが圧力を感じ、どちらが簡単に折れるかは想像に難くない。893のやり方。

ついでに

 参政党所属の衆議院議員、北野ゆうこ氏がふざけたことを抜かしていたのでネタにする。

以下、発言の一部抜粋

私たち参政党はこの日本、そして世界の平和を守りたい政党なんです。私たち日本人は大変つらい思いをして今ここまで復興してきた。そんな民族なんです。その民族が今まで差別をしてきたこと、ありましたか?ないですよね。文化においても受け入れてますよ。クリスマス祝いますよね。皆さんケーキ食べますよね。お正月にはお寺神社に生きます。結婚式は和式も洋式もあります。お手洗のようにね

 ツッコミ所が多いが、「日本人は差別をしてこなかった」という認識がまず歪んでいる。歴史的に見れば同じ日本人に対しては部落差別があり、アイヌ民族琉球王国への差別があり、在日韓国人に対する差別があり、障害者に対する差別があり、外国人に対する差別もある。

 具体例を挙げるならば、旧優生保護法による障害者に対する強制不妊手術が障害者差別でなくて何なのか。他にも在特会関東大震災における朝鮮人虐殺もある。

www.nhk.jp

 外国人に関して言えば、「技能実習生は出稼ぎの外国人なのだから最低賃金ギリギリで働かせれば良い」、「労働環境は劣悪でも良い」などの認識、同じ仕事をしているにも関わらず設けられた賃金格差は差別ではないか。ブランド企業監査ではこの辺りを必ず聞かれる。

 北野氏はクリスマスを祝うことや結婚の様式などを挙げているが、宗教的に寛容であることと差別をしないことは別の話。本気で勘違いしているのか、それともその程度の違いにすら気付けない知能の人間を狙った発言か。あるいは本人がその程度なのか。

 「じゃあイスラム教徒が土葬したいって言ったら許すのか?」、「ムスリムに配慮して給食をハラール認証にするべきか?」と聞いたらどう返すのだろう*1。この辺りは繊細なテーマではあるが、日本において日本人の理解が得られないまま、信教の自由のみを盾に異文化を押し付けようとすれば反発が生まれるのは当然。その当然の反発を「不当な差別」として封殺しようとすることは許されない。日本人にも対話を求める権利がある。

 宗教的に寛容であるとしてもそれは現在の話かつ限度があり、多くはマーケティングのために取り入れられたものに過ぎない。歴史を振り返るならばキリスト教弾圧も忘れてはなるまい。日本の歴史を知らないでよくもまあ民族観を語れたものである。せいぜい戦後から今に至るまでしか見ていない浅さ。

 八百万の神の文化、宗教に寛容であることは良い面もあるのだが、悪神に対しても寛容である、個人すら簡単に崇拝の対象にしてしまうあたりは悪い面でもある。それが旧統一教会(世界平和統一家庭連合)やオウム真理教のようなカルトの繁栄を許して来た。日本人の宗教観の緩さには悪い面もある。

 そういえば「世界の平和を守りたい」だのと大げさなことを言ってくれるが、どこかで聞いたことのあるような言葉だな。世界平和統一家庭連合あたりが言いそう。統一教会分派であるサンクチュアリ教会との関わりを示唆する人も。2022年の参院選では全45選挙区に候補者を擁立しているが、それだけの候補者を擁立できるだけの資金力はどこから来ているのか。

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 「私たち日本人は大変つらい思いをして今ここまで復興してきた」と言うがそもそも戦争を始めたのは我々日本人の側であり、喧嘩を売る相手を間違ったのも我々。歴史的被害者ぶりたいのか知らないがこの言い方にも違和感がある。そんな政党の改憲草案を見れば大日本帝國に戻りたがっているのだから手に負えない。

 それにしても、「結婚式は和式も洋式もあります。お手洗のようにね」とはもう少しマシな例え無かったのか。結婚式の歴史を調べるとキリスト教式が広まったのは1970年代~であり、バブルによる好景気から派手な洋風パーティーをするのが好まれたのだろう。

bridal-oshigoto.com

 冷静に考えればハロウィンもクリスマスもバレンタインもマーケティング的な意図をもって広められた話でしかない。お祭り騒ぎが好き、ガス抜きの口実が欲しい民衆とそれをビジネスモデルとして利用したい側の利害が一致して成り立っている。

 それを受け入れることが出来るのはある意味で宗教的に寛容ではあるが、誰もそれらを本来の宗教的イベントとしては扱っていないし、意にそぐわない宗教的要素はキッチリ排除している。別にそれが間違っているとは言わないが、それをもってして宗教的に寛容である、ないし差別をしたことがないなどと言うのもまた違う。

 あと参政党は武士道が好きらしいが、戦国時代にせよ江戸時代にせよ武士は人口の10%未満、ほとんどが農民や町人であった事実が抜け落ちている。よほど家系がしっかり分かっている家でも無い限り我々の先祖はほぼ武士以外と考えるべき。武士道は武士同士でしか通用しない。

 武士、武士道へのイメージは江戸時代あたりのポップカルチャーや戦時中の戦意高揚プロパガンダ、アニメや漫画の影響で美化されており、それを現代日本で現実に持ち出すのは見ていて痛々しくもある。平和の世に、それも政治の中に武士など要らん。

Copilotで生成。誰もこんな手植えなんかしてないけどこんな画像が出てくるのやっぱりすごいね。絶対に腰痛めると思うし手でこんなキレイに植えるの難しいと思うけど。

つらそうなので「人数増やして」と指示したらこうなって草。違う。そうじゃない。進行方向に対して一列になるな。横一列になれ。麦わら帽子は熱中症対策におすすめ。つばが広いので影が大きい。

*1:私は反対派。そこまでしたいならムスリムの国に帰れ