ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

最近チェックしている/した作品

 漫画、アニメを少しは見ているがそれらについて出来るだけネタバレしないように感想でも。

呪術廻戦

 知らない人向けにざっくり説明すると「呪い」とそれを祓う者たちの物語。

 ジャンプで連載中の方を追っている。今は最終決戦の真っ只中。終わりが近いので作品への評価は固めやすい。現時点で個人的な評価をすれば粗は目立つものの概ね面白い。ツッコミ所が無い訳ではないし展開の粗さやキャラ造形のツギハギ感はあるものの、何だかんだ言って「ここから先どうなるの・・・?」と思わせるものがある。なのでヒット作ではあるし注目もされ続ける。

 ただし第ニの鬼滅と言われる程ではないと言うか、「呪い」というテーマからして万人向けではないしグロテスクな要素も多い。ダークファンタジーらしいと言えばダークファンタジーらしい感じで私は嫌いではない。

 ちなみに萌え系の女性キャラはほとんど出て来ない、出番が少ない。イカした男性多めでどちらかと言えば女性向け。というか作者が女性。

葬送のフリーレン

 アニメは3話まで、原作漫画は最新話まで履修。これも第ニの鬼滅といえるほど万人向けでは無いがまあまあ面白い。内容をざっくり説明すると、仲間の死をきっかけに人間をもっと理解したいと決意したエルフの魔法使いが、かつての仲間の魂に会うために旅をする話。

 盛り上がるシーンはあるものの、基本的には旅をする魔法使い一行の日常という感じで戦闘シーンがふんだんに無いと物足りないとか、もっと濃い内容を求める人には不向き。それよりかは人間同士の交流、心の理解から来るような柔らかい感動が欲しい場合に良い。そういう場面は丁寧に描写されている。

 かと言って戦闘シーンが無い訳でも手を抜いている訳でも無いのだが、魅せる必要があるシーン以外ではすごくあっけなく終わる。日常も戦闘も、長命であるエルフの時間感覚を擬似体験させられているかのようにあっさりと流される場面が多い。情報量の多さに慣れた人間にとっては少々物足りないが。

 なので人によっては「何が面白いのか分からない」で早々に観るのをやめてしまう。

 個人的に楽しいと感じる部分は、エルフの主人公と人間の感覚のズレから人間の心への理解が少しずつ拓ける所、魔法がある世界への解釈。前者は私自身の感覚がエルフに近い( )ので。後者は魔法がある世界で魔法の発展過程や攻撃・防御のロジックがある程度しっかりしている所。厨二的な魔法陣は出るが詠唱*1は無いので共感性羞恥もあまり感じずに済む。

 露骨すぎる性的要素が無い点は万人向けといえる。強いて言えばユーベルは多少狙ってる感はあるが、子供と観るのも問題ない程度。フリーレンやその他の女性キャラを見て性癖が歪む可能性はあるがそれはいずれ他でも歪むレベル。もう1人の主人公は女性だが丸い。顔もフォルムも丸い。

ダンジョン飯

 冒険者の一行が訳あってダンジョン*2の最深部まで急いで向かわなければならない状況に陥り、そのために食料を現地調達=魔物を調理しながら行く話。

 魔物と言われて一般的に連想される多くの生物をいかに調理して頂きながら進んで行くかが面白い。まったくの架空生物をあえて調理してみようという試み、決して新しくは無いが解釈の仕方に幅があるのでその辺りを楽しめる。あと主人公の好奇心が悪い意味でヤバい。

 逆に「魔物」全般に詳しくなければあまり楽しめないかも知れない。たとえばセイレーン、ケルピー、ゴーレム、スライム。エルフですら一般人にはどういう種族か分からないとも聞くので、ファンタジーに興味がない人間には合わないか。フリーレンに出てくる魔物は独自要素が強いのでこの辺は気にする必要がない。

 なお、主人公一行にエルフがいると葬送のフリーレンと共に話題になった事もあるが厳密にはダンジョン飯のマルシルはハーフエルフ(人間とエルフのハーフ)である。長命には変わり無いらしいが雰囲気や描かれ方は違う。フリーレンは超マイペースなクール系(というか恋愛も含めて感情自体が希薄)。マルシルは周りに振り回される感情豊かな少女で恋愛にも強い興味がある。

マッシュル

 ハリー・ポッターのような魔法世界で魔法を一切使えない主人公、マッシュ・バーンデッドが平穏な日常を取り戻すため、力業であらゆる局面を乗り越えていく話。後半はオリジナリティが強くなって来るが序盤の魔法学校編はハリー・ポッターへのオマージュが非常に強い。

 世界観的には[ 魔法が使えないマグルの数>>魔法使いの数 ]のハリー・ポッターとは真逆で、むしろ魔法が使えない人種が少数派かつ差別される世界。そんな世界で魔法使い相手に笑えるレベルの力業で立ち向かっていく姿がギャグマンガとして面白い。主人公の性格もマイペース過ぎる上にブレないので良い。

 ただ1つ興ざめな点があるとすれば、主人公が血統主義的な出自であったこと。ただの魔法使えない脳筋マイペース人間が力で魔法をねじ伏せるのが面白かったのに、結局その出自は只者ではなかったという点で少々醒めた。それにしてもやる事が毎回毎回おかしいのだが。創る側の立場から見れば、そういう出自のほうが何かと大事に巻き込む理由が出来て良いのだろう。

 ハリー・ポッター以外では鋼の錬金術師も読んでおいた方が楽しめるシーンがある。

余談:漫画やアニメが流行る理由

 昔と違って大人も漫画やアニメを楽しむ時代になって久しい。これは何故か。理由は複数あるが大体が少子高齢化の根本的な原因と繋がっている。要は「お金が無い」のだ。

 失われた30年とも言われる低迷の中でも遊ぶためには金が必要なのは変わり無い。しかしお金に余裕は無いし、多少あっても将来への不安から財布の紐は硬い。そこであまりお金をかけずに楽しめる娯楽が流行るのは当然のことで、マンガ、アニメ、ゲームといったものが娯楽の主流になる。

 上の世代が言う「日本人が幼稚になった」はそういう意味では正しいが、一方で「大人になるべき者が大人になり切れないような社会にした」のもまた上の世代と言えよう。だから古い作品のリメイクが流行ったりもする。今の年齢的に大人である人々が子供だった頃に流行っていたアニメ、ゲームのリメイクが多い。本来は子育てに振り向けられる筈だった経済力、しかし中途半端な経済力ではそもそも結婚できない。余った経済力は趣味へと向かう。

 何にせよ、マンガを読んだりアニメを見たりして世界観に浸っている内はつまらない現実を忘れられる。ゲームに集中していれば面白くない世界から目を背けられる。それが大流行する世の中がどうにかならない限り、まだしばらくこの流れは続く。

*1:滲み出す  混濁の紋章  不遜なる狂気の器ナントカカントカ的な

*2:地下にある入り組んだ遺跡で一般的には魔物の巣窟