小泉進次郎がまた頓珍漢なことを言って業界関係者をざわつかせている。経団連会長との懇談でどういう話をしたのか知らないが、一体どこを向いて農林水産大臣をしているのか。元農家の側としてはコイツの顔をもう見たくない。前農相をあの程度の失言で更迭したのは間違い。少なくとも後釜が小泉は無い。石破もダメだな。
2000万円のコンバインをたった1ヶ月しか使わないのに、買うのはおかしい。
— ヨシダ ヤスヒロ (@pony1744) 2025年6月17日
普通はリースで借りるでしょう?
お米農家の経済感覚はおかしいらしい。 pic.twitter.com/9hVuXpat8v
*当該発言は8:10頃
「リースやレンタルで良いだろ」という意見への反論
これはすでに記事にしているが、改めて要約して書けば
- 使う時期が被る可能性と使えないことのリスクが高すぎる
これに尽きる。例に出されたのはコンバイン*1だが、収穫の時期はその地域によってかなりの確率で被る。天気によっても刈り取り時期は左右されるし、台風が来る前に急いで刈りたい場合もある*2。コンバインを使う時期が被ることは目に見えている。レンタルだリースだにしても、使いたい時に無ければ意味がない。
加えて農作業は数日かかる場合も多い。周辺農家が1~3件程度で農地も小さい場合ならシェア、レンタルで事足りる場合もあるかも知れないが、2000万円の大型コンバインを使わないといけないような農家ではそうもいかない。東京でLUUPを借りるような感覚とはまるで違う。
田んぼの中を走れば当然土やら裁断された藁やらが付くので、使い終わった後で洗車するのが普通。な訳だが世の中には「自分のものではない」というだけで手荒く扱う者もいる。そこでトラブルが発生することも想像に難くない。使う時期が被ればメンテナンスをする余裕が無くなる可能性も高く、故障したり取り寄せに時間のかかる部品が壊れたりしたら最悪。農家がそれぞれコンバインを持っていれば最悪、作業が終わり次第貸してもらうということも出来る。
他人の需要を気にせず自分が使いたい時に使えること、納得いくメンテナンスや使い方が出来ること、もし壊れた時のリスク回避など自家所有するメリットは確実に存在する。この辺りを考えず、東京でレンタカーでも乗り回す程度の感覚でどうこう言われてもお笑いにすらならない。
逆に言えば、1年に1度しか需要が無いような1台数百万から数千万する機械をどこの企業がリースで必要な分だけ用意してくれるのか。もしそんな企業があったとて、地方各地の需要を満たせるとは思えないしどこにそんな機械を置いておく?
高額なのは分かりきっているのでまとめて置いておくと盗難のリスクも上がる。輸送するにしてもそれにかかるコストや物流のキャパシティは?時間がかかって収穫時期を逃したら誰が補填してくれる?だったらそれぞれの農家が必要なレベルの機械を買って分散配置しておくほうがマシ。
また、農家と一口に言っても規模や農地の立地もまちまち。平坦でだだっ広い田んぼばかりではない。1台2,000万円のコンバインというのはそれなりに大規模な産地の話であって、山間地ではそこまでのものは必要ない。このあたりのニーズをマッチング出来なくてもリースやレンタルは成り立たない。
そもそも農家だってバカでは無いし、経費削減でも自分や家族の人件費を削って働いている。リースやシェアで間に合うところは既に使っている。収穫代行業者もいる。農機のシェアリースやってる所は既にあるんですよ。進次郎くんが悪者にしたJAの関連企業なんですけど。
農機シェアリース(大型コンバイン)|サービス・ソリューション|JA三井リース株式会社
アホボンや経団連のバカどもは、日本の庶民がいかにつましく工夫して暮らしているのか知らないんだろう。「なぜリースしないのか」というのも、おおかた経団連の会長に「農家は経営努力をしていない」「高く売るための努力をしていない」だのと吹き込まれてそれを話しているのでは。それは今回の米不足や高騰と本質的に関係無い話であり、選挙対策のために備蓄米放出を続けて価格破壊をしている人間に経営努力をしろと言われても欠片も説得力が無い。最初に備蓄米放出を決めたのは小泉ではないが、店頭に新米が並び始めてもなお備蓄米の放出をやめず、緊急輸入まで言い出したのは小泉。
以下は、現在削除されているユーザーによる証言。
そんな奴らに「もっと工夫して余計な経費を削減しろ」だのとは死んでも言われたくない。だったら国会議員の給与や膨大な役員報酬を下げろ。お前らの存在自体が無駄。
政治家こそもっと歳出削減の工夫をしろ。国家運営の努力が足りない。知見も良心も善悪の判断も欠けていて無能どころか害悪ですらある。
ところで、小泉進次郎は米騒動の視察に2,300万円するレクサスLMで移動していたがそんな車で移動する必要ある?米騒動だ何だと横須賀の小売店までお米が売られているか確認するために?さすが政治家の坊っちゃんは違いますな。生まれながらの坊っちゃんには見えるものが違うわ。その感覚が通用するのはあくまで金持ちの間だけで、一億総貧困化社会の日本においては一切通用しない。
レンタルで済ませられないものもある
「リースやレンタルで安くすれば米の価格を安くできるじゃん」という安直な発想からああいうことを言っているのだろうが、コンバインその他機械を動かすための燃料、米の収穫量や味を上げるための肥料その他あらゆる消耗品はレンタルでは済ませられない。それらにかかるコストや物流費、保管費用、流通にかかわる人件費の上昇の影響は避けられない。
こうした影響を農家の経営努力だけではどうにもすることが出来ないことは明らかである。特に円安。物価高騰と賃上げを言う中で農家にはコスト増加分の転嫁を認めないような思考回路が理解できない。本物のアホなんだろう。
それで、歳出削減の努力をせず、税や社会保険料を下げることは頑なに拒む分際で農家にはコストカットを求めるのか。それだけ考えても怒りが湧いてくる。
誤魔化し誤魔化し
小泉農相が言い出した作況指数の公表廃止について、「公表」の廃止であって統計自体の廃止ではないと理解していたがどうやら違うらしい。
玉木さん:あくまで、作況指数の「公表」の廃止なので、統計データとしては残すのだと思います(そう信じています)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) 2025年6月17日
↓
農水省統計部に確認しました
↓
Q:作況指数という統計制度の廃止ですか? それとも統計調査は継続するが、公表だけの廃止ですか?
A:統計制度の廃止です。… https://t.co/dWWsFHaur3
「作況指数と現実の収穫量の乖離がある」と言うのであれば、これまでの統計手法とそれなりに互換性をもたせた、比較しやすい、より現実に即した統計の方法を模索するべきだろう。それがいきなり統計制度自体を廃止するというのはおよそ建設的とは言えない。父親と同じで壊すことしか知らないらしい。
「米不足で原因が何か分からないけどとりあえず統計データ取るのやめます」と農林水産大臣の一存で、何十年にも渡る統計が途絶える現実。一体、統計の意義とは何なのか考えさせられる。自民党の政治的失敗を誤魔化すためなら何でもありか。正当な手続きや議論なく一存で統計を廃止するような人物は民主主義にふさわしくない。独裁者の卵ですらある。
今後、こうした統計指標を手がかりとした問題の原因究明が難しくなる。原因究明を難しくしてしまえば、小泉が今やっているようなJAや卸売を悪者に仕立て上げることもより簡単になるだろう。大衆はまた小泉劇場に騙される。
チェスタントンのフェンス
「チェスタントンのフェンス」という言葉がある。「改革を行う際、何かを無くす場合はなぜその仕組みがあるのかを理解した上で行わなければならない」という考え方。
「何のためにあるのか理解できないなら下手にいじったり撤去するべきではない」
作況指数1つ取っても小泉進次郎、ひいては自民党にこうした考え方が無い。
これが憲法改正においても同じようなノリだったら?
話が逸れるが私はこう思わずにはいられない。「何か分からないけど政治家にとっては邪魔だから削除しました」がいよいよ起きそうな気配がする。サヨクが何かにつけてうるさいせいでこういう事を言うとサヨク扱いされそうで嫌だが、このような横暴をする政治家が失政を差し置き、やるべき事をことごとくせず、国を衰退させる一方で憲法改正をしたがることに恐怖を感じざるを得ない。
統計の話と憲法改正の話は重みが違うが、自民党の憲法改正草案や最近出てきた緊急事態を言い訳とした議員任期延長案なんかを見れば、彼らがそこまで重さの違いを感じているとは思えない。一事が万事。1つの事に対する姿勢から、他のあらゆる物事に対する姿勢が垣間見える。
ただの愚痴
農業も知らなければ物事の理非を知らない、損得勘定もできないくせに余計な口出しはしたがる、何なら他人の仕事の成果物を安売りさせることしか考えていない小泉進次郎やそれに類する無知な人間は愚か。そんな奴を次期総理大臣などという有権者は度し難いほど愚か。そりゃあ、何十年も衰退を続ける筈だわ。
中には「機械を使って楽しようとするほうが悪い」などと平気で言う頭のおかしい奴もいるから困ったものだ。それは今のサラリーマンに「パソコン使って楽するな。紙と鉛筆で計算しろ」と言うようなものなのだが、その自覚が無い。生産性を無視し、他者が楽をすることが許せない腐った根性がよく表れている。「苦労と金銭的リターンは比例するべきだ」と言うのであれば既に苦労のほうが見合っていない。小売価格の上昇は当然。
したり顔で「日本の農業はドイツのように大規模化と機械化を進めるべき」、などと言ってくれる素人もいるがあちらは大陸、こちらは島国かつ山国。平地面積や農地がある場所、道の狭さを考えろ。それで、大規模化と機械化に対する投資をしたとて価格には転嫁するなと言うのだろ。アホくさ。
私は小泉進次郎が総理大臣になるようなら、いよいよ衆愚政治も極まるなと思っている。これまで批判して来たように彼には政治家として思考や知見に欠けている。あるのは「やってる感」や「好青年感」を出すことだけ、大衆に受ける劇を作る能力だけ。日本で働いたことが無いので日本人の労働者の感覚なんか欠片も分からない。資本家や官僚に簡単に言いくるめられて国民のための政治が出来ない。それが見抜けないのは有権者側にも責任がある。
南相馬の田んぼの前でコメ農家さんとJA関係者の皆さんと意見交換。率直なご意見ありがとうございました。@SakamotoRyutaro pic.twitter.com/k6xjbaF08L
— 小泉進次郎 (@shinjirokoiz) 2025年6月15日
こういうパフォーマンスは上手いよな。まだマシな季節とはいえ、晴れた屋外でメモも持たずに「意見交換」というのは一体どこまで真剣なものか。現場の意見、実際に働いている人の意見をどう考えているのかよく分かる。北朝鮮の現地視察と言われていて草生える。
AIで生成。こうした風景もいずれAI生成画像でしか見られなくなるかも知れない。それにしてもなかなかおもしろい。山国なので本当に場所によってはこんなレベルで、大型の機械を入れるのがまず難しい。田んぼの形が長方形ですら無い場合もざらにある。