ヤマネコ目線

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防衛省には改めて失望した

 3/30のyahoo!ニュースにこんな記事が載っていた。

news.yahoo.co.jp

我が国は何年遅れているのか

 正直、本当に防衛省に失望している。今さら一体何を言っているのか。今や世界では米国のみならず中国、トルコその他各国が軍用ドローン開発で鎬を削っている。それもつい最近とかそういう話では全くない。中国の無人偵察ドローンが最初にお披露目されたのが2004年の航空ショーである。ウクライナ戦争で活躍が報じられているトルコのドローンは初飛行が2014年。一体これまで防衛省は何を見て何をしていたのか。もはやタイにも遅れている。国産兵器は高額になりがちなのと、米国から兵器を輸入した方が安くつくし手っ取り早いのは事実かも知れない。しかしそこで自国独自の兵器開発を怠って来たのならば、新しい兵器による新しい戦略の開拓を怠って来たのなら、防衛の本質を理解していない。我々は我々の防衛戦略に最適化されたドローンを持つ必要があり、何もかもアメリカ依存で良い訳ではない。他国の戦争を見て初めて理解するのではなく、事前に予測できる段階でなければ不十分だ。

 米軍の偵察ドローンRQ-1プレデターは1995年には実戦投入されているため、それを見るに日本は約30年遅れているといえる。アメリカからの兵器購入によって所有している兵器自体はそこまで遅れてはいないが、問題はそこではない。ただ単に活用しようという発想が無いからここまで遅れている。おおかたドローンの開発そのものすらしていないのだろう。戦場の変化について行けていないどころの話ではない。

日本こそ無人機を開発すべき国

 安全保障を取り巻く状況を考えれば、日本こそ軍用ドローンを開発すべき立場にある。少子化が止まらず自衛隊の戦力が確実に減っていく中で、撃破されても人的損害のない無人兵器は日本の戦力を強化あるいは維持する上では必須だろう。専守防衛に反するなどと訳の分からん事を抜かす愚か者がいるらしいが、軍用ドローンは攻撃的な用途しか無いわけでは全くない。むしろもともと偵察に重きを置いて登場した兵器(RQ-1のRはReconのR)であり、防衛に徹するとしても活用は大いに出来る。

 第二次世界大戦で得られた教訓は「戦争はいけない事」などというものでは断じてない。そんな事は当然のことであって、我々が第二次世界大戦から学ぶべきことは「小国は数的不利をどう足掻いても覆せない(覆す唯一の方法は核兵器)」、「時代に即した兵器開発を怠ればより悲惨な戦場が待っている」の2点である。いかに優れた技術をもってしてもナチス・ドイツソ連と連合軍に敗れた。大陸で戦争するにも関わらず、戦車同士の戦闘を見越した戦車開発を怠った日本軍の戦車は簡単に蹴散らされた。

 専守防衛に徹するにつけても、そういった戦争における基本法則は変わらない。数的不利を無人兵器で少しでも補い、変わりゆく戦場に即した軍事技術の水準を維持することが必要だ。安全保障環境に適応できなければ人間同士の生存競争に生き残ることは難しい。アメリカを頼りにするのも結構だが、日本そのものが自国民の生命・財産を守ることに本気にならなければ先は暗い。経済政策からしてそのあたり、日本政府は怪しいものだが。

このままでは自衛隊無人機に一方的に殺される

 将来の戦場、もし日本が攻撃された時、敵国は間違いなく軍用ドローンを活用して来るだろう。それは航空機にかぎらず車両、船舶、潜水艦といったあらゆる形で攻めて来る。そこで自衛隊が従来の有人機、歩兵を中心とした戦力であり続けていたならば、「いくら破壊しても人的損害のないロボット軍団に生身の自衛隊員が立ち向かう」という悪夢のような構図が生まれてしまう。これは極端な話のように聞こえるが、AIや無人兵器の発達が著しい中で「ロボット兵器反対」だのなんだのと、綺麗事を抜かして手をこまねいていれば現実になる。日本としては果たしてそれで良いのだろうか。

 今や日本は科学技術でもそこまで世界に対して進んだ国という訳でもない。軍用ドローンに関してはむしろ遅れている。そんな国が一人踏ん張って「ロボット技術の軍事転用なんて許せない!」と、良い子ぶって踏ん張ったところで何が変わるというのか。ただ世界に取り残されて行くだけだ。ならば取り残されまいと、遅れを取り戻そうと必死になって今からでも軍用ドローンの開発を進めるべきだ。

無人機と誤爆の問題

 米軍による誤爆の問題はたびたび軍用ドローン反対派によって持ち出される話題だが、米軍の誤爆は多くが威力過大なミサイル攻撃による巻き添え被害および米軍の確認不足・誤認が原因であり、誤爆というよりは故意の虐殺とでも言うべきである。この点はロシアに非難されても仕方ない。

 逆に言えばウクライナ戦争のような正規軍同士の衝突であれば、現地人に紛れたタリバン等と違って明らかに害意を持った軍隊が標的であり、そこで敵と非戦闘員を誤認する可能性は十分低い。巻き添え被害については、他国の正規軍が侵攻して来ている場所で安全を保障せよと言う方が無理がある。どのみち米軍のドローンによる誤爆のような事態は専守防衛においては起こりづらいだろう。

レールガン開発という愚行

 防衛省は2022年1月、2022年度予算にレールガン開発に関する予算65億円を計上し、今後7年かけて研究をするとしている。

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 しかしレールガンはアメリカですら匙を投げているような代物であり、それこそ兵器としても専守防衛において有用性がそこまでない。なぜそのようなロマン兵器にかける予算はあって、軍用ドローン開発は怠っているのか。65億円と言えばそれなりのドローン開発は十二分に出来る額だ。砲台として使用するにしてもなぜレールガンなのか理解に苦しむ。今後、日本に必要なのは敵国のドローン対策あるいは弾道ミサイル対策であって電力を大量消費する無誘導兵器では無い。レーザー兵器や対ドローン電波妨害兵器の開発を優先すべきである。

防衛省は開発する兵器を見直すべき

 正直、防衛省が今の日本に即した防衛を目指しているとは思えない。国産兵器に関しては迷走しているようにさえ思う。まず現代の戦争に何が必要か、必要になる見通しか分かっている人間が実権を握り、開発する兵器からして見直すべき。政治全般について言えるが、日本は年寄りが古い感覚のままで実権を握り過ぎている。経済でも軍事でも現実に追いつけていない。どちらでも戦わずして敗戦に向かいつつある。これを打破するには行政からして若返りを図るしかない。それが出来ないなら(おそらく出来ないだろうが)もう終わり。