ヤマネコ目線

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メーカーから見る自作PCのパーツ選び

*参考までにAmazonリンクを貼っていますがアフィリンクではありません。精密機器を買うのであればTSUKUMOやドスパラなどの専門サイトで買うことをオススメします。Amazonは梱包がカス。

 前回の記事に対する反応が薄かったので、誰も興味無いとは分かりつつも続き。RTX4070Tiを基準として画像生成AIを使うためのPCを自作していく話。今回はパーツ選びについて

 PC自作(と言っても部品をつなぐだけ)をいざしようとしても、部品選びで迷う人は多い。特に聞いたことも無いメーカー名が多い中で、一体どのメーカーが信用できてどのメーカーが信用できないのか。初心者は迷うに決まっているし、調べるのも手間。それなりに経験があっても数年経ったら新興メーカーが幅を利かせている、なんてこともしばしば。

 分かりやすい?ようにメーカー名は最初だけ太字にしておく。

全体像

 改めて全体的なパーツリスト等を。なぜそのパーツを選んだのかメーカー選びの観点から書いていく。ケース、OSは今使っているものを流用予定。

CPU

 CPUは特にメーカーで迷う必要がない。IntelAMDかの二択。最近はAMDが追い上げていたが、今やIntelより安くてIntel並に高性能」Intelと同程度の性能、同程度の*1値段」のような立ち位置となり、「じゃあソフト的に最適化されているものが多いIntelが良いよね」ということで再びIntelの時代が到来している。頑張れAMD。俺はIntel core i5-13500を使うけど。Intelぅ~、最高っ!

 Intelは1968年設立のCPU*2製造最大手。半導体メモリから始まり、1971年には日本のビジコンと共同開発で世界初のマイクロプロセッサを発表。以降、マイクロプロセッサを主軸として成長を続け今に至る。最近のAMDによる追い上げが始まるまでは独走状態と言って差し支えなく、殿様商売への批判もあった。裏を返せばそれほどCPU業界では強い。

FAN

 CPUクーラー*3DeepCool AK500 ZERO DARKを採用。これまで空冷ファンの定番といえばScythe*4虎徹Mk.IIIあたりが定番だったが、最近はその地位が揺らぎつつある。CPUクーラーでは他にNoctua*5CoolerMasterあたりが有名か。Intel core i5-13500にはリファレンスクーラーと呼ばれる申し訳程度のおまけCPUクーラーも附属するが、より高い冷却性能を持つクーラーを付けた方が発熱による性能低下を抑えられる。

 なお、DeepCoolは1996年創業で北京に本社を置く中国のメーカー。Scytheは日本のメーカーなので国粋主義者はScytheを選ぼう()。意外?にもScytheは2002年創業と後発だったりする。私はあの大鎌のロゴがいかにも厨二病っぽくて共感性羞恥を覚えるので苦手。純粋にデザインの面でDeepCoolを選んだ。簡易水冷?液漏れが怖いしメンテナンスが面倒なので検討の対象外。

GPU

 GPU(グラボ、グラッフィクスカード)にはGIGABYTE製RTX4070Tiを選択。このグラボを使うことを基準としてパーツを選んでいる。GIGABYTEは台湾のメーカーで1986年創業。日本には日本ギガバイト株式会社がある。

 GPUのメーカーは大きく分けて2社。謎の半導体メーカーNVIDIAAMDIntel?知らん。ここで「ちょっと待て」と。「さっきお前、GIGABYTE製って書いたやないかい」と。思う人もいるだろう。

 GPUは主要チップをNVIDIAAMDの二社が作っており、そのチップに冷却ファンを付けたり制御を少し変えたりとカスタムを施したオリジナルモデルが売られている。基本的に消費者が買うのはそっち。NVIDIAAMDが作ったものはリファレンスモデル(カード)と呼ばれる。

 オリジナルモデルのメーカーとして主要なのはASUS, ASRock, ZOTAC, MSI, GIGABYTE, 玄人志向*6, Palit microsystems, PNYなど*7。保証の違いや各社、こだわりのデザイン、機能などがあって、正直どのメーカーが一番良いかは論じがたい。GIGABYTEを選んだのはこれまで使って来たからと、デザイン・機能性から。チップの種類(RTX40xxなど)で絶対的な性能は決まっているので、後は好きなのを選ぶヨロシ。独断と偏見で言えばASUS, ASRock, GIGABYTE, MSIあたりが性能もデザインも手堅いんじゃないでしょうか。

 なお、この記事を書いている時点では画像生成AIを使うのであればNVIDIA製チップ(RTX????)一択。もう1つ余談を入れると、NVIDIA製とAMD製では同じ映像を映している筈なのに若干、色味が違ったりする。具体的に言えばAMDの方が彩度が高くなる傾向にある(と言われている)。

MB(マザーボード)

 マザーボードのメーカーは主に

がある。赤文字で示したメーカーが自作PC界隈では多い。NZXTはケースにNZXT製を選んだ上で統一感を出したい場合に選べばいいが、そうでない場合は高いかも知れない。特に白いマザーボード。BIOSTARとSupermicroは業務用という感じ。逆にとにかく安く済ませたいなら選択肢には入る。

 マザーボードと言うだけあって、パソコンの機能の基礎となるパーツでもあるのであまりケチるのは良くない。メーカーで選ぶだけでは不十分で気にするべき要素も多く、主に

 あたりは最低限見ておきたい。

 フォームファクタ(ATX, MicroATXなど)はマザーボードの基盤のサイズ。ケースの大きさに合わせて選ばなければケースに物理的に入らない事態に陥るので要注意。

 VRMフェーズ数はCPUに電力を供給するための回路の数。フェーズ数が少ないマザーボードで高性能なCPUを使うと、狭い回路で多くの電力を供給する事になるので発熱が大きくなる。最近のCPUはコア数が多いので注意が必要。

 CPUソケット型式はそもそも合っていないとCPUが取り付けられない。

 チップセットは「Z790」や「B760」などといった型式で表される。種類によって出来ること、出来ないことの最低ラインが決まっているので、自分がほしいスペックに合わせて選ぶ必要がある。

 メモリスロットの数と対応メモリタイプもほぼマザーボード依存なので外せない。メモリを増設しようにもそもそも2スロットしか無かったら増設出来ないし。対応メモリがDDR5*8であればDDR4のメモリは物理的に挿すことが出来ない。

 今回はド安定かつ見た目と機能でASUS ROG STRIX B760 GAMING Wi-Fiに決定。VRMフェーズ数が16+1と多く、将来的な拡張性が高い。M.2 SSDのスロットが3箇所ありヒートシンクが附属、I/Oパネルも一体型で組み立てが楽。

 ASUS*9は1989創業の台湾メーカー。日本にはASUS JAPAN株式会社がある。また、同社が展開するブランドにはTUFブランドとROGブランドがあり前者はタフさ、耐久性を売りにしている。ROGはゲーミングを全面に押し出したブランド。なお社名の読みが二転三転した時期があり、「アスース」、「エイサス」、「アサス」などの読み方が混在していたが、現在は「エイスース」が一般的。

RAM(メモリ)

 かなりの数のメーカーがあるが個人的に使うことが多いのはKingston*10アメリカに本社を置くメモリモジュールメーカーで1987年創業、正式名称は「キングストンテクノロジー」。メモリモジュールのシェアは堂々の世界一。まさしくキング。なおKingstonは「王の町」を意味する。

 その他、メモリメーカーではCrucial*11, Corsair*12, G.Skill, ADATAあたりがメジャー。ぶっちゃけどのメーカーを選んでも一緒な感じはする。強いていえばヒートシンク(放熱用の鉄板)が付いている方が良いくらい。光るタイプもある。Crucialのはヒートシンクが無いものが多い。

 また、メモリはマザーボードが対応しているメモリを選ぶのはもちろんのことCPUの仕様も見ておく必要がある。たとえば今回選択したIntel core i5-13500の仕様を見てみると、「メモリーの仕様」の欄に「Up to DDR5 4800 MT/s」とある。これはCPU対応のメモリー周波数が「DDR5であればDDR5-4800まで」という意味なので、それ以上の性能のメモリを使用してもあまり意味が無い。全く意味が無いことも無いかもしれないが、動作安定性を考えるのであれば合わせた方が良いだろう。

www.intel.co.jp

 今回選んだのはKingstonの光らないやつ。Amazonでは「6000MT/秒」と表記されているが、これはXMPと呼ばれる環境でしか出せない速度で通常は4800MT/秒。なのでこれで良い。Amazonよ・・・スペック表記までガバガバなのか・・・。

PSU(パワーサプライユニット、電源)

 電源ユニットも様々なメーカーがあるが、個人的にメジャーだと思うのは

あたり。そのほかMSIも出しているし、ケースのメーカーであるFractal Design*13製もある。独断と偏見で言えばメーカーは上の5つから好きなのを選べば良いと思う。あと重要なのは電源容量とATXのバージョン、80PLUS認証。

 電源容量(650Wや850Wなど)はパソコン全体への供給できる最大電力。言わずもがなだが常に600, 800W消費するわけではない。たとえば使用するパーツ全体の消費電力が400Wである場合、電源容量はその倍の800Wを確保するのが定石。電源ユニットが交流を直流に変換する効率は電源容量の50%付近が最大になるので。また、多めに電源容量を確保しておけば、後からパーツのアップグレードがしやすい。

 ATXのバージョンは最新のGPUを使用する場合にはATX3.0が望ましい。理由は最新GPUの補助電源コネクタに対応しているから。最新GPUを使わない場合はあまり気にする必要はない。ただ最低限、使用するグラボの補助電源コネクタは確認すべき。

 80PLUS認証は交流を直流に変換する際の効率に関するもの。上からTITANIUM, PLATINUM, GOLD, SILVER, BRONZE, STANDARDのグレードがある。最低でもGOLDは欲しいところ。

 今回はASUSのTUFシリーズからATX3.0対応の850W, 80PLUS GOLDの電源を選択。TUFシリーズだけあって10年保証がついている。

SSD(ソリッドステートドライブ)

 ストレージはM.2 SSDを2枚とデータ用HDDを1つとする予定。HDDは未定なのでとりあえずSSDだけ。

 数あるメーカーの中でもSSDに使用する半導体そのものを作ることが出来るのは

の5社。このうちWesternDigitalとKIOXIAは合併協議を進めている。

jp.reuters.com

 その他のメーカーは上の5社いずれかからチップを購入して作っているだけで、GPUほどの全体設計の差は出ないと思われるので、SSDを買うなら上の5社から選べばほぼ間違いない。性能だけで見ればIntel製がぶっちぎりらしいが高価なのと日本で購入するのがまず難しいので検討する価値は無い。

 今回選んだのはSK hynix社とSOLIDIGM社のもの。はて、ソリディジ・・・ソリダイム?という茶番はほどほどにして、Intelが自社のSSD事業をSK hynixに売却して誕生したのが同社である。SSDを購入する際は留意すべき。

 SK hynixは1983年設立の韓国の半導体メーカーで、韓国内ではサムスンに次ぐ半導体メーカー。もとは現代電子産業として設立され、その後、LG半導体の吸収合併などを経て現在に至る。

 メインストレージ用に選んだのはSK hynix Gold P31  1TB。NVMe PCIe3.0対応。メインストレージは1TBあれば足りるだろうと言うのと、半導体の構造が3D TLCなので。PCIe3.0なのが玉に瑕だが通常使用ではそこまで気にならないだろう。SSDに使用される半導体

SLC,  MLCTLC,  QLC,  PLC

 といった種類があり、ざっくり言うと右に行けば行くほど容量単価が安いが耐久性や性能は下がっていく。逆に左に行けば行くほど耐久性が高く高性能だが、容量あたりの価格は高い。価格、使用年数、性能を考えればバランスが取れているのはTLC, QLCあたり。できればTLC

 サブストレージにはSOLIDIGMのP41 Plus 2TB。こちらはQLCだがIntel SSDの技術継承のおかげか、QLCの中でも耐久性は優れている。画像生成AIのデータ用に使用する予定。PCIe4.0対応なので最大読込/書込速度も速め。

 ストレージで言えばWesternDigitalも鉄板で、HDDはWesternDigital社製を検討中。WesternDigital(ウエスタン・デジタル)は1970年創業。半導体試験装置の製造から始まり、電卓用チップ製造からストレージ製造へと転身。2011年には日立のHDD部門を買収、2015年にはSanDiskを買収して今に至る。

 同社製のHDDは用途別に色分けされており一般用途のBLUE、監視カメラ向けはPURPLEなどがある。REDなどの耐久性に優れるグレードもあるが、24時間稼働を前提としているモデルは通常用途(使い終わったら電源を切る等)には向いていないので、高いモデルを買えば良いという訳でもない。

ケース

 ケースは現在使用しているものを流用する。単純に内部パーツだけで予算が膨らんでしまったことと、それなりにお値段がするので組み直すたびに捨てていては勿体ない。何より金属とガラス製でデカいので捨てるのが面倒くさい。

 メーカーを挙げるにも多すぎるので列挙は避けるが、とにかく安い方が良いという場合は適当にZALMANThermalTakeの安いやつを買っておけば良い。ただし、値段が安いとそもそも作りが安っぽい、鉄板がベコベコ、加工精度も悪いなんてことがある。たとえば今はオシャレケースの代表格みたいなツラをしているNZXTだが、私が購入した時はネジ穴の位置は微妙に合わなかったしサイドパネルが閉まりづらかった。高い製品には高いなりの、安い製品には安いなりの理由がある。新品で無くていいから安くてちゃんとしたケースが欲しいという場合は、ジャンクPCを買って中身だけ入れ替えるというのも手ではある。

 今使っているケースはFractalDesign  DefineR6。同社は2007年にスウェーデンで誕生したメーカーで、北欧らしいオシャレさが人気を集めている。ケースはデザインだけでなくツールレスで取り外し可能なダストフィルタやパネル、作りの良さなど機能面でも優れており、個人的には今、ケースを買うならFractalDesign一択まである。フラクタルおじさん・・・

 ちなみにデカい。ものすっごくデカい。それに重い(12kgオーバー)。一般人の感覚で言えば邪魔の一言に尽きる。サイドパネルがガラスのバリエーションあり。詳しいレビューはエルミタージュ秋葉原さんのサイトを見れば分かる。ケースのレビューを見るだけでも楽しいし、どこにどんな工夫がされているのか分かりやすい。

www.gdm.or.jp

*1:あるいは高い

*2:中央演算処理装置

*3:CPUを冷やすための部品

*4:サイズ

*5:ノクチュア

*6:くろうとしこう

*7:順不同

*8:規格の種類

*9:エイスース

*10:キングストン

*11:クルーシャル

*12:コルセア

*13:フラクタルデザイン