ヤマネコ目線

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高校生の扶養控除の一律縮小

 書き散らし。政治は悪い意味でネタが尽きない。

news.yahoo.co.jp

(記事題|高校生扶養控除、一律縮小を検討 税負担は児童手当の範囲内に  共同通信)

これまでの経緯

 まず児童手当と扶養控除の関係についてだが、これまでの経緯を知る必要があるだろう。覚えている人もいるだろうが自分に無関係だと忘れがち。

 16歳未満の扶養控除( 38万円 )は2010年、民主党政権において子ども手当」を所得制限なしに支給する引き換えとして廃止された。これは民主党政権当時の「所得控除から手当へ」のコンセプトに依拠している。確かに所得税がいくらか安くなるよりは子ども手当でもらえる額の方が大きいだろうし、それによっていくらか子育て世帯への支援は手厚くなった筈ではある。

 また、同じく民主党政権において高校無償化に合わせて16~18歳までの特定扶養親族の控除上乗せ( 25万円 )が廃止されている。手当を拡充する一方で控除の縮小・廃止はこれまでも行われており、今回の話も良し悪しはともかく、これまでの制度設計から一貫性はある。

www.mof.go.jp

子ども手当の創設に向けて / 参議院

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20100301025.pdf

ブレーキとアクセルを同時に踏む

 控除の縮小は所得税の話なのでそもそも収入が少ない場合は無関係とも思える話だが、高校生の扶養親族がいるとなればそれなりの年齢かつ収入があることが予想され、なおかつ扶養控除の枠自体が縮小されるとなれば税負担が増えることは確実であり、児童手当拡充の恩恵を政府みずから減殺することになる。今回、控除の”縮小”に留める理由も「(控除の廃止では)年収によっては税負担増が手当を上回るため」とある。一体、負担を軽減したいのかそうでも無いのかよく分からない。

 控除廃止は前述したようなこれまでの制度設計からの整合性は取れている訳だが、これまでの制度設計が正しいとは思わない。これを言うと論点もへったくれも無いが、まず控除廃止の是非うんぬん以前に児童手当の拡充といった形の少子化対策自体が誤りである。

 そもそもいくら児童手当を拡充しようが結婚に至る人間が減っているので意味が無い。児童手当以前に児童がいないからだ。第三子以降は手当を倍増と言うがそれも無意味。このご時世で当たり前のように三人の子どもを作ることが出来る人間は元から恵まれた部類であり*1、そこに児童手当の拡充という形でさらなる恩恵を与える必要は無い。その財源のために広く税負担が増えるならばそのような少子化対策はしない方がマシ。

必要な少子化対策は何か

 日本政府、政治家はいつまでも「結婚して子どもを作る」前提での少子化対策にこだわっているが、婚姻数自体が減っている日本はもはやその段階に無い。今、一番の少子化対策と言えるのは経済政策や子どもに関わる業界の労働環境・待遇改善ではないか。そこにやる気が無い以上、何をやろうが無駄。安心して子どもを生み育てられる社会になっていない。政府はその基礎、土壌作りからして怠っている。

 明らかに右肩下がりの出生率グラフを見て、なぜ今までの少子化対策の拡充でどうにかなると思うのか。チンパンジーでももう少し学習能力がある。

 元から恵まれた部類の人間をいくら手厚く支援しても、彼らがそれ以外を補ってあまりあるほど子どもを作る訳ではない。逆に最初から見込みが無いレベルの人間をいくら支援しても、子どもを3人以上作る見込みが無いので少子化を食い止めることには何ら貢献しない。必要なのは格差社会を是正し、中流を増やして子どもを3人以上作ることが出来るだけの、一定程度の余裕ある世帯を増やすことである。それを今からやって(色んな意味で)間に合うかどうかは別として。

余談:子ども2人では人口は減る

 以前にも書いたが、子ども2人では現状維持すら出来ずに人口はゆるやかに減っていく。不慮の事故や病気などで夭逝する割合を加味すれば一定数は子ども1人と変わらないからだ。

 どこぞの議員が言っていた「最低でも3人」というのは、人口減少から増加に転じるためには確かに必要となる。まずそれが出来るような社会の構築、政治をしろという話だが。

 

*1:あるいは向こう見ずなサルか