ヤマネコ目線

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ベーシックインカムと年金廃止

 昨日、Twitterで「竹中平蔵」、「年金廃止」、「ベーシックインカム」などの不穏な文字が並んでいた。本ブログでもこれまで幾度となく書いて来たが、その流れは水面下で続いているようだ。

ベーシックインカムの何が問題か

 ベーシックインカムの導入には巨額の財源が必要になる。ある試算では100兆円とさえされており、これは2023年度の一般会計予算が114兆円であること、過去最高額とされる昨年度の税収で約70兆円であることを考えればかなりの規模といえる。竹中平蔵とそのお仲間はその巨額の予算の中に自分たちの事業を組み込んで中抜きし、私腹を肥やすことばかり考えているのだろう。まずそれが何よりの問題。

 加えてベーシックインカムにかかる莫大な予算をどうやって捻出するかが問題になる。既存のあらゆる社会保障を破壊してその予算を充てなければ足りない。「年金廃止」というワードはそこから出たものだ。年金だけでなく健康保険と介護保険およびそれに基づく医療支援、児童手当、高齢者福祉、障害者福祉、失業保険、育児休業や介護休業にかかるあらゆる給付金、生活保護あらゆるセーフティネット・支援が「月~万円の収入が保障されるんだから無くても平気だよね?」、という理屈ですべて破壊される。年金廃止はその序章に過ぎない。

 今ある社会保障全般が消え去ってしまうとどうなるか。今以上に様々な物事が完全自己責任の時代がやってくる。体調が悪くても健康保険が無いのでおいそれと病院に行けない、救急車を呼ぶことが躊躇される。高額療養費制度なんかも無いので高額な医療は任意保険で賄うしかない。外資系保険企業にとっては大いなるビジネスチャンスだろう。

 生活保護や年金が無くなっても月~万円の収入が保障されるなら安心だろうか。竹中平蔵が以前、テレビで口にしたベーシックインカムは月たったの7万円ぽっちである。果たしてその範囲で「老後も安心だ」といえる人はどれだけ居るか。持ち家で無いなら下手し、家賃を払えば手元には何も残らないのでは。結局、どれだけ老後に備えて蓄財できるかも完全に自己責任だ。最終的にはあえて軽犯罪をして刑務所に入ろうとする老人が増えていくだろう。

 もしそれでも予算が足りなければ?ベーシックインカムにかかる巨額の予算のためにはどこかでそれなりの税収を確保する必要がある。社会保障を廃止すれば社会保険料の控除は当然、無くなるだろう。しかしそれに代わるベーシックインカム財源のための控除や税金が新たに出て来るであろうことは想像に容易い。それも現在の社会保険料よりも大きい負担となる可能性は高い。先述したようにベーシックインカムにかかる費用を100兆円とする試算があるからだ。試算はあくまで試算だが、これまでの経験則から試算よりも安く済むことはまず無い。東京五輪だって「コンパクトな五輪」などと言っていたが、蓋を開けてみれば掛かった経費はむしろ膨らんでいた。パソナのような中抜き企業が一枚もニ枚も噛む限り、そこで予算が試算よりも減ることなどあり得ない。

 何にせよ必ずどこかしらで財源は必要になる。ひょっとしたらそれは消費税になるかも知れない。財務省、いや罪謀省によれば「日本にはまだまだ消費税を引き上げる余裕がある」らしいし、これまでもたびたび消費増税の話は出ている。インボイス制度も実質的な消費増税であるし、消費増税率を上げたくて仕方ないのが透けて見える。しかし以前にも書いたが消費税は逆進課税である。相対的に富める者ほど負担が軽く、貧しい者にほど負担が大きい。格差を拡大させる税金でしかない。

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 富の再分配のための税金は累進課税で対応すべきところ、金持ちは、こと竹中平蔵のような政商は政府に働きかけることで逆進課税(=消費税)にさせて来た。それが日本国内の経済衰退・停滞の長期化、格差拡大を招いている。

 結局、ベーシックインカムの導入によって何が起こるか。金持ちはもともと持っている所に追加の収入を得る一方、低所得者からはあらゆる社会保障が奪われ自己責任のもとに切り捨てられる。中間層からしても月7万円ぽっちのためにあらゆる支援が無くなって、取られるお金はむしろ増える。富の再分配が偏り、格差は是正されるどころかますます酷い有り様になっていく。果たしてそれで良いのだろうか。我々はそれを許して良いのか。

もう1つの狙い

 竹中平蔵ベーシックインカムを推進しているにはもう1つ理由がある。雇用の流動化だ。ベーシックインカムを導入すると最低限の収入が保障されるため、「転職失敗・無職期間の長期化で生活費が~」という心配が減り、雇用が流動化するとされている。

 「自由な働き方が増える」と書けば聞こえは良いがここ数十年、そのお題目の下で行われたのは「生活基盤の不安定化」であった。結局、パソナのような派遣業者が繁盛して中抜きが大いに捗る一方、肝心の労働者は非正規雇用が増えて生活基盤が不安定化し、年収中央値も30年で100万円以上低下している。そのような状態では結婚や子育てを出来る人間が増えるワケが無く、将来への不安ばかりが募って少子化が加速した。

 何のことはない、竹中はつまるところ自分やそのお仲間のビジネスのためにベーシックインカムを推奨しているワケだ。それが日本の少子化を加速させてもお構い無し。日本国民の生活を生贄に自分たちだけ肥え太ろうとしている。

 では少子化傾向はベーシックインカムによって解決できるだろうか。月たったの7万円ぽっちが保障されるだけで何になると言うのだ。それもこれまで述べたように、今以上に真面目に働くのがバカバカしいほど取られるものは増えるだろう。子育てが出来る経済力ある人間はさらに減る。少子化は止まるどころか加速していく。「子どもが出来ればその子の分がもらえるじゃないか」、その程度で子どもが作れるアタマなら知らんが。

結論として

 私は以前から書いているようにベーシックインカムには反対である。社会保障の簡素化などのメリットはあれど、現在のきめ細かな保障・セーフティネットがまとめて破壊されて、今以上に税金などの負担が増えると思われる上に、一般市民にはそれを補って余りあるようなメリットは無い。

 むしろ今の、今までの政府与党・自民党の政治を見ているとどんなにメリットを強調されても信用できない。する気も無い。何よりも竹中平蔵が推進している時点で話は終わり。検討するまでも無いし論ずるまでも無い。

 

次の選挙では意地でも自民党公明党、維新の会以外に入れてやるからな!ふざけんなよ(維新の会も竹中平蔵と関係が深い)