ヤマネコ目線

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結婚しない若者がなぜ多いのか

 分かってない人向けの書き殴り。

広がる格差、貧困

 社会人になってもう5年経つが、給与はあまり上がっていない。というか学生時代に思い描いていたような額ではまったく無い。ところがそんな私でも、Twitterの知り合いと話をしたり、県内の年代別平均年収を調べたりするとまだマシあるいは平均的であることが分かる。世の中の年収分布を見ても、そんなに珍しい部類でもない。

 つまり、貧しい部類だと思っている自分自身が実は今の世の中の平均、多数派であることが分かる。年上の人からまだマシとさえ言われる。その時点でそりゃ結婚する人は減るわなと思うわけで、世の女性陣が求める年収に届くのは一体、何歳くらいの人なんだろうと思わざるを得ない。

 貧しいと自覚している人間が、果たして誰かと結婚したい、結婚できると思うだろうか。中には愛さえあれば関係ない尊い方々もいるかも知れないが、基本的に結婚相手に財力を求めるのが女性というものであるし、男としてもそれは理解している。ともすればもう、自分に財力がない、年収が低いと自覚するだけで、結婚を諦める層は確実にいる。そもそも相手一人幸せに出来ない、幸せに出来る自信がない。子供なんてもってのほか、だったら結婚する意味ってなんだろう。もちろん子供を産み育てるだけが結婚の意義ではないのだが。

 子供を作るとすれば、そこには当然かなりの費用が発生する。今の若者の大多数は、その金額を捻出できる自信がない。というよりも出来ないと冷静に自己分析し、自覚している。日々を生きるので精一杯、年金は払っているけど2,000万円以上の払い損、そこで子供を作れば思わぬ負債になりかねない、そういった意識が今の少子化を招いている。子供はきちんと育ててこその子供であって、日本人であればその辺の良識はあるものだ。そこできちんと育てられない、しかるべき教育を受けさせてやれない、幸せな環境で育てるだけの原資がないのに子供を作るのはもはやそれ自体が虐待である。

 結婚した方が生活が楽になるという人もいるが、生活を楽にするために結婚しよう、と言うような相手と一体誰が結婚などしたいのだろう。もはや結婚して子供を作る、家庭を持つなんてのはそこそこお金持ちがするべき道楽であり、分不相応に手を出して貧しくなるかいっそ持たずに人生設計をするかの選択を迫られている。何も考え無しに腰を振れるサルは人間にカウントしないのでここでは論じない。

転職への不安

 給与低いっていうなら転職しろよ、と言われるかも知れないしそれはもっともなのだが、当然ながら転職したからと言って今より給与や環境が良くなるとは限らない。業種、職種にもよるしスキルにもよるので一概には言えないし、今はまだコロナ禍でどこも人減らしをしている。ともすれば転職しようとすること自体が大きなリスクになる。レールを外れた者、弱者に厳しい日本社会では、そのような方向へ落ちるリスクを回避したいと思うのは普通だ。将来への漠然とした不安に駆られる若年層ならなおさら。

 賃金水準だけで言えば、もはや海外へ日本人が出稼ぎに行く時代に入っている。先進国の中でもダントツで給与水準が低いデータがそれを物語っている。思えば私が高校生の頃だったか、Googleが「優秀な人材には新卒で年収1,000万円」と言い出したのは。特に羽振りがいいIT業界の話とはいえ、もうかなり前から日本は国として差をつけられている。日本が勝手に転げ落ちていったという方が正しいか。

コスパ重視の価値観

 生まれてこの方、この国が悪くなる一方、不景気へ傾く一方の社会で育った人間は「コスパ」重視の価値観へ傾いている。何をしようにもお金が足りない、足り苦しい、いかにして節約するか。子供の頃から植え付けられた「いかに安く良いモノを買うか」といった価値観は、結婚というコスパ最悪のライフイベントにも当然向けられるのだ。

 買い物を人間に置き換えるなら、いかに少ない原資(=自分自身)でどれだけ良い相手を見つけられるか、だろうか。誰も彼も自分にとって都合の良い相手を求めている。女性は特に選ぶ立場だ。身長は170ないと男じゃない、年収は少なくても500万以上がいい、それでいてイケメンがいい、性格も良くないと嫌。一体どれだけの人間が結婚できるのだろうか。あるいはしたいと思うのだろうか。

格差の是正なくして改善なし

 これまで「若者の~離れ」と言われる度に、若者の間では「お金の若者離れ」が指摘されて来た。どこまでも安いものを求める我々消費者のせいもあってモノが高く売れない、値段設定を高くするとそもそも売れないので企業は安く作ることにこだわる、必然的に給与が下がるといった悪循環から、いい加減に抜け出さなければならない。そうしなければ、結婚に限らずあらゆる面で若年層が貧しいがゆえの悪影響が広がるだろう。というかもう、広がっている。世の中がどうあれ価値観がどうあれ、お金が全てでは無いにせよ、お金さえあれば何とかなることだってある。

まともな人間=結婚しているはもう古い

 余談。世の中を見ればこの価値観はもう古いことが確実に分かる。というよりも冷静に自分の近くの人なり何なりを分析して見れば、「まともな人間なら結婚していないとおかしい」という認識は明らかな間違いだと気づくだろう。むしろなぜこんな価値観が根付いているのか不思議ですらある。

 私の職場の関係者にもその反証がいるが、実に人間的に出来が悪い。そんなヤツでも結婚して子供がいると考えると嫌になるが、結局そういう所は出会いがあるかどうか。ある種の運要素が強いのだろう。時代の流れもあるし、そういうことが当たり前に出来る時代に良い人と巡り会えただけなのに、それを自分の実力のように思われてはたまったものではない。