ヤマネコ目線

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レビュー)ジョン・ウィック4:コンセクエンス

 久々に映画を観て来たのでレビュー。感想文。ネタバレあり。世間的に見ると絶賛の嵐のようだが、私としては遠慮せず辛口でいかせてもらう。

 予め断っておくが、私はキアヌ・リーブスは好きだしジョン・ウィックシリーズも好きだ。ただまあ、正直にダメ出しはする。ロマンなるものを解せない点は留意されたい。

良かった点

 まずは良かった点から書いておく。ラストや全体の筋としてはまあまあ、こんなものかなと言った感じ。点数付けるとしたら75点くらい。理由は後述する。長く続いたシリーズもこの4作目で完結した訳だが、下手に長引かせず終わったのは評価したい。

 アクションシーンは非常に多く見応えもあり、素直にカッコいいと思えるシーンや大阪での一幕など、日本人としてニヤっとしてしまう点もある。あと映画館で見ると銃の発砲音に迫力があって良い。

 ラストの結末がなかなか読みづらく、そう来たかという感じで楽しめた。ただラストは観ていて苦しい。もうそれは苦しい。苦しいながらも最後が読みづらい+納得のラストだった点も良し。

 人によっては海外映画特有の勘違い日本を評価する向きもある。確かに大阪コンチネンタルやそこを襲撃に来た特殊部隊?の装備などは面白い。やるならやるでもう少し振り切ってほしかったが。どうせ防弾装備で敵キャラがスーツでもカチカチなんだし、特殊部隊は忍者でも良かったのではないか。

ーーーーーここからマジでネタバレありーーーーー

johnwick.jp

イヌが心配で見れないという方へ

イヌは1度クルマに撥ねられますがもちろんCGでピンピンしてます

あと敵の股間噛み過ぎ

 

 

 

 

 

賛否両論?

 ラストでウィックは死亡するが、ファンとしては複雑なものがあるだろう。当初は生死があやふやな結末だったらしいが、キアヌ・リーブスの「今回で完全に殺して欲しい」との希望からあのラストになった。らしい。個人的には不満は無い。シリーズ完結の潮時だった。

 全体として良くも悪くも目立つキャラが多かったのも印象的。ケイン、コウジ、アキラ、Mr.ノーバディ等、主人公はあくまでウィックな筈だが、それ以外のキャラのアクションシーンがそれなりに尺もあって目立つ。プラスに考えれば真田広之はじめ多くの俳優のアクションが見られる訳だが、俺が見に来たのは”ジョン・ウィック”なんだけどな、とも思う。

気になった点、良くなかった点

 一番気になったのはジョン・ウィックの強さに説得力が不足している点。見せ場はあるし強いのは強いのだが、ケイン(ドニー・イェン)ほかのキレのあるアクションを見てしまうとどうしても見劣りする。また、パリでのシーンでは特にウィックの立ち回りがスマートでは無いというか、真正面からバカみたいに歩いて行ってスーツの防御力頼りでなんとかかんとか、という感じ。ウィックが強いのではなく、襲ってくる敵がどいつもこいつもマヌケで銃の腕からっきしという感じに見えてしまう。映画の主人公に弾は当たらないなんてお約束は百も承知だが、それでもこれは死んでるだろ、というシーンが多い。"ババヤガ"の立ち回りか・・・あれが・・・?

 基本的に敵は大勢いる筈なのだが、画面外の敵はゲームのように停止していて一度に数人の敵だけが襲ってくるという感じがあり、大勢から狙われているだけのスケール感を扱いきれていない。

 特にパリの地下水道からエッフェル塔付近へ出たシーン。事前に手配されていることが分かっているのに堂々と町中に現れ、見事にクルマで跳ね飛ばされてガチャガチャしてクルマ奪って~をしているシーン、いくら映画の敵モブでも停車しているクルマの運転席すらまともに狙えないやつがいるか。マスタングでグルグルしながら撃ちまくるシーンはカッコ良かったが。

 サクレ・クール寺院へ至る道中もなかなか。長い階段をバカ正直に正面から突破して上へのぼって行く訳だが、遮蔽物が少な過ぎて弾を受ける描写は防弾スーツに頼り切り。階段から突き落とされると笑ってしまうくらい長々とウィックは転がって行く。途中でケインと合流して旧友で力を合わせて上を目指すシーンは熱いっちゃ熱いのだが、そこは予め殺しておいて「待ってたぞ友よ」くらいしてくれね?そっちのが強キャラ感出るし。無理か。

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 ウィックの戦闘を真上から見る感じの描写は面白いと言えば面白かったが、尺がそれなりに長く、平面的な画で誤魔化されているように感じてしまった。戦闘シーンを引きで見せると何をやっているかが分かりやすいのでアリだとは思うのだが爽快感は減る。真上からだけでなく別角度からのシーンもあれば尚良かった。

 また、無駄なシーンの長さも気になる。上映時間は169分とほぼ3時間程度ある訳だが、ちょいちょい「ここ要る???」というシーンがあったのは頂けない。特にクラウスに連れられてベルリンの動けるデブに会いに行ったシーン、あの4人でポーカーするシーン要る?結局普通に殺し合い始めるしそこまで爽快なシーンも無いし。あのシーンは丸々カットでも良かったのでは。金曜ロードショーとかだと間違いなくカットされる。ちなみに”ベルリンの動けるデブ”スコット・アドキンス演じる「キーラ」。

 他には焼夷弾を試し打ちするシーン、分かりやすさ重視だろうが、敵がいきなり焼夷弾を撃って来た方がサプライズはある。仕事の直前になって試し打ちというのは何とも。パリのエッフェル塔放送局からウィックをラジオで手配するシーンも、1度までならともかく何度もレコード掛けたりマイクに向かって女が喋ったりよく分からん機器のメーターが動いたりするシーンは要らん。正味くどい。

 梅田駅で電車に乗ったウィックの所へ、リナ・サワヤマ演じるアキラが「父を殺した男の名前を教えて」と言って去っていくシーンも微妙。言うだけ言って去っていくが何だったのか。それも撃たれた上で父の死を目撃してからウィックに追いついて来る。忍者ならありえなくは無いが。

 映画始まってすぐ、ウィックがひたすら拳をぶつけているシーンも必要なのかどうか。最初から砂漠でチェイスのシーンで良かったのでは。首長(砂漠の民っぽいやつ)を殺すシーンは要る。あれを殺した事でビル・スカルスガルド演じるグラモン卿が首席連合のボスとなり、一連の流れが始まる。ただその流れは分かりづらい。

 大体こんなものだが、それ以外だとMr.ノーバディの存在も好きになれない。昨今のポリコレ要素で黒人を出さないといけないのか知らないが、ジョンを殺そうとしている立ち位置ながら実質的にはお助けキャラに過ぎず、殺し合いを始めたかと思えばイヌを助けてもらって完全に寝返り。決闘シーンでは横で高みの見物。何やねんお前。あと名前をトラッカーかMr.ノーバディのどっちかにしろ。分かりづらい。

 マルコ・サロール演じるチディ(グラモン卿のボディガードのボスみたいなやつ)もどうなのか。洋画にありがちな地味にしつこい敵キャラポジションな訳だが、本当にしつこいし防弾スーツでカチカチ過ぎだしウィックにトドメを差される訳でもない。

 ここまで山盛り文句を書いた訳だが、映画レビューサイトでは☆4で高得点、絶賛コメントが多いので観に行く価値はあるだろう。

 ヌンチャクつえーwwww