Xで以下のような投稿が拡散されている。主張内容としては斎藤知事を追及した百条委員会の委員長、奥谷謙一氏の親戚にあたる奥谷武司氏が社長を務める会社、神戸不燃板工業が斎藤氏によって倒産に追い込まれ、それを逆恨みしているとの内容だ。
面白い話ではあるがこうした情報に飛びつくことは良くない。
https://x.com/tkc66937167/status/1859203148465787290
事実確認
まず神戸不燃板工業という会社は実在し、奥谷武司氏が社長を務めている(た?)。この奥谷武司氏が百条委員会の委員長、奥谷譲一氏の叔父にあたるらしいということはWikipediaに載っている。ソースがWikipediaというのも何だか・・・という感じはする。
http://www.kobe-funen.com/company.html
また、今年始めに破産していることも事実と見られる。
一方で公式サイトのギャラリーから実績を見ると、隈研吾氏の設計事務所の仕事は以下の1件しか見つからなかった。
考察
あくまで憶測で語るしか無いのだが、まず神戸不燃板工業の代表的な製品は文字どおり不燃板、木繊セメント板であって隈研吾氏が好む無垢材とは全く違う。この点において冒頭で貼った投稿内容は木質ボード=隈研吾氏が好んで使う無垢の板材、と誤認させる意図が感じられ悪質。「隈研吾氏に乗っかってすぐ腐る無垢材を高値で納入してボロ儲けすることで持っていたゾンビ企業」であるかのような言説は間違いであると考えられる。
もちろん無垢材としての加工までで社が木材を販売する可能性も考えられなくは無いが、そうなると施工する側としては特に神戸不燃板工業を介する意味は無い。
また、ギャラリーから施工実績を確認するとその大部分は土間床、スラブ、天井であり壁はほとんど無く、施工写真も大部分が無垢材とは縁遠い。実績自体も多岐にわたり、内容を見ても兵庫県庁舎関係なく官庁工事の仕事が減少したため破産に至った、という点に不思議はない。そもそも決して多くは無い隈研吾氏の案件に頼らなければ持続できないような企業が、昭和26年の創立から生き残っていると考える方が不自然である。
隈研吾氏が担当する(予定であった)兵庫県庁舎に神戸不燃板工業が何かを納入するとして、何をどういう形で納入する予定であったかも一般人には確認し得ない。関わっていた場合であっても外壁施工に関与していた可能性は低いとみられ、単純に面白そうなストーリーを作れる関係性を見出して陰謀論的ないちゃもんをつけているだけではないか。
「ネットde真実」とはこうして面白おかしく作られていくのだな、と改めて確認させられたように思う。公共の電波を使うマスコミはそれゆえにしっかり裏を取らないと大変なことになるが、SNSで憶測だけで好き勝手言うのは何のペナルティも(やりすぎない限り)受ける心配が無い。
「マスコミ(オールドメディア)の言うことを信じるかネットを信じるか」の二択ではなく、どちらの情報にも触れて内容を吟味する必要がある。
(´・ω・`)数日前に見た立花孝志党首の動画が焼き付いてますpic.twitter.com/ji0tYByUMd https://t.co/6ZFPKbkq0W
— 富士三太郎「(自称)国際政治学者」 🇯🇵🇵🇸🇺🇦 (@fujisan_Ed) 2024年11月17日
犬猫にならないためにね。