ヤマネコ目線

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北朝鮮の軍事パレード注目ポイント

 昨日、何となくNHKのニュースを見ているとなかなか看過しがたい物が北朝鮮の軍事パレードのニュースで映っていたので少し解説しておく。特に軍事に疎い人はあまり分かっていないと思うので

news.yahoo.co.jp

何が映っていたか

 まず注目したいのがコイツ。これは明らかにアメリカ軍の無人偵察機対戦車ミサイルによる攻撃と民間人を巻き添えで爆殺もこなすMQ-9リーパーのコピー品である。

ja.wikipedia.org

 これがこの画面だけで4機確認でき、翼の下にはミサイルらしき物体も搭載されているのが分かる。

 加えて同時開催の兵器展示会、金正恩とショイグの後ろにこれ見よがしに映り込んでいるのはアメリカ軍の無人偵察機RQ-4グローバルホークのコピー品とみられる。

ja.wikipedia.org

 グローバルホークはかなり高性能な偵察機で、自衛隊アメリカから2017~2019年にかけて3機購入したに過ぎない。

 この手の無人偵察機人工衛星を介して操縦するもので、たとえば中東で飛行している無人偵察機でも操作自体はアメリカ本土にいるオペレーターが行っている。逆に考えると人工衛星は2012年に打ち上げたっきりの北朝鮮には人工衛星経由で操作しようにも使用できる衛星が無いので、希望的観測をするならば外観だけそれっぽいハリボテである可能性はある。

 が、パレードと武装装備展示会に中国とロシアの代表団が参加していることを忘れてはならない。使える衛星が北朝鮮には無くとも中国、ロシアにはある筈だ。対米路線で一致している以上、衛星使用の協力を取り付けている可能性がある。また、北朝鮮は最近になって人工衛星の打ち上げに躍起だ。今回の報道でその理由が見えたことになる。いずれ北朝鮮は単独で無人偵察機を衛星経由で操作する術を手に入れるだろう。

 こうしたコピー兵器自体は特段珍しいものでも無く、中国はかなり前からアメリカ軍の無人偵察機をコピーして来た経緯がある。下記の記事は2014年のものだが、実に約10年前からこうした動きがある訳だ。軍事の世界、戦場ではパクりもへったくれも無く「殺ったもん勝ち」の風潮が強い。

www.gizmodo.jp

何がヤバいか

 このレベルの無人偵察機をわー国は自国で製造できていない。しょぼいドローンすら官民あげて作ってこれ。

www.nikkei.com

 MQ-9リーパー自体を「シーガーディアン」としてアメリカから8機配備してもらっているのに加え、RQ-4グローバルホークも結局はアメリカから買っている。自国で無人偵察機/攻撃機を製造する能力において日本は今や北朝鮮未満となってしまった(「製造」と「運用」能力はまた別の話)。これからは技術立国ではなく観光立国で行くらしいしな。仕方ないか。

 運用は借り物とはいえアメリカ軍のMQ-9, RQ-4で以前から行われているので自衛隊の方が上とは思う。とはいえMQ-9が自衛隊基地に展開を始めたのは2022年11月。RQ-4の運用部隊が発足したのが2022年12月。そこまで有意な差をつけられるほど手をつけた時期が早い訳でも無い。アメリカ軍からの指導を加味すればムダではない。

news.yahoo.co.jp

www3.nhk.or.jp

 ウクライナ戦争ではドローンが目に見えて活躍しているように、今や戦場での無人兵器の重要度は日を追うごとに増している。その中でドローン先進国となって物量もある中国、ロシア。弾道ミサイル無人偵察機も配備し始めた北朝鮮。これらの脅威に日本はどれだけ対抗出来るだろうか。偽りの平和主義の下、武器・兵器開発を拒み続けたツケがいよいよ回って来た感がある。

 いざ戦争になった時、自衛隊は生身で無人の兵器に立ち向かわなければならないだろう。相手は人的損害ゼロ、こちらはどんどん兵力を減らされることになる。ただでさえ少ない兵力が無人の兵器で削られる。もとより大国には物量で敵わないが、それに加えて無人兵器で圧殺される未来がいかに絶望的か。

 私は15年前からその未来を予測して発信して来たが、無人兵器の重要性を理解しない愚かしさによってもうこんな手遅れな状態にまで来てしまった。一般的なドローン1つ取っても中国は日本への輸出を禁止するだけで有意に立てるだろう。無人兵器の開発をもっと早く進めておくべきだったし、今からでも進めるべきだ。日本がいくら意固地になって無人兵器の開発をしなくとも、世界はそんなのお構い無しに進んで行く。困るのはいざという時、出遅れた側だけだ。

本当は中国製では?

 ここからは私の勝手な憶測になるが、MQ-9やRQ-4のコピー品を展示したのは北朝鮮にせよ、その裏には中国による多大な技術的支援・物資的支援があるのではないだろうか。製造自体は中国で行われているかもしれない。あるいは情報、資源を提供して北朝鮮で製造されているか。

 先に述べたようにMQ-1プレデターは約10年前にコピーされているし、MQ-9はその発展型に過ぎない以上、そうであってもまったく不思議ではない。何なら中身は中国や北朝鮮によって独自に魔改造されているだろう。

 別件では米軍の無人偵察機RQ-170センチネルがイランによって鹵獲された事件もある。この件は鹵獲された後の情報が私の知る限り定かでない。

www.afpbb.com

 なお、奇しくも?その2年後の2013年、似たような形状をした中国の無人偵察機「利剣」が初飛行を果たしている。イランやロシアなど”仲の良い”国々によって、アメリカ軍から盗まれた兵器の情報が共有されているかも知れない。そうした情報を資源などと引き換えにするのは有効な手だろう。

news.tv-asahi.co.jp

 俺もあんなラジコンが欲しい