他人との子どもであることを隠し、配偶者に自分の子として育てさせることを托卵という。これをテーマにしたドラマが製作されており、男女で托卵行為に対する賛否が分かれているようだ。ドラマのとあるシーンに対する感想が真逆の場合まである。
私は托卵が許されないと考えている側だが、なぜそれが許されないと考えるのか整理しておく。お前には関係ない?それはそう。でも托卵ドラマを感動的に見てる連中がいるのキモ過ぎてつい書きたくなったの。
配偶者に対する不誠実さ
問題のほぼ全てはこれに尽きる。実際は配偶者との子では無いのに、配偶者との子であると偽って配偶者に養育の責任を負わせること自体が不誠実。お互いの信頼関係を大きく毀損するものであり、将来にわたって夫婦関係、親子関係に悪影響を及ぼすことは予想に容易い。
一部では「でも子どもは子どもじゃん」と言ってのける女性がいるが、そりゃ女性からすれば誰の種だろうと、自分で産んだのなら自分の子どもだろう。しかし男性からすれば話は違う。この点、相手の立場になって考えるという能力が致命的に欠けているんだろうなと思わざるを得ない。
男からすれば「自分自身の行為の結果であること」は、子どもを養うことに責任を持つための(ひょっとすると女性が考えている以上に)重要な要素である。自分自身に対する妻からの愛情、自分自身から妻への愛情、その結果として誕生した命であるからこそ愛情の対象となり得るのであって、それが実際は違ったとなれば心理的影響は大きい。
シングルマザーの再婚が進まない、連れ子に対して男が暴力をふるったりするのはこうした要素がある。厳しい言い方をすれば男の恋愛感情、愛情、独占欲においては自分以外の子どもなど邪魔なのである。この辺は実質的に動物園のサルと大差ない。発情期のサルのオスは行為したい相手に子どもがいるとその子どもを殺すことがある。
特にこのご時世、誰が好き好んで他人の子どもなど育てたいと思うのか。もし男にとって本当に誰の子でも良いのであれば、シングルマザーは減少傾向にあるだろう。現実は増加傾向にある。
もちろん例外というかそれを許容できる人もいるのだが、それはそれで第2子として自分との子をもうけることが前提であったり、あるいは許容できるだけ、という場合もあるだろう。
何にせよ配偶者であるにも関わらず相手を欺き、愛情を利用して利益を享受し、信頼関係や相手の感情を大きく傷つける托卵は人として最低の行為である。
夫婦関係や親子関係への悪影響
その場で托卵行為そのものを許す/どうにもならないと結論づけたとしても、前述した要素もあって長期的に見た場合の夫婦関係・親子関係への悪影響は避けられない。
特に父子関係が冷たいものとなることは予想に難くなく、ネグレクトや虐待につながる可能性は否めない。場合によっては子ども本人が托卵の事実を知り、ショックを受けることもあるだろう。自身の出自がゆらぎ、自分は一体どこの誰の子なのか疑問に思うようになると精神的にも影響がある。円満な家庭であればそこで持ち直すことも可能だろうが、配偶者に対する大きな裏切りが発覚した上でそのような家庭を築くことは難しい。
結果として不誠実さは夫婦や親子に対して不幸をもたらす可能性が高いといえる。これはひとえに托卵をする側の因果応報。
ただの感想
感情的に細かい理屈抜きの感想を言えば、托卵という行為とそれを憚らない/肯定する女性は反吐が出るほど気持ち悪い。純粋に相手の気持ちを考えられない不出来な人間、あるいは相手の気持ちを考えた上でそれを踏みにじって平気なサイコパスとしか考えられない。倫理観あるいは道徳観がイかれている。
悪いことであると自覚しながら隠してそれを行い、事実が明らかになっても自分の都合の良い理屈で相手に肯定させようとする、開き直る姿は世間一般では詐欺師と言う。女性に対する結婚詐欺が許されないなら托卵も犯罪と認識されるべきだ。このあたりが真の男女平等とは言えない。
得をするために誠実に生きるのではない、損をしないために誠実に生きるのだ。