ヤマネコ目線

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うま味調味料は悪か

最初に断っておくが”使い過ぎなければ”良いと思う。

 料理研究家・YouTuberとして有名なリュウジ氏はたびたび動画内で味の素を使用し、視聴者から批判されている。一部では「人殺し」呼ばわりする過激派も。これに関して。

味の素と陰謀論

 味の素とは、うま味成分として知られるグルタミン酸ナトリウムそのものである。昆布などに含まれる成分と同じ(ただし製法は異なる)で別にそれ自体、非難されるほど強い毒性がある訳でもなんでも無い。一部の化学調味料やら何やらをお気持ちで忌避する人間がネガティブキャンペーンを展開しているだけであり、「人殺し」呼ばわりは明らかに過剰反応である。

 そうした人たちは「味の素の原料は石油でそれも発がん性がある」と主張している。が、確かにWikipediaではグルタミン酸ナトリウムの安価な合成方法として「石油由来成分からの化学合成」とも紹介されているものの、調味料として市販されているグルタミン酸ナトリウム=味の素の原料はサトウキビである。発がん性も有意なデータが無い。アメリFDAでの安全性分類も問題ない。

www.ajinomoto.co.jp

 同様にその他の内容は根拠がいい加減なもので半ば陰謀論の域であり、お気持ちだけで好き放題にいい加減なことを書いていて、いつか味の素に訴えられれば良いのにと思えるレベル。べつに安全性を疑うことが悪とは言わないが、「味の素は石油から作られてて発がん性がある!」と書いた直後に放射線を投射して遺伝子を組み替えたサトウキビから生成される」と言ってみたり(石油由来なのかサトウキビ由来なのかどっちやねん)、そういう連中はもはや味の素とか関係なくアタマの病気なので早めに精神科に行った方が良い。

 とりあえず不安を煽るワードを自分の無知蒙昧なアタマでそれっぽく組み立てて、まったくもって荒唐無稽な論理で他人を「人殺し」呼ばわりするような人間は味の素よりよっぽど害悪。

どう付き合うべきか

 とは言え、私は味の素をドバドバと料理に使って良いとも思わない。物質そのものの特性も重要だが摂取量もかなり重要な要素で、塩化ナトリウム(=食塩)だって毎日山盛り摂取すれば当然、病気になる。毒かどうかは物質そのもののの特性のみならず、量でも決まるのである。

 ではグルタミン酸ナトリウムの適量はどの程度か。昆布に含まれるグルタミン酸ナトリウムの量を調べた論文があったので引用させていただく。乾燥昆布を使用したと記述があるので比較しやすい。

https://www.i-repository.net/il/cont/01/G0000155repository/000/003/000003846.pdf

 要約すると羅臼昆布が100gあたり3.5g、利尻昆布100gあたり1.7g、三石昆布が100gあたり1.5g程度含んでいるとの実験結果が記載されている。

 ここで問題なのは単位で、昆布を100gも使って科学的に抽出して得られるグルタミン酸ナトリウムの量はたったの3.5~1.6g程度である、ということ。”フードプロセッサーで粉末にして”、”エタノール水溶液、10℃、24時間抽出"した場合でこれ。

 料理で出汁を取る場合、水1Lに対して使う昆布は10~20g程度。それも単純にシート状のまま煮るだけなので実際に出汁、約1Lの中に溶け出すグルタミン酸ナトリウムの量は大体0.5g未満程度のものだろう。特定非営利活動法人うま味インフォメーションセンターとやらのデータでは、下図のように実際、1,000g換算しても0.5gにも満たない(単位 mg/100gなのに注意)。大体その半分、0.25g程度になるだろうか。

https://www.umamiinfo.jp/dashi/ より

 という訳で、味の素を入れるにしても水1Lに対して0.25g程度にとどめておくのが適切だろう。普通に料理している中で何振りも入れるのは入れ過ぎでは?と思う次第。せいぜい1振り、わずかに入れる程度で良いのではないか。

 また、リュウジ氏も言っていたと思うが調味料などによっては既にグルタミン酸ナトリウムが入っているものもある。そういう場合は入れる必要は無い。たとえば丸美屋の麻婆豆腐の素を見てみよう。

www.marumiya.co.jp

 上記サイトより成分表を抜粋したのが下図。

 この中の「たん白加水分解物」がグルタミン酸ナトリウムを含む”うま味成分”である。その他、「調味料(アミノ酸)」などの表記もある。

 今の季節でいえばめんつゆには大抵入っているし、カップ麺なんかにも沢山入っている。そういうモノを使用して、あるいはそのものに追加で入れるのは入れ過ぎ。慣れて来ると入れ過ぎかどうかが舌で分かる。私はうま味調味料を入れ過ぎたものを食べると何となく、大げさに言えば舌がじわじわと焼けるような感覚が分かる。本当に大げさに書けばだが、結局そこまで行くとクドいに違い無いので良くは無い。

 容量と使い所を守って美味しく調理しよう!