社内向けに解説を書いていたのでついでに。令和5年から非居住者(国外に住んでいる人)を扶養に入れようとする場合、その条件が若干面倒くさい。
私カンケイないわ、という人も多いだろうが、管理する側となれば技能実習生の申告書について、扶養に入れられる/ないは気にしてあげなければならない。
下のフローチャートを見れば大体分かる。親族関係書類を提出していることは大前提なので省略。
最も大きな変更点は、これまで国外にいる親族を扶養に入れる場合、送金の金額は関係なく個別に送金さえしていれば扶養に入れられたのが、そこに一定の金額基準が儲けられたこと。
今年までは少額でも送金さえしていれば扶養に入れられたが、技能実習生の間でそれが節税手法として広まり、親族全員を扶養に入れますくらいの勢いで扶養に入れる人が多かったために制限が入った訳である。ぶっちゃけ動くのが遅い。それもよりによって円安でただでさえ技能実習生から日本への不満が高まっているというか、もはや待遇が悪過ぎて見向きもされなくなりつつある今かよ・・・。
それはともかく、令和5年からは
- 70歳以上で送金(額関係なし)をしている親族
- 16~29歳で送金(額関係なし)をしている親族
および30~69歳であって
- 1月1日~12月31日までの間で38万円以上の送金をした親族(年末に送金記録の写しの提出が必要)
- 留学生でありその証明を提出した親族
- 障害者でありその証明を提出した親族
が非居住者で”扶養に入れられる人”になる。年齢は来年12月末時点でのもの。
何よりキツいのは「年38万円以上の送金」という条件。技能実習生は大抵が両親や兄妹を扶養に入れており、障害者や留学生でない限り「30~69歳は1人あたり年38万円以上の送金が必要」という条件はかなり厳しい。年齢的にもほぼ狙い撃ち、技能実習生の賃金を考えるとほぼ無理では・・・。なお、その年齢層の親族を「送金しているから扶養に入れます」とした場合、来年末に令和5年分 給与所得者の扶養控除(異動)申告書の被扶養親族欄、「生計を一にする事実」欄に1年間で送金した総額の記載も必要になる。これは実務的には送金記録の写しを受け取った管理者が代わりに記載する。税金取るために余計な手間と仕事ばっか増やしやがって!◯ねよ自民党!
留学生の場合は留学ビザの写しの提出が必要。
障害者については厳密に言えば障害者である証明の提出は義務ではないが、悪用を防ぐためには提出させた方が良いだろう。実務的にも残しておくに越した事はない。と思う。まあ、虚偽の申請で何が何でも扶養親族を増やすというのは絶対に出てくるだろうな・・・。
その他
令和5年分からの扶養控除申告書には他にも変更点があり、特にD欄「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」は空欄でもいい。控除を受けるのはあくまで他の所得者(大抵は配偶者か)であり、わざわざ書かせる意味が分からない。余計な手間ばっか増やす/増やそうとするあたり本当にイラっとする。
16歳未満の扶養親族欄の下に追加された「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄も書かせる意義が分からない。