今週のお題「自由研究」
子どもの頃にどんな自由研究をしていたかなんて忘れた。工作か何かで済ませた記憶はある。今の子どもはどのような自由研究をするのか知らないが、テーマとして面白いものを紹介したいと思う。
風車の種類
風力発電と言えば風で風車を回さなければならない。一般的に「風力発電」と言われて思い浮かぶのは巨大な風車だろうが、実際にはそれ以外に様々な形の風車がある。これが意外と?奥が深い。研究しがいがある。
まず風車は水平軸と垂直軸に二分される。上図、左の一般的な風車型は風が吹いてくる方向に対して軸が水平なので水平型。右の風車は軸が垂直なので垂直型。この水平型、垂直型の中でも様々なタイプがある。詳しくは以下のサイトを参照されたい。一般的な風車の形状でも大きく4つに分類されている。
風の力をどう使うか
上のサイトでは風車をさらに「揚力型」と「抗力型」に分類している。揚力型は飛行機の翼の原理を応用しており、抗力型は単純に面で風を受けてその抵抗で回る。実際に開発されているもの中には両方の特性を活かした垂直型風車もある。
先ほどのサイトには載っていないが、さらに興味深いことにマグヌス効果を利用した風車で、野球の変化球やエアガンのBB弾が上にカーブするような原理で回転させるものがある。詳細な原理の解説は宇都宮大学の下記サイトを見て欲しい。
回転させさえすれば良いので、単純な円柱や少し工夫した円柱でも風車に仕立てることが出来る、というのはとても興味深い。通常に風車には効率面で劣るようだが。
課題
そもそも風力発電は風が吹く場所でなければ発電量が見込めない。これが最大のネック。私は奈良県に住んでいるが奈良県なんて本当に風が吹かない。海無し県であり四方八方山だらけ、台風が来ても生半可な台風だと近畿一円に警報が出る中で、奈良県だけ警報が出ないなんて事はザラ。小学生の頃から思っていたが奈良県の警報を出す担当は基準がおかしいのでは、と疑っている。
話が逸れたが風力発電ではもう1つ問題がある。「風車の大きさと発電効率に大きく関わる」こと。風はそこまで密度が高い訳ではない。光のように密度を高めることも容易ではない。より大きな風車を作って多くの風を受けることが発電量の増加に直結する。設置する場所は限られるし、騒音問題なども出て来る。小型で効率の良い風力発電が盛んに研究されているが、風車のエネルギー変換効率は最大でも59.3%とされている。
この59.3%はあくまで理想状態での理論値での話であり、実際の効率は一般的に30~40%とされている。印象的には本当に40%もあるのかと思うが、風力発電は
- 風車の性能
- 風速と安定性
- 発電機の効率
が関係しており、海沿いで高性能な風車を使えばそれくらいの効率は実現できるのだろう。
風力”発電”まで行かなくとも、風車を作って回転数を測るだけでも十二分に自由研究になり得るのではないか。
これまでの試作
3Dプリントで出力してみた試作品。垂直軸型でCDの空き容器、BB弾を利用して回転させる簡易風車。揚力型の特性を生かそうと一部を飛行機の翼のようにし、サボニウス型を2つ組み合わせたような形状にしてみた。こんなものでも実際に作ってみて回して見ると面白い。あまり大きなものは作れないが、こういう試作では3Dプリンターが大いに役立つ。
どのような自由研究をするにせよ、3Dプリンターはあっても良いかも知れない。あんまり高いのを買う必要はなく、どちらかと言えばFDM方式で造形サイズ(印刷可能な物体の大きさ)が大きいものを選ぶのが良い。ただし置き場所には注意。
発電方法
ローターとステーターと呼ばれる部品を作り、風の力で回転させる。と書くのは簡単だが実際に独自のものを作るとなると面倒。なので自由研究では市販のモーターとLED、整流ダイオードを使うなどして簡易なものを作るくらいがちょうど良いと思われる。私は何とかスマホを充電できるようなものを作りたいと思っているのだが、なかなか前に進まない。宿題でやるなら前に進むものを選ぶのが賢明。
注意喚起だがLEDは高くても3.2V程度の電圧までしか耐えられない。それより高い電圧を急にかけたりすると燃えたりはじけ飛んだりする場合があるので注意すること。
余談:ペットボトル風車
田舎の畑ではたまにペットボトルで出来た風車を目にすることがある。子どもの頃はただ単なる遊び心で作っているのかな、と思っていたがそんな事は無くモグラ対策である。モグラは風車の回る音や支柱を介して地面に伝わる振動にビビって逃げるとか。ペットボトル風車の作り方も調べれば様々な方法がYouTubeに投稿されていて面白い。
「モグラなんて放っておけばいいだろ」、と思うのはド素人の考えで、地中に穴を掘りまくる彼らは田畑のあぜや地盤を脆くし、土壌を完全してくれるミミズを食べ、堀った穴を利用してネズミが農作物を食べに来るなどろくな事が無い。対策が取られるにはそれなりの理由がある。