ヤマネコ目線

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技能実習生の手取り

 職業柄、技能実習生の手取り額を目にする機会がある。直近で見かけたのは11万円台。寮に入っているとはいえこのご時世、手取り11万円はなかなか厳しい。はっきり言って可哀想に思う。

 日本人は(特にマスコミは)10円20円の値上げで大騒ぎしているが、まだまだ世の中は安売り戦国時代。上がっているコストに対して値上がりは抑えられている。そうした安売り合戦の下には低賃金で働く外国人労働者の存在があるのだ。特にアパレルは万年不景気で技能実習においても不祥事が多い。裏を返せばそれだけ消費者から、大手から買い叩かれているという事でもある。残業代を払おうにも払えるような価格で売れない。衣食住のうちで衣は一番削られやすい。

 それも技能実習生は月11万円で自分だけ暮らしていれば良い訳ではない。建前はともかく彼らは出稼ぎとして来ているので、母国にいる自分の家族に仕送りをしなければならない。仕送りをしていれば非居住者=外国に住んでいる家族でも扶養に入れられる訳だが、去年からその条件がかなり厳しくなったことは以前書いた。

manuller416.hatenablog.com

 要約すると30~69歳の親族を扶養に入れたい場合、1人あたり年38万円以上の送金記録が無ければ認められない。多くの技能実習生は両親を扶養に入れるのだが、これがもろに両親の年齢層を狙い撃ちという感じで厳しい。兄弟姉妹を扶養に入れる手もあるが、兄弟姉妹も技能実習生として日本に来ているなら扶養には入れられない。

 もっとも、令和4年までの扶養判定が意味不明なほどゆるかった*1のが厳しくなった原因なのだが。それにしてもやることが極端である。

 加えて技能実習生は日本に来るためにドル建てで借金をしている。ベトナム人は借金=恥という意識がかなり強いのでどのくらいの借金か訊いても答えない=正確に把握することが困難なのだが、大体100万くらいの借金とは聞く。

 手取り11~13万円で今の日本で暮らしながら、円安の日本で家族に仕送りするために貯金し、同時に借金も返さないといけない。それも下手をすれば労働環境が劣悪でさらなるストレスを抱えることになる。円安が進行すればドル建ての借金返済は遅れることになるし、ベトナムの通貨ドンに対しても安くなっている円では仕送りが目減りしてしまう。

 犯罪を肯定したり擁護する訳ではないが、そりゃ犯罪に走る奴も出てくる筈だと思えて来る。日本人の若者が海外で出稼ぎした方が良いと感じるのと同じく、今やベトナム人からしても日本よりオーストラリアや韓国で働く方が圧倒的に魅力がある。人材獲得競争において円安では負けるしか無い。入って来たとしても良い人材ではなく、言い方は悪いがもはや安易に犯罪に走る程度の人材しか来ない。貧しい、経済という名の戦争に負けつつある国の末路。

 技能実習生には優しく接してあげて欲しい。無理をする必要は無いが、もはや自称保守のように「嫌だったら来てくれなくて結構」などと強気でいられる状況では無い。何がどうあれ現実として少子化は加速し続け、人手不足は解消せずにどこかから労働力を補充する必要が発生している。

 自称保守はそれでもなお現実を見ず、少子化を解消どころか加速させている自民党政権を支持し続けるのだろうが。言っていることとやっていることに整合性が無い。その辺で言えばサヨクと同レベル。

 今日はクマ駆除の日当が8,500円などという話もあった。利権でぼったくり価格での契約をしている企業があるかと思えば、学校カメラマン以下の日当で命を張っている猟師がいる。この国は明らかにいろいろとおかしい。歪んでいる。この歪みはいつか大きな代償となって国民に降りかかるだろう。いや、既に降りかかりつつある。

安売り合戦

 先日、山梨県が発表した外国人労働者家族向け医療障害保険制度が話題だった。地方は東京に若者を吸われて労働人口が減少し続け、その分を外国人労働者で補充している。人口に占める外国人労働者の割合は必然的に多くなる。

 そこで円安と労働環境の劣悪さから外国人労働者の確保が難しいとなれば次はどうなるか。少しでも外国人労働者が来てくれるように行政が優遇措置を取ることになる。当然ながらそこには税金が投じられる。

 外国人労働者に対していかに多くのサービスを無償で提供し、労働環境としての魅力を底上げできるかという競争が始まる。公的サービスの安売り合戦である。

www.pref.yamanashi.jp

 これに対して批判の声は強い。私も良い流れとは到底思えない。しかしそのような流れを作って来た、作っているのは自民党政権であり、それを支持し続ける人間がこの流れを非難する資格は無い。

定額減税の金額明記の件

 恩着せがましくも岸田政権は定額減税でいくら減税されたかを給与明細に明記しろなどと言い出したが、1人あたり10万円以下なので記載不要じゃないのか?パーティー券は10万円超からしか公開しないとか言ってるじゃないか。

 そもそもが間違った方向性の1年限りの減税で、自分が減税したという印象を与えるために企業に給与明細のシステムを変更させて余計な手間をかけさせる。つくづく癇に障る奴。減税は今年1回だけなので来年は明細の設定を戻す手間もある。委託ではなく自前でやっているところは大変だ。

 電子帳簿保存法といいこれといい、手間を増やせば委託業務で儲ける企業もあるのだろう。そういう企業を儲けさせるためにわざと手間のかかる事ばかりやっているのでは。それで献金でも受け取っているのだろう。労働生産性なんか上がる筈ないわ。行政からして非効率の極みで腐っている。

 出産費用の自己負担額ゼロなんて話も出ているが、そのためにまた社会保険料を上げるのだろう。定額減税の後は大増税。あ、社会保険料の引き上げは「増税」では無いんだったっけ?手取りが減ることに変わり無いのだが。

インボイス制度に対する愚痴

 完全に愚痴になるが、直近で高速料金の精算について訊かれたので調べたらETCの利用はETC利用照会サービスを利用してダウンロードした簡易適格請求書(インボイス)を出せと書かれている。クレジットカードの利用明細はインボイスでは無い。たかだか数百円の話でこれである。こうした細々した規定への対応が企業だけでなく個人事業主にも求められる。インボイス制度も電子帳簿保存法も税収を上げるために労働生産性を落とす制度。なーにがパー券10万円超から公開じゃ。ふざけんな。何もかも1円から公開しろ。経理は1円単位で合わせて当たり前じゃ!

https://www.etc-meisai.jp/news/pdf/230915_01.pdf

 なお、電車やバスなどの公共交通機関の利用はインボイスの発行が困難であるため、出張旅費特例によって3万円未満の金額についてはインボイスは不要である。ただし飛行機はこの特例の対象外であるため、航空機を利用したことが分かる明細等を保存しておく必要がある。3万円以上の場合は入場券等回収特例によって対応する。無駄に特例が多くてうざい。考慮すべき事が出張旅費だけでこれだけ無駄に多いのが本当に嫌。

 タクシーについては従業員が利用した場合においても、(厳密に言えば)出張に利用したのかそれ以外で利用したのかでインボイス制度における扱いが変わる。まずタクシーの事業者がインボイス制度における適格請求書発行事業者かどうかが問題で、発行事業者では無い場合、かつ出張以外での利用では(あまり考えづらいケースだが)仕入れ税額控除を100%することは出来ない。

 100%ではない=仕入れ税額控除できない、ではなく無駄に段階的な措置が取られているため、処理する年によって何%控除できるかが変わる。

 こんな制度を考えた奴、目の前にいたら200箇所くらい刺して山に埋めてやるのに。実務やってからモノ言えカス。

 これが規模が小さくて判定すべき内容の種類も頻度も小さいならまだいい。しかしそんな企業ばかりでは無いし、たとえば会計ソフトを使っているのであれば会計ソフトはその判定にすべて対応していく必要がある。請求書発行から何から何まで。自前でやっている所は自前で対応するしか無い。

 「インボイス制度に反対してるのは益税で儲けてる奴ら」などと言っていた奴らは視野が狭い。免税事業者が得られる益税とやらはせいぜい年100万円であり事業者としては目くじらたてるほど多くない。そんな金額をみっちり徴収するために無駄に増やされた手間、その経理処理にかかるコストの方がはるかに大きい。

 なぜ大きいと言い切れるか。免税事業者になれるのはインボイス制度開始前でも後でも変わらず年間の課税売上高が1,000万円以下の小さい事業者だけだから。課税売上高がそれより多い企業は無駄に手間を増やされただけ。免税事業者は実質的に免税事業者でいるという選択肢を潰されており、インボイス制度の本質は実質的な消費増税である。

 インボイス制度に賛成していた人間は他者が多少の利益を得ているのが許せない狭量かつ嫉妬深い人間で、無知のままに悪法とそれを推し進める愚かな政府を支持した愚民。反省して欲しい。

 Co-Pilotに「日本円での手取り不足のコンセプトアートを生成して」と英語で入力したら↓の画像が出てきた。末恐ろしい。ちゃんと電卓まである・・・

 

*1:たとえ1円でも送金していれば扶養に入れられた