ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

「台湾の方が日本よりも震災対応が早い」は本当か他

 台湾で発生した地震に関連して、現地の避難所と思しき写真がXで話題になっていた。曰く「日本で発生した能登半島地震では床でごろ寝だったのに、台湾の避難所ではもうテント的なものが使われている」と。

隣の芝生は青く見える

 こうした意見に対して台湾の実情を知る人々からの反応は異なるものであった。

 実際、NHKの報道の画面キャプチャ左下を切り取ると以下のようなロゴが見える。

 加えて宗教団体の名前でggって出てくるのが以下の検索結果。

 以上から避難所のテント、確かにこの仏教団体が提供したと思われる。本部があれば支援も厚いのは納得。政府行政の力というよりは運良くNGOの本拠地が近い避難所だったから支援が早かっただけであり、これをもってして日本の災害対策がことさら遅れていると主張するのは無理がある。

 日本政府の対応が遅かったと言いたい気持ちは分からなくも無いが、他所と比較して批判するのであればその論拠がしっかりしていなければならない。

裏金議員の処分が甘い

 まったく話が変わるが裏金問題でニ階・安倍派への処分が固まりつつある。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「絶対に許さない」「判断がひどい」党内で岸田首相へ怒り渦巻く 首相に責任求める声やまず 裏金処分決定から一夜)

 詳細はNHKの記事が詳しい。

www3.nhk.or.jp

 安倍派の衆参それぞれのトップだった塩谷立氏、世耕弘成氏が離党勧告。下村博文西村康稔が1年間の党員資格停止。高木毅が半年の党員資格停止など。これだけ見ても正直、甘いと思わざるを得ない。国民が求めているような処分では無い。

 派閥において上に行くほど責任が重いとして厳罰に処することも分からなくは無いのだが、特にこの軒並み最低でも1,000万円は超えるような裏金づくりをしていた連中が1年だの半年だのの党役職停止程度で済まされるのは一体、どういうつもりなのか。特に萩生田光一松野博一の処遇に関しては国民を舐めているとしか思えない。

 「党役職停止」という処分は問題の安倍派議員が既に党の役職を退いているため実質ノーダメージ。役職が停止されるだけなので選挙に出ることは可能。

 これ以下の処分=戒告で済まされている議員も裏金が500万、800万を超える連中がごろごろいる。和田義明、大塚拓にいたってはほぼ1,000万円。

 昨日、テレビを見ているとこれらの処分に関わった自民党議員が「我々だって仲間を処分するのは辛い。厳しすぎるのではという声もあった」、などと言っていた。彼らの中ではこれでも厳し過ぎるくらいなようだ。

 そもそもこれらの処分は自民党が勝手に決めているに過ない。それも身内割引ありで、これから基準を作って糺して行こうという気も感じられない。

news.yahoo.co.jp

(記事題:【独自】「離党勧告」処分の塩谷立文科相が「再審査」請求へ 自民党の処分に不服 午後記者会見へ)

 塩谷氏はそれでも不服なようで党に「再審査」を要求するらしい。往生際が悪いが、裏金自体は 234万円 なので明らかにそれより多い連中が軽い処分で済まされる中、一番重い処分を下されることに納得がいかないのだろう。

 全員まとめて政界を引退してくれればそれで良いんだけどな

 裏金にかかる納税はしない。追徴も払わない。連座制の導入もしない。ニ階も岸田も処分を免れる。政策活動費はハナから明らかにする気も無い。本当に厳しい処分とはどんなものか、我々国民が次の選挙でしっかり教えてやる必要がある。

 なお、昨日成立したNTT法改正によって研究内容の開示、外国人役員の規制緩和が決定した訳だが、これに関する議論を推し進めたのが萩生田光一である。

 通信は安全保障に直結する。今や兵士1人でも無線機無しには戦えない。それをこれから防衛力を強化していこうと言う時に競争力強化の大義の下、明らかに逆行するような方向へ推し進めた連中が私は許せない。そいつらが同じ口で経済安保だの防衛増税だのと言い出すのは我慢ならない。

写真:春の息吹2024

 今回は春の植物を適当に撮っただけの記事。なお無断転載・使用等は遠慮願います。そもそもはてなブログに貼れる画像サイズ小さい・・・小さくない?

 当初、このブログはフォトブログにするつもりだったのだが、どちらかと言えば文章を書くのが好きなこともあってついつい政治的な愚痴が増えてしまった。春の植物の写真を撮ったので、たまには原点に立ち返ってみる。

 オオイヌノフグリ。至るところで青く可愛らしい花を咲かせている。「イヌノフグリ」という別の植物と似ている上に少し大きいのでオオイヌノフグリ

 決して「デカい犬の金◯」では無い。イヌノフグリは果実の形状が犬の◯玉に似ているからそう名付けられたとか。あんまりだ。Wikipediaイヌノフグリの果実の形状が載っているが今の感性で見ると青りんごに見える。

 縁石とガードレール基礎のコンクリートの間から顔を出しているツクシとスギナ。種類で言えばスギナがメインであり、ツクシはスギナから出る胞子茎を指す。同一種が全く異なる外観で生えてくるのは面白い。春の風物詩だがかなりしつこい雑草でもあり厄介者。

 上の写真のほぼ等倍クロップ。ツクシの先端は開き切っていて胞子を放出した後。

 別の場所のツクシ。望遠でF値を8まで絞っていたので少々背景がうるさいが勘弁して欲しい。本当はもっととろけるような背景ボケが理想。

 ほぼ等倍クロップ。いい感じの開き具合。カメラを使うと目で見るよりも観察しやすい場合がある。使用したのはSONY  α7IV+FE100-400 F4.5-5.6 GM

 また別の場所のツクシ。ヒメオドリコソウオオイヌノフグリも同時に入れた欲張りショット。

 ヒメオドリコソウ。至るところで見かけるが実は明示時代に定着した外来種で、ヨーロッパ原産。

 別角度から。ツクシ、ヒメオドリコソウオオイヌノフグリが生えて来ると春が来た、という感じがする。

 ヒメオドリコソウ、ツクシと一部にヤハズエンドウ ( カラスノエンドウ ) の葉が映り込んでいる。カラスノエンドウは古代では食用として栽培されていた形跡があるらしい。

 ほぼ等倍クロップ。似た花にホトケノザがあるがあちらの方が花弁?は長い。

 桜。有名なソメイヨシノとは別種だが正直、種類が多すぎて何という種類か分からない。

 花弁の形状はオーソドックスな感じ。樹形は箒型?の低木。

 ロウバイ。漢字で書くと蝋梅。由来は花びらが蝋細工のようだから、あるいは臘月(陰暦の12月)に梅の香りの花を咲かせるからだとか。分類学的には梅がバラ目なのに対し、こちらはクスノキ目。

 確かに蝋細工のようで少し透明感ある花が雅。

 アブラナ。「菜の花」はアブラナ科の花の総称でセイヨウアブラナを含む。正直、見分けがつかない。セイヨウアブラナだったりして。

 画面左側でとまっていた蝶。おそらくキタテハ(黄立羽)。人間ウケする柄ではないものの、分類上は蛾ではない。蛾はチョウのうち特定の種を除いた残りの呼び方。

 少し調べたが、アブラナかセイヨウアブラナかの見分け方がイマイチ分からない。アブラナはどちらかと言えば野菜として育てられ、セイヨウアブラナは油の採取目的で栽培されているらしい。

 花にとまっていたハチ。先ほどの桜もそうだが近寄るとミツバチ?の羽の音がブンブン聴こえる。

 フキノトウ。フキの花の蕾で古くから山菜として親しまれて来た。漢字で書くと「蕗の薹」で薹は花茎を意味する。

 ほぼ等倍クロップ。食べごろは少し過ぎているか。なお、蕗は水溶性の毒を含んでいるため生食はあまりするべきではない。この毒は熱処理しても無毒化されづらいため、熱処理のみで食べるなら少量にすべき。

ふき・ふきのとうはあく抜きして食べましょう:農林水産省(PDF)

 おそらくアカヤシオツツジの一種。

 ムスカリ。これも咲いていると春だなという感じがする。遠目で見るとぶどうの房のようで可愛らしい。人類最古の埋葬花とされ、花言葉は海外ではネガティブなものが多い。

 ほぼ等倍クロップ。つぼみの段階では丸くてぶどうの実のようだが、花弁が開いて来るとドロワーズのような感じ。

-----ここから神戸市の王子動物園で撮った写真-----

 桜。おそらくソメイヨシノ。もうほぼ咲いている。週末あまり天気が良くなさそうなのが残念。

 別の場所から。桜と言えばソメイヨシノという感じがするが、いざ花びらを観察するとピンクというより白が多い。遠目に見れば中央部の濃い色もあいまってピンクには見える。

 その辺の植え込み。日に照らされた新緑が美しい。葉っぱ1つにしてもやたらと光沢があるもの、そうでないものがある。私は光沢ある葉の方が好きだ。風に揺られて陽光をキラキラ反射させている光景が良い。

 咲きかけのマーガレット?フランスギクは暑さに弱く日本ではほとんど栽培されていないらしい。

 おそらく西洋サクラソウプリムラ・マラコイデス。マゼンタの花弁と黄色の中心部という1株で2度映えるやつ。

 パンジー。これも園芸種として広く親しまれている。生まれからして園芸家が映え目的(悪い言い方)で野生種を交雑させた結果生まれた品種。様々な色があって良い。パンジーも地味に毒がある。

 品種が分からない。

 おそらくキンギョソウ。金魚のような花をつける事からそう呼ばれるらしい。英語では Snapdragon とも。驚くことに食用品種もある(花びらを食べる)。

 ワスレナグサ?明示時代にヨーロッパから伝わった園芸種。オオイヌノフグリとはまた異なる良さがある。

 少し離れた位置から様々な色の花を入れて。これだけ見ると凄く多くの花が咲いているように見えるかも知れないが、望遠で撮っているから誤魔化せているだけなのは注意して欲しい。

 しかし今どきの子供はなかなか・・・春休みの宿題なのか知らないが、動物園でタブレットで写真を撮ってそれを見ながら水彩絵具で動物の絵を描いている。

 天気が良ければ神戸布引ハーブ園も行きたいのだが。え?もちろん1人でですよ?1人で。主に神戸に行くのはマヌルネコに会いに行くことが目的なのであまり機会は無いのだけども。

 王子動物園の最推し、マヌルネコのイーリスくん。春なので換毛が始まっており、一番寒い時期に比べれば少しほっそりして来ている。にも関わらずこのモフみ。

 飛びつきたくなるような太くてふわふわそうな尻尾。体躯のわりに太く力強い足、後ろ足の裏に入ったオレンジの差し色がおしゃれ。イラストではグレーで描かれることが多いが体毛は白、黒、褐色、アイボリーあたりが複雑にグラデーションを描き、視覚的に岩と一体化している時がある。何より顔が良い。可愛さとカッコ良さが同棲している。

 大きさ的にはイエネコより大きい程度だが野生種なので飼えない。もともと病原菌の少ない高地に生息するため病気に弱く、これだけ触りたくなるモフモフさながら飼育員でも直接触ることは無い。

 隣にいるシベリアオオヤマネコを警戒してあまり動いてくれないのが残念だが、タイミングが良ければ活発に動く姿が見られる。ほとんどの場合は展示室奥の岩壁、上の端っこから動いてくれない。もし会いに行くならまず上を探すべき。

 動物を撮影する場合はフラッシュ、AF補助光はOFFに

センスの無い奴ら

 大阪維新の会の集会での吉村知事の発言が注目を集めていた。曰く

「今批判している名前は言いませんけど、モーニングショーの玉川徹。今批判するのはいいけど、入れさせんとこと思って。『入れさせてくれ』『これ見たい』と言っても、もうモーニングショーは禁止。玉川徹禁止」

と。多くの批判を呼んだ結果、知事は発言について釈明している。

news.yahoo.co.jp

 大阪万博には多額の国費が投入されており、内容や費用に関する批判もここでは書き切れないほど多い。全国からの注目を悪い意味で集めており、その中での今回の発言は万博を私物化していると非難されても仕方ないだろう。大阪万博は維新が主催の維新のイベントでも無ければ、吉村知事のホームパーティーでも無い。

 実際に出禁にする権限がなかったとしても、知事の立場にある人間がそういう発言をたとえ冗談でも口にするのは報道に対する不当な圧力と取れる。同時に報道に対して「批判に偏り過ぎている」と非難さえしており、万博に関するネガティブな報道の原因を潰すのではなく、万博に関するネガティブな報道を潰したいという思考のようだ。

 こういう人間が上に立つとどうなるか。民草が本当に解決して欲しい問題はいつまで経っても解決されず、報道も萎縮して問題が問題だと認識されづらくなるだろう。問題を解決する気などなく、むしろ問題を起こしてそれを知られるのを妨げようとする。

 また、大阪万博は日本国内だけのイベントではない。万博は「万国博覧会」の略であり多くの国が参加する。当然ながらそれ相応の数の海外メディアからも目を向けられている訳で、こうした質の低い冗談が出るだけでも外聞が悪い。問題視されてからもやっていることはあくまで「釈明」であって謝罪は無く、反省の色がまったく見られない点は非常に印象が悪い。

 これに関連してXでは維新の馬場議員が余計な擁護?をしている。

 維新関係者からすれば件の発言は「大阪ジョーク」らしい。私は奈良県民でお笑いセンスは関西だと思っているが、残念ながらこの大阪ジョークは何が面白いのかサッパリ分からない。関東の人からすればなおさらだろう。

 知事の発言はどちらかと言えば身内の間=維新関係者の中だけでウケる「維新ジョーク」であり、組織の外と内を敵と味方に分けて考えており閉鎖的なものだ。維新関係者にはさぞかし大ウケだった事だろうが、それ以外の人間は笑えない。これを「大阪」ジョークと言うとまた反感を買うのが分からないあたり本当にこいつらはセンスが無い。政治もお笑いもセンスゼロ。

 なお、重箱の隅だが It's a Osaka joke ではなく It's an Osaka joke だという激しいツッコミ?も見られた。オーコワ・・・

 至極個人的な見解だが、大阪万博はIR、カジノの用地整備のために維新が仕組んだ話だと思っている。夢洲整備のために国家規模のイベントである万博を誘致してしまえば、大阪府だけでなく国費を投じてカジノのための用地整備が出来る。たった半年間の開催期間が終われば建物はすべて解体してカジノに建て替えれば良い。万博自体にも余計な税金を湯水のごとく使い、懇意にしているシロアリ企業に餌を与えられる。一体何の博覧会なのか。恥か。失政か。

川勝知事の発言

 くすりとも笑えないジョークの次は職業差別的な発言が静岡県の川勝知事から出てきた。曰く

「県庁はシンクタンク。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」

 と。これに対しても怒りが広がっている。

news.yahoo.co.jp

 このような発言をする人間、知性が高いとは思えない。知性と言うか人としてどうかと思う。川勝知事はおそらく何かを激励したり褒める際に、別の何かを批判したり貶めたりするタイプの人間なのだろう。昔はそれでも通用したかも知れないが、多様性、互いを尊重することが重要視される現代ではこのようなモノの言い方は公人として通用しない。

 小売業(野菜を売ったり)、畜産業・農業(牛の世話をしたり)、製造業(モノを作ったり)、いずれも社会において重要な産業であり、それぞれの産業に応じた知識、スキルが必要になる。県庁職員には県庁職員なりの能力があるに違いないが、それ以外の産業で働く人々と比べてどちらが知性に優れるだの、どちらが劣るだのと単純比較できるようなものではない。知性だけで人や物の価値を図ろうというのはあまりに短絡的。

 自らがトップを務める組織で職員を激励するためにそれ以外のあらゆる産業を貶め、物事を極度に単純化して価値の何たるかを理解せず、以前から失言が問題視されているにも関わらず、公人としての立場を弁えずにこのような発言をする。本人は知性ある大人のつもりかも知れないが本質は幼稚なガキだ。

 人間なのでうっかり口が滑ることもあるとは思うが、川勝知事の問題発言は今に始まった事ではない。今年度から失言に関連してサポート役としてのポストが新設されたばかりだった。

www.yomiuri.co.jp 

(記事題:静岡・川勝知事に「サポート役」、言動把握や危機管理担う部長級の新ポスト創設へ)

 2019年には「県議会にはヤクザもいる、ゴロツキもいる。そういうゴロツキと一線を画してバンバンやってほしい」「反対する議員は文化力がない」「反対する人がいたら県議会議員の資格がない」と発言して後に撤回、陳謝。

 2020年には当時の菅総理日本学術会議の任命拒否をした件に関連して菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見したということではないか」「学問をされた人ではない。単位のために大学を出られた」と発言して揉めに揉めた結果、発言の一部を撤回して陳謝。

 同年12月、県としてはコロナウイルスに関連して不要不急の帰省を控えるように求めていた一方で自身は長野県へ帰省。

 2021年、リニア新幹線を巡る有識者会議において静岡県側と異なる主張をする学者を「御用学者」呼ばわりし、会議から外すよう主張。

 同年6月の集会ではかつて静岡県文化芸術大学の学長だった頃の話を持ち出し、「顔のきれいな子は賢いことを言わないときれいに見えない。ところが全部きれいに見える」などと容姿と学力を結びつけるよう発言をして後に発覚、問題化。

 同年9月に新型コロナウイルスに関するワクチンについてアナフィラキシーショックが怖いので打たない旨を公言。県としては県民にワクチン摂取を強く推奨しており、その姿勢の違いから批判を呼んだ。

 同年10月、自民党の支持基盤だった御殿場市について「あちらはコシヒカリしかない」と発言して問題化。御殿場市静岡県東部にあるのだが・・・。

 これ以外にも細々とした問題を多数起こしており、これだけいろいろあっても自身の立場や話の内容を見直せないあたり知性があるのか疑うレベル。誰が言ったか「恥性ならある」。氏は知性を物事の価値の中心に据えたいと思っているようだが、その価値観に従うのであれば県知事を辞職すべきであろう。

余談:人の振り見て我が振り直せ

 Xでは川勝知事の発言に対して、「こんな奴を選び続ける静岡県民が悪い」という論調で静岡県民全体を批判するようなツイートも散見された。

 しかし他人のことを言えるのだろうか。国政に目をやると失政に次ぐ失政にも関わらず、問題発言もあらゆる不祥事も容認して国民は自民党公明党を与党に選び続けている。今日も裏金問題に関する甘すぎる処分についての記事があった。

「全員処分すべき」85人中39人だけ“半数処分見送り”の自民党方針が波紋 不記載額500万円未満の処分見送りに「甘すぎる」の声(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース

(記事題:「全員処分すべき」85人中39人だけ“半数処分見送り”の自民党方針が波紋 不記載額500万円未満の処分見送りに「甘すぎる」の声)

 自民党公明党の政治によって失われて来た30年、40年を考えれば川勝知事の失言癖などむしろ可愛いものにさえ見えて来る。政治に不満を抱きつつもいつまでも政治を変えられず、同じ過ちを繰り返し続ける国民に静岡県民だけを愚かであると笑う権利はない。

 人の振り見て我が振り直せ。国民自ら国政においても、地方の政治においても不届き者には鉄槌を下していく必要がある。

平和のための外交努力

 今年7月に開かれるNATO首脳会議に岸田総理が招かれる予定であると報じられている。一部の自称平和主義者はこれに対して「うわ、またとんでもない事を約束して来やがるぞ」と否定的なようだ。

news.yahoo.co.jp

平和のための外交努力とは何か

 では、平和を維持するための外交努力とは一般的にどのようなものがあるか。整理してみよう。

  • 対話、協議
  • 条約等の締結
  • 国際機関の活用
  • 外交政策
  • 国際的な連携

 一番重要なのは対話、協議つまり話し合いである。対立や紛争に関して互いにチャンネルを開き、継続的に問題解決を図ることが必要。

 条約等の締結は対話・協議の結果の1つと言える。不可侵条約や軍縮条約などがこれに当たる。ただし状況が変われば離脱もあるし、戦争が起きる際は破られることが多い。ヴェルサイユ条約、日ソ不可侵条約、ブダペスト覚書、歴史を振り返ると過信はできない。

 国際機関の活用は国際連合や関連機関を通じて国家間の対話や問題解決を図る手法。国際的な非難によって事態の風向きが変わることはあり得る。現在で言えばイスラエルによるガザ侵攻が国際的に厳しい視線を向けられているか。ただし常任理事国による拒否権の行使によって常任理事国関連の問題は解決しづらい欠点がある。

 外交政策は友好関係の構築や国際的な信頼を得るための政策があたる。紛争解決の支援、地雷除去などの戦後支援、インフラ開発支援などによって相手国の発展に寄与し、それをもって相手国と友好的な関係を築くだけでなく国際機関を活用する際の協力も見込むことが出来る。

 国際的な連携は国連も含めて平和と安全を維持するための活動。PKOはもちろんの事、NATOのような条約機構も含まれる。ASEANも経済だけでなく安全保障共同体の構築を目指す動きがある。

 全体的に見ると平和の維持には予防、交渉、武力衝突への歯止めと大きく分けて3つ程度の手段があることが分かる。これらの内で確実に武力衝突を避ける手段と言えるものはあるだろうか。無いのでは。

 この点、岸田総理がNATO首脳会談に参加することも外交努力の1つと言える。NATO加盟国の争いに巻き込まれるだの何だのと言うのか知らないが日本は加盟国ではないし、目的が中国に対する牽制であることは明らかだ。

「話し合い」が出来ない自称平和主義者

 自称平和主義者は「外交努力」という言葉を好んでつかう。彼らは外交努力を「口先三寸でどうにかすること」だと認識しており、たとえプーチン習近平のような相手でも”うまくやれば”戦争を思いとどまらせることが出来ると考えている。抑止力向上を必要無いと考えているのは、対話で解決できる=それ以外の手法にコストをかけるのは無駄である、という思考なのかも知れない。あるいは単純に軍事忌避教育の賜物か。

 話し合いだけではどうにもならない現実が目に入っている筈なのに、そうした意見を頑として曲げようとせずに彼ら自身が一番話が通じないのは何たる皮肉か。一面的な「正しさ」だけで何事も押し通そうとし、交渉の余地が無い。彼らが「話し合い」と呼ぶものは彼らの正しさを相手に一方的に受け入れさせるための過程というだけであって、本来の意味での「話し合い」では無い。

 また、彼らは戦争に至るまでの過程、判断の重さを軽視している。いくらプーチンやネタニヤフその他の戦争を望む指導者であっても、指導者はひとたび戦争を起こせば自国民、少なくとも自国の兵士に犠牲が出ることは理解している。そこで人命と自分がやりたいことを天秤にかけて、なお戦争を起こすことを取るような人間がどのような話し合いで鉾を納めると言うのか。人命が失われても国家としての利益を追求することを選ぶ以上、それを止めるためには相当な理由が必要となる。「俺なら説得で何とか出来る」だの「酒をくみ交わして話し合えば」だのと言うのは青二才以下の発想である。

 能登半島地震の対応に関して的外れなアドバイスを連発していたように、そういう人間に限って実際にやらせてみるとうまく行かない、逆に丸め込まれる、不利益をもたらして反感を買う。もし本当に口先だけで戦争さえ止められるような有能な人間ならば、横から文句を言うだけの立場に甘んじてはいるまい。

 以前にも書いたが、そもそも「平和」の定義が自称平和主義者とその他大勢とで違う可能性もある。目指す方向が根本的に違うので話し合いが最初から頓挫しやすい

manuller416.hatenablog.com

余談:スイスの安全保障政策

 こうした話題になるとよく出てくる国がスイス。スイスは国際的な紛争から距離を置く=中立国となることで資産を預ける場所として信頼されるようになり、第二次世界大戦でも戦火を逃れて金融国としての地位を築いた。このため資産の保管場所としてあらゆる国から攻撃を受ける可能性を減らしていると言える。

 しかし第二次世界大戦中でも後でも、スイスはのんびり何の備えもしなかった訳ではない。「中立国」という言葉を曲解した連中はスイスをさも非武装の中立国であるかのように扱うが、実際は全く違う。武装中立であり国民皆兵、兵役が終わっても有事の際は招集。家庭用核シェルターがあり国境には対戦車用障害物、トーチカが常設と日本よりもはるかに要塞化が進んでいる。

www.swissinfo.ch

jp.reuters.com

 自称平和主義者たちは「中立」という言葉に憧れるようだが、中立であるということは争いの当事者にならないという事であり、なおかつ誰の味方もしない誰からも味方されないという非常に難しい立場。

 日本がスイスのマネをしようとしても立地の面、政策の面で不可能だろう。アジアにおける金融の中心でもなければ、国としての大きさも位置も全く違う。今からやろうにも時間が足りないしそもそも政治は腐っている。中国からすれば海洋進出のために邪魔なことに変わりは無い。

The True Size Of ...

 地図上で各国の実際の大きさを比較できるサイト「The True Size Of...」で日本列島をヨーロッパに重ねてみるとこうなる。スイスは面積的には九州と同じくらい。大きさだけ取ってもこれだけ違うところ、その他あらゆる要素を無視した上に誤ったスイス観にもとづいて、「スイスを見習え」というのは無理がある。

 ちなみにスイスは武器輸出もして来たし、現スイスアームズ傘下のSIG、そのアメリ現地法人SIG Sauerの拳銃 P320 は最近、米軍に制式採用された。

 

機能性表示食品は信用に足るか

 小林製薬の紅麹を使用した機能性表示食品が大問題になっている。「意図しない成分」が混入し、サプリメントを摂取していた100人以上が腎機能を破壊されて入院、2024年3月28日時点で4人が死亡している。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「紅麹」相談3600件超 病院でも...対応に後手? 2カ月後に会見 2人死亡106人入院)

 小林製薬の対応が後手に回っている上、未だに「意図しない成分」とは何だったのか、紅麹をどの企業に卸していてどのような製品に使用されているかが明確になっておらず不安が広がっている。この点は明らかに小林製薬が非難されるべき点だ。

機能性表示食品とは

 事態の行方は逐次観察しておくとして、機能性表示食品とは何かを整理しておこう。

 機能性表示食品は企業が消費者庁に対して表示したい機能に関する根拠を提出し、企業の責任において健康維持・増進に役立つことを謳う食品を言う。消費者庁に対してはあくまで機能性の根拠を提出するだけで審査はなく、個別に国から許可が与えられたものでは無い。

 この点で国が審査を行い、消費者庁長官から個別に認可が与えられる特定保健用食品(トクホ)とは敷居が違う。当然ながらトクホの方が敷居は高いのだが国の審査も完璧な訳ではなく、2017年にはトクホ認証を受けた粉末青汁で肝機能障害を発症した被害がある。いずれも信用して良いかどうかは難しいところ。

トクホの健康被害に関する事例)2ページ【情報1】

https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170803_1.pdf

結局、何を信じれば良いのか

 今回の一例だけをもってして「機能性表示食品は信用できない」と言うのは些か大げさに思うものの、機能性表示食品を謳うことのハードルが低い点には注意が必要だろう。トクホとの違いを知らなかった消費者もそれなりにいるのではないか。企業が独断で謳える以上、私は機能性表示食品を価値ある表示として信用したくない。

 また、健康を増進・維持できるだけの作用があると言うことはそれが悪い方向へ転んだ時の影響も大きいのではないか。薬とまでは行かずとも、それなりに作用を期待するのであれば近いものはある。今回の事例は完全に小林製薬の落ち度だが、既に処方されている薬との相性や自分自身の体質を知らずに機能性のある食品を摂取することもかえって健康被害を招きかねない。

 結局は規則正しい生活、健康的な食生活、適度な運動などの基礎的な生活週間改善こそが健康のための最適解であって、機能性表示食品だの特定保健用食品だのといった小手先のサプリ等に頼ることがそもそもの間違いなのかも知れない。

機能性表示食品の導入背景

 機能性表示食品の導入は第二次安倍政権時に当時の規制改革会議からの提言で行われている。Xでは機能性表示食品への批判と同時に安倍政権批判を展開する例が散見された。

 今回の1件だけをもって「安倍政権の負の遺産」とまでは言い過ぎだと思うが、安倍政権が機能性表示食品という如何にもしっかりした認証を受けてそうな売り文句を許可したことは事実であり、調べない消費者にも一部非はあるものの優良誤認を広めて消費者の利益より企業の利益を優先した、と捉えられなくも無い。

 Xではこの提言を強く行ったのが森下竜一氏だったという資料が挙げられている。当時の肩書はアンジェスMG株式会社取締役。

 氏は大阪万博における大阪ヘルスケアパビリオンの総合プロデューサーでもある。

iyakutsushinsha.com

 正直ただの印象でしかないが、あまり良い感じはしない。

 この巻き添えとして、再生可能エネルギーに関する規制見直しをするタスクフォースの大林ミカ氏が機能性表示食品の推進に関与したとの指摘も見られたがこれは何かの勘違いだろう。機能性表示食品の提言が採用された2013~2016年の規制改革会議のメンバーに大林氏は含まれていない。

www.sankei.com

 大林氏は反原発運動家でありエネルギー問題関連で何かが指摘されるならともかく、機能性表示食品という医療あるいは食品関係での関連したというのは無理があろう。

余談:右翼の色メガネ

 日本企業の不正問題が近年次々と明らかになっている。長年データの改ざんを続けて来たのがバレた、というようなものが多数。ぱっと思いつくだけでも豊和工業神戸製鋼日野自動車ダイハツトヨタ。最近で言えば近畿ツーリストのコロナ事業での過大請求、ビッグモーターの保険金不正請求。

 ここに来て小林製薬がある種薬害のような事件を起こした訳だが、右翼というか愛国保守・兼・陰謀論者にはこれらの不正が「日本企業潰しを狙った攻撃」に見えるらしい。彼ら曰く「日本企業を守るために攻撃された企業の製品を買い支えないと」とか。偏見もここまで来ると恐ろしいものがある。

 あまりに都合の良い解釈で厳しい現実から目を背け、日本と日本に属する個人・組織の善性を盲目的に信じているあたり、彼らが一番嫌う空虚な世界平和理論を信じて疑わない連中と大差ない。

フォトレビュー:マザーボード/電源ユニット

 自作PCネタ続き。前回はケースのレビューをしたがマザーボードと電源ユニットも写真を撮ったので、どうせなら載せておく。案件ではございません。

manuller416.hatenablog.com

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マザーボード: ASUS TUF Gaming B760M PLUS D4

 製品ページ

 マザーボード表面全体。約18,000円と安くは無いが、手頃な価格帯かつ装備が充実しており安っぽさは感じない。

 裏面。こちらにもTUF Gamingのロゴが印刷されている。

 CPUソケット周り。CPUソケットカバーにもTUF Gamingのロゴが入っている。VRMフェーズは12+1とcore i3 14100を動かすのであれば十分だろう。ソケットの右奥に見えるのはメモリーのスロット。ラッチは片側のみ。

 VRMフェーズ数はざっくり言えばCPUに電力供給するための回路で、多ければ多いほど安定した電力供給が期待でき、発熱も少なくて済むので熱による性能低下を避けられる。とされているが超高性能のCPUを使うのでもなければあまり気にする必要は無い。

 VRMの上に装備されているヒートシンク。なかなか大きく頼もしい。爆発反応装甲のようでTUFシリーズが意識するミリタリーテイストなマッチョさが感じられる。

 上側から。右側に見える通気孔?も警告線のような形状になっているのが良い。

 M.2 SSDスロットとPCI-Expressスロット周り。[✕]と+×+×+が刻印されているのがM.2 SSDヒートシンク。上段のM.2 SSDスロットがCPU直結、下段がチップセット接続になっている。

 拡大図。上段のM.2スロットのすぐ下、銀色のPCI-Expressスロットはグラフィックスカードを装着することを想定して強化されたものになっている。ラッチレバーが大型で押しやすい。

 表面左下は電気的にほぼ切り離されたオーディオ関連の回路。黄色い半透明の線の部分でメイン回路と隔離されている。中央に見える蟹のマークのチップセットRealtek 7.1chオーディオコーデックのチップセット

 コンデンサーを挟んで右側に見えるピンはフロントパネルに繋げるオーディオピンヘッダ。PCケースのフロント部にあるイヤフォンジャック・マイクジャックに繋がる。

 B760チップセットヒートシンク。この下にマザーボードに接続されている各種部品を橋渡しするためのチップセットがあり、その種類によって出来ることが違う。詳細は下記サイトが詳しい。

www.pc-koubou.jp

 要約するならCPUオーバークロックをするでも無いなら別に下位グレードのチップセットでも良い。拡張性を重視するなら上位グレードでしか出来ない事はあるものの、通常構成で組む場合はそこまで気にする必要は無い。

 一体型バックパネル。これを選んだ最大の理由がこれ。というかこの最初から完成されたパネルが付いていてなおかつ安くていい感じのマザーボードがこれだから選んだ。

 HDMI、DPと2種類の映像出力ポートがあり、USB Type-Aのポートが2.0×2、3.2 Gen 2×4、3.2 Gen1×1の計 7 箇、Type-Cの3.2 Gen 2x2が 1 箇所と十分。LANケーブルポートと各種オーディオジャックもある。黒いオーディオジャック下にあるのは光デジタルケーブルでオーディオ機器を接続するためのポート。

 バックパネル下側。通気用?のスリットが設けられている。右に見えるのはボタン電池

 付属品の一部。マニュアルは違和感ない日本語で翻訳されている。右のはステッカーでこれ以外にもケーブルやネジ、ドライバDVDなどの必要なものは付属する。

 ステッカーはつや消しメタリック的な光沢あり。左上に「Battery」と見えるように、丸いシールはボタン電池に貼り付ける用らしい。左下の大きめのステッカーには「CARD」と書いてあるのだが2.5インチSSDに貼り付ける用だろうか。ぶっちゃけあんまり使わん。公式でどのように使ってほしいかの例もボタン電池以外は見当たらない。

電源ユニット:FractalDesign Ion Gold 550W

 製品ページ

 パッケージ裏、表。どこか気品を感じる。

 開封直後。お馴染み?の青い説明書とFractalDesignのロゴが入ったマジックテープタイプのケーブルタイが付属。

 後部、上面、右側面。PCケース下部に設置する場合は大抵この向きで設置することになるだろう。

 電源スイッチ付近拡大。通気口がランダムに空いている。電源ユニットの電源スイッチを入れ忘れるのはPC自作初心者あるあるだと勝手に思っているのだがどうだろうか。このスイッチをONにしないとPCケースの電源ボタンを押しても当然ながらパソコンは起動しない。

 市販のPCだとそんな心配をする必要は無い(何ならコンセントに繋ぐだけで起動する)ので見落としがち。

 性能諸元。認証はGOLD。前に使っていたPC ( core i7-9700K + RTX2070Super )でMOD盛り盛りSkyrimをやっていた時の消費電力が250W程度だったので、これくらいでも重いゲームが出来ないことは無い。

 前面、底面、左側面。フルモジュラー式なので必要に応じて必要なケーブルだけを取り付けられる。こうでなければ買う気がしない。上の部分は冷却ファンのために空いている。

 正面から。どこに何を繋ぐか分かりやすい。

 各種ケーブル。取り回しは普通。

 ただしこのマザーボード用24pinケーブルは苦手。大抵の電源でこいつだけは硬くて取り回しがしづらい。

「戦争反対」は政治的か

 朝日新聞の記事にこんなものがあった。Xでたまたま目についたが有料記事なので無理して読む必要は無いだろう。私も全文は読んでいない。

www.asahi.com

 「戦争反対」は政治的なメッセージととらえて良いと私は思うのだがこれは異常なのか・・・?

政治的かどうか以前に

 主義主張を開陳するのであれば、それに適した場所で行うべきではないかと思う。思想や主張の是非、政治的かどうかうんぬん以前に右翼も左翼もこれを弁えない者が多い。感覚麻痺ゆえに政治的かどうか理解できないにしても、意見を述べるに適した場かそうでないかくらいの区別はつけて欲しい。

 上記の記事の例で言えば何の変哲も無い現代的な喫茶店の軒先、カウンターにマグネット付きクリップで、まさしく取ってつけた感じで「WAR IS OVER!」や「パレスチナ人の虐殺やめろ」などと書いたプラカードが掲示されている。それだけで茶店としての景観を損ねており、避けられる理由にはなる。もしこれが右翼の喫茶店で「天皇陛下万歳」や「日本に空母を」みたいなプラカードを掲げていたら、件の喫茶店を擁護している人達は何を言うだろうか。

 喫茶店に来る人間はこのような主義主張に共感したいから来る訳では無い。何の気なしにふらっと立ち寄ってコーヒーを買って、様々な考え事から開放されて一息つこうと思っている。そこで「パレスチナ人の虐殺をやめろ」というようなプラカードを目にすると、その主張の是非を考える以前にリラックスへ向かっていた気持ちがたちどころに厳しい現実へ引き戻される。気持ちが休まらないため、「思想貼っているのは私には合わない」という感想が出てきても何ら不思議ではない。

 ここでまた左寄りが勘違いしてそうなのが、「私には合わない」というコメントが何に向けられているか。ひょっとすれば彼らは「戦争反対という意見が」私には合わないと取っている可能性がある。しかしこの場合、「リラックスしたい場所でそれにそぐわない主張が貼り出されていることが私の感覚には合わない」という意味であろう。その辺りを勘違いして変に被害者ぶったお気持ち表明をしているから余計に引かれる。

 これがもし、もとから自称平和主義者やアナーキストなどが集まって議論をする場として作られた喫茶店ならば話は違っただろう。最初からピースマークでもチェ・ゲバラでも何でも掲げて、店全体でそういう雰囲気として売り出していれば良かったのだ。それで繁盛するかどうかは知らんが。

主義主張を表に出す意義

 左としては「戦争反対と意思表明しただけで文句を言われるのはおかしい」という感覚もあるようだが、「戦争反対」、戦争は良くないことだというのは至極当然のことであって、大衆からすればわざわざ不必要な場面で表明する必要があることでも無い。これはその他にも言えることだが主義主張をこれ見よがしに掲げることは避けられる理由になる。

 なぜ避けられる理由になるか。そういう人たちが「戦争反対」や「原発反対」などの正しさを笠に着て、好き勝手な主張を好き勝手に叫んで来たからだ。大衆は今や主義主張をあえて見える位置に掲げるような者を、大義の下に好き勝手暴れたいだけで話が通じない人間と見なしている。

 これは何も左に限らず右翼その他の諸問題にも言えることで、Xのユーザー名に日本国旗や復古主義的な主義主張、反原発だの反ワクチンだのを入れている人種は避けるべき人間と見なされるであろう。反戦大義にするか、愛国を大義にするかで程度的には実際大差ない。日本においてはまだまだ「日本人であること」は特別な事でも何でもないし、自称保守が目指すような復古主義的思想は現代日本には合わない。反原発は急進的、反ワクチンは陰謀論的だがそれを主張するものは自らが正しいとして疑わず、対話が成立しない。

 反原発に関しては反原発原発推進に分かれて叩き合うのがまず不毛な話であり、原発をこれからどうして行くのか。後始末までどう考えて行くのかは賛成/反対/現状維持に関わらずすべての国民にとっての課題だ。

 何らかの意見を述べるのであればほどほどに、こういうあまり人目に触れないブログやただのツイートで書きなぐっておくか、そのための場で行うくらいが良いのでは。

余談:議論の場

 改めて考えると、日常において政治や経済などに関して議論をする機会は驚くほど少ない。特に政治の話はしない方が良いとまで言われている面がある。日本人は驚くほど意見の衝突を嫌い、議論を極力避けている。場を弁えずに大義を掲げる人々はそれゆえに必死になるのかも知れない。あまりに意見を述べ、ぶつける場が少ないから。

 そう思えば憲法改正などと与党が言い出すのはちゃんちゃらおかしい。憲法改正に向けた成熟した議論など一体どこにあるのか。国民の関心も無ければ議論がなされるような環境がそもそも存在しない。議論の成熟などしようが無い。

 「与党の中では」成熟した議論があるのかも知れないが、年を取っているだけで世の道理を何も理解していない政治家が好き勝手に考えた改正草案など何の価値も無いし、国民の側で草案内容の是非について議論が無ければ憲法改正の機が熟したとは到底言えまい。

 国民の生活はそんなどころじゃねンだわ・・・そんなどころじゃ無くない?