ヤマネコ目線

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オリンピックの悪影響

書きなぐり。

 Twitterを見ていると様々な意見があるが、自粛ムードの崩壊、コロナ感染拡大について東京五輪の影響を否定する人間も目につく。そういった人間の言い分は大抵

「自制(自粛)できない人間が悪いのであって五輪は悪くない」

である。しかしその意見は全くもって間違っていると私は思う。

 コロナウイルスは2019年の暮れから騒がれ始め、2020年の3月には緊急事態宣言が発令、感染対策で自粛が呼びかけられて来た。もう1年以上自粛、感染対策が続いている。その中で人間には我慢の限界というものが来る。それはごく自然なことだし、中には今まで自制できていた人もいるだろう。

 その中で延期されたとは言え、東京オリンピックは開催された。人々に我慢を呼びかける一方でバブル方式などという杜撰な感染対策のもと(シャボン玉か何か?)、無観客とはいえある種のお祭りが始まった。

 そうなった時、人々の心理はどうなるだろうか。オリンピック選手や関係者は2週間の待機期間免除、飲食店には休業と酒類の提供禁止を呼びかけておきながら、選手は深夜まで酒を飲んでバカ騒ぎ。テレビには開会式に国立競技場の外で集まって騒いでいる連中が映り、毎日行うと言っていたPCR検査はキットの数が足りなくなったなどと抜かす。これまで求められてきた自粛とは何だったのかと思えるような五輪のための例外的な措置、激アマな水際対策。本来であれば自粛できていた人間でも、自粛するのがバカらしくなって当然ではないだろうか。

 これまで踏みとどまれていた人間が踏みとどまれなくなった原因が東京五輪(およびそれに関連するゴタゴタ)に無いとは言わせないぞ。

 「自制できない奴は最初から自制できない」というのはまあ一理あるとは思っている。しかしながらそんな奴は最初から問題ではない。「本当は踏みとどまれていたような層が踏みとどまれなくなる」のが悪影響だと言っているのだ。それが悪影響でなくて何だろうか。そもそもどうしてそこまで東京五輪が自粛に与えた悪影響を認めたくないのか。それが私は理解しかねる。これだけ我慢に我慢を重ねて開催したのだから、選手達が活躍できたから開催して良かった!オリンピックを悪者にするな!と言いたいのだろうか。

 

 加えて日本人はお祭りが好きだ。全員が全員好きでないにせよ、お祭りとなるとどこか特別な雰囲気があるのは否定できまい。普段から抑圧されている人間が大々的なイベントで開放される。そういった開放は自粛とは真逆のものであり、そういった雰囲気によって自粛ムードおよび自粛そのものが崩壊するのが問題だから、地域のお祭りなんかが中止されて来たはずだ。

 そういった事実に反して、オリンピックというある種のお祭りは開催された。どうあってもそういうお祭りになると開放される(されたがる)人間が出てくるのを無視し、これまでの自粛と矛盾して利益団体のため政治利用のために開催された。それによる自粛ムード、自粛そのものの崩壊は明らかに起こっていると私は考える。

 実際、7月23日の開会式を前に東京都の新規感染者数は増え始め、直後は少し減ったが同27日には急増している。

チンパンジーを放置する危険性

 「自粛できないチンパンジーが悪い」、そういう意見があるのも分かる。ある種の自己責任論でそう言いたいのはこれまで真面目に自粛して来た人間ほどそうかも知れない。

 しかし考えてみて欲しい。自己責任論で済ませて良いのかと。たとえばそのチンパンに「自己責任論だから」と好き放題させておいて感染が拡大したらどうなるだろうか。病床がチンパンで埋まってしまったら?ワクチンが全く効かない変異株が出て来てしまったら?困るのはチンパンだけで済むだろうか。いざという時、真面目に自粛して来た我々人間も困ることになるのではないだろうか。

 まずもって「自粛できない人間が悪い、困るのは本人だけ」だけで済む話なら、ローカルなお祭りも修学旅行も運動会も自粛する必要はまったく無い。

 自己責任論は被害がその個人(or小規模)で収まるから自己責任論で済むのであって、その被害が社会全体に波及するような場合は自己責任論で済ませてはいけない。

 我々人間も困る以上、チンパンを野放しにしてはいけないのである。どうしても自制が出来ない人間が世の中にいる、どんな人間もいるということを念頭に置いて感染対策を行うのは当然のことであって、「言うことを聞かない人間もいる」で済ませていい話ではない。それを込みで政治家は立法、感染対策を勧めるべきだし、国民もチンパンをただ切り捨てるだけではなく、どうにかして協力させるよう導く努力をすべきだ。

テレビの影響

 テレビの悪影響は別に否定しない。しかし開会式に会場外に集まって騒ぐ連中の姿が全国で流れた影響はどうか。報道するなとは言えないが、それでもああいう姿を見て「俺も騒ぎてええ」となった人間はいると思う。それはあくまでオリンピックの悪影響に含まれるだろう。

 グルメ番組、旅番組については完全にテレビが悪い。あいも変わらずというかコロナ騒動が始まってからもずっと、テレビは変わっていない。マスクをしなくて良かった頃の映像を再放送してまでグルメ番組旅番組を流している。しかしそれは今に始まったことではない。

政治利用

 東京五輪は結局、開催して良かったのだろうか。確かに選手の活躍は嬉しいが、本当にこれで良かったのだろうか。良かったと思う人間が出てくるから政府は開催を強行したんだろうなとTwitterを見ながら思う。大衆は愚かなもので、オリンピックが始まってメディアがオリンピック一辺倒、テレビで連日選手が活躍する映像が流れると「やっぱり開催して良かった」となるのだろう。オリンピック以外のニュースは少なくなるので政権への不満も薄れる効果がある。

 そんなバカな、そんな単純じゃないと思いたいが、選挙カーだって憎まれながらも心理的効果が実際にあるから運用されている訳で、それと同じでオリンピック開催は大衆心理に効果があるから何としてでも開催したかったのだろう。これで政権支持率V字回復だ!やったね!

 

 話は違うが、もし自分がオリンピックの選手だったらどう思うか考えると少しゾッとする。これだけ感染拡大、変異株の脅威が叫ばれる中、自分たちの晴れの舞台のために開催される大会。崩れる自粛ムード。華々しいお祭りの陰で都の病床は埋まり、本当は助かったかも知れない命が消えていく。自宅療養などという言葉でごまかされた医療崩壊の中で金メダルを獲ったとしても、選手たちは本当にそれを素直に喜べるのだろうか。金メダルに届かなかったらどう思うのだろうか。

 未来の歴史番組で今大会がどのようなナレーションと共に紹介されるのかを考えながら、記事を書き終える。