ヤマネコ目線

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厚生労働省マジでふざけんな

 厚生年金が年収問わず加入となる、という話を共同通信が報じている。財務省のみならず敵はここにもいたかという感じ。怒りで血圧が200行きそう。

news.yahoo.co.jp

(記事題:【独自】厚生年金、年収問わずパート加入 「106万円の壁」撤廃へ、負担増も)

何をしてるか分からない

 国民民主党の働きかけで年収の壁が崩れる見通しが高くなったが、厚生年金の加入拡大で新たな壁が出現して結局もとの木阿弥。何をしているのか分からない。何なら年収の壁打破よりも印象が強く、今年最悪のニュースかも知れない。

 扶養に入れるかどうかを気にせず働ける人を増やしましょう、そうすれば年収の壁が賃上げの流れを邪魔することは無いよね、というのが年収の壁を壊す意義であった筈だ。しかしこれは所得税の話で、社会保険は関係なかった。

 社会保険はと言うと適用拡大で徐々に加入せずに済む範囲が狭まって来ており、今年10月からは従業員51人以上の事業所で以下の4つを満たす従業員は強制加入の対象となっている。

 まずこの社会保険加入の適用拡大が間違い。賃上げの中で働き控え、労働者不足を招く原因になっている。

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

 これでも所定内賃金が月額8.8万円となると 8.8×12=1,056,000円と103万円の壁よりは高さがあり、何より従業員数50人以下の企業に務める短時間労働者は適用拡大の範囲外なので社会保険の壁は気にする必要がなかった。

 これが今回、出てきた厚生年金加入要件の見直し案では企業の規模と年収の要件が無くなり、たとえ年収50万円でもたとえ従業員数5人の企業でも週所定労働時間が20時間を超える従業員は厚生年金に加入する義務が生じる。

「週20時間の壁」の誕生である

 労働者は厚生年金保険料なんか取られたくないので、特に女性において働き控え、専業主婦志向が強まるであろう。雇う側としても週所定労働20時間未満という大きな制約を受け入れるか、20時間以上働いてもらって厚生年金保険料の負担増分も賃上げするか(+会社負担分の厚生年金保険料がかかる)を迫られる。労働者の手取りが減らないようにするためには税金、社会保険料を取られた上で手取りが減らないよう逆算し、それだけ給与を上げる必要がある。

 どのみち企業には大きな負担となり、労働者にとっては選択肢が狭まってしまう。人手不足倒産も増えるだろう。賃上げ機運が高まったかと思えばすぐこれ。こんな事ばかりしているから日本の景気は良くならない。そりゃあ失われた30年が40年になりそうな筈だ。社会が良い方向へ行こうとしてもクソの役にも立たない官僚政治が邪魔をする。財務省厚生労働省も国民の敵。

具体的にいくらの負担増になるのか

 現在の協会けんぽの料額表を見ると、すでに等級88,000円の厚生年金保険料の額が載っている。奈良県の場合は全額で 16,104 円/月。労働者が払うのはこの半分なので 8,052 円/月。単純に12ヶ月分とすると 96,624 円と実に10万円近くの負担増になる。

 等級88,000円に入る範囲は報酬月額が83,000円以上~なので、たとえば83,000円×12ヶ月=996,000円と年収100万いかない人からも年10万近くの保険料をむしり取る計算である。これだけ増える負担が大きいなら「下手に働くよりは専業主婦に」と考える人が増えるのも不思議ではない。ただでさえ払い損と言われる年金に年10万余計に払いたいか?月約10,000円のサブスクの割にコスパが悪過ぎる。

「私には関係ない」が世の中を悪くする

 この話も「私はすでに厚生年金払っているから関係ないわ」、と流す人が多いのだろう。何なら「扶養の範囲内なんてズルい!」だの、「厚生年金払わなくて済むなんてズルい!」だの言い出す始末。そうやって下々の労働者同士で足の引っ張り合いをして搾取されることを許し続け、世の中がどんどん息苦しくなって行く。

 最低賃金の引き上げに社会保険料負担の増加と企業の負担が増えれば、今よりもさらに物価は上がるだろう。物価上昇や負担の増加に賃金上昇が追いつかず、スタグフレーションは続いて国民全体の暮らしが悪化する。国民の負担を減らす、減税と社会保険料の引き下げがなされなければアベノミクスの数少ない美点*1すら台無しになるだろう。

社会保険に加入することのメリット

 Yahoo!ニュースのコメント欄では厚生年金に加入できることのメリットについて論じる者がいるが、メリットがあるかどうかなどどうでも良い。そんなことは問題ではない。このご時世に今以上の負担増を強いるのがそもそもの間違いである。

 本当にメリットを感じるならば強制的に加入させなくとも任意でどんどん加入するだろう。メリットが感じられないから皆、嫌がっている。その程度のことすら理解できないなら一生黙っていて欲しい。

 何なら私は厚生年金払い損世代なので脱退させて欲しい。将来年金いらないから今まで払った金返せ。「メリットがあるから適用拡大すべき」と言うなら、「メリット感じないから脱退」も許されるべきだ。

 それでも、どうしても厚生年金保険料を取りたいと言うのであれば料額表を青天井にするなり累進性にするなりするべきであるし、協会けんぽの料額表で言えば厚生年金保険料、上図の切り欠きの部分をきっちり段階的に徴収するべき。なぜここの切り欠きはいつまでも放置で下々には適用拡大なのか。余裕のある者から取れ。

ただの愚痴

 インボイス制度といい、上から取ることを強化せず下から取ることばかり強化し続ける行政の在り方には怒りしか湧かない。日本政府は格差拡大の使命を放棄し続けている。賃金の額面が上がっても手取りが一向に上がらないようなろくでもない社会にしてしまうから、パパ活だ闇バイトで強盗だが流行るのだ。まともに働くことが報われる社会にしなければ本当に先が無い。

 年収に関わらず厚生年金加入などと言い出した役人は死刑にするべき。もし私が総理大臣ならそんな奴は2秒でクビにする。天下りも許さない。キャリア的に死んでもらう。自分自身が短時間労働者になって見れば良い。少しは世の中の見方が変わる筈だ。

 このご時世に国民の負担を増やすことしか考えられない能無しは社会に必要無い。心の底から軽蔑する。本当に一回、財務省厚労省の建物焼き討ちでもしたら良い。それか「官僚政治から国民を守る党」でも作ろうか。

*1:円安誘導で物価高を誘発させ、同時に官製春闘で賃金を上げてデフレ脱却を目指す