ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

裏金問題はどうあっても擁護不可

「あれくらいの金策は別に悪いと思わない。全てが清廉潔白な政治家なんていない」

という類の擁護を見かけてさらにアタマに来たので書いておく。

詭弁で擁護するな

 確かに100%クリーンな政治家などいないし、これからも出て来ないだろう。しかし、その事実と政治資金規正法を意図的に破る行為を是認するべきかどうかは別問題である。明らかに違法行為であり、決して「あれくらいの金策などと容認できるような話では無い。いくらなんでも軽く考え過ぎだ。

 そのような詭弁が通用するならば「世の人々は大なり小なり何かしらの罪を犯したことがある。だから横領くらいは別に悪いとは思わない」、のような話も通ってしまう。それで通用すると思うならやってみると良い。一体何のための法による秩序か。そのような詭弁を弄して無理ある擁護に回るとは法治国家の国民として恥ずかしく無いのか。

 そのような者に限って外国人の生活保護不正受給に対しては鬼のような形相になるのだろう。都合の良い時だけクリーンさを求め、都合の良い時だけダーティーさを許容しようとする。二枚舌が過ぎる。ダブルスタンダード100%クリーンは不可能にせよ、可能な限りの善を目指すのが我々のあるべき姿である。

 たとえば交通事故だってゼロにすることは出来ない。しかし我々はその被害を最小限に抑えようと努力をしている。そこに冒頭で引用したバカどもの理論を適用するなら、「どうせ被害は無くならないのだから多少の犠牲には目を瞑るべき」あたりだろうか。それで良いのか人として。多少の割り切りは必要だろうが限度がある。何より現在の水準を保つためには維持する努力を続けなければならない。羽ばたき続けなければ高度は維持できない。それを忘れてはいまいか。

立法府の徒、国民の代表者としての責任

 国会議員は国民の代表者であり、立法府=国会において法律を作る立場にある。そうした立場の人間が自ら法律を破ることの重大さを理解しているのか。「あの程度の金策」などと言える連中は確実に理解できていない。ただでさえ自分たちで自分たちに都合の良いように法律を作る上に、それすら守れないとなればまさにやりたい放題では無いか。これは言ってみれば政治家による法の秩序への挑戦だ。

 それだけでなく裏金、キックバック問題は民主主義の根幹を揺るがす問題である。自民党はもっとも多くの政党交付金を受け取っており、それだけで選挙では有利な立場だ。それが裏金まで作って不正に選挙資金・政治資金を持っていたとなると選挙の公平性に疑義が生じる。健全な民主主義、選挙を意図して害している。

 ここで愚か者は「どうせ自民党しか支持できる政党が無いから影響は少ない」などと言い出す訳だが、世の中は自民党支持者だけでは無いし、ただでさえ有利な自民党が違法行為を働いてまで選挙資金を獲得し、さらに選挙を有利に進めることは明らかに公平性を欠いている。

 選挙において公平・公正は大前提であり「それぞれの政党がどれだけ支持されるか」とは別の話。その大前提を崩すことは大げさに言えば民主主義の根幹を揺るがす行為、テロ同然とも取れる。民主主義を揺るがすのは何もテロのような暴力的要因ばかりでは無い。

これを許せばどうなるか

 今回の問題を是認すれば政治不信だけの問題では無くなる。法を破っても許される(主権者たる国民が是認してくれる)となれば政治家どもはますますツケ上がる。だからこそ我々は厳しい目を向けなければならない。そんな事は決して許されないと態度で示さなければならない。さもなければいずれ憲法も都合のいいように改正・運用されて、国民は権力の手綱を手放すことになるかも知れない。そうならないよう、政治家を躾けるのは我々の仕事なのだ。甘やかすとろくな事にならない。下の記事にもそれがよく表れている。

news.yahoo.co.jp

(記事題 | 自民党関係者「議員逮捕なんてしたら、検察によるクーデターだよ」危機感ゼロの安倍・二階派「認めさえしなければ立件されない」見方ひろがる)

 クーデターうんぬんは不逮捕特権を傘に着た発言なのだろうが、そもそも不逮捕特権は国会会期中限定の話であり、主旨としては三権分立のうち国会の機能を阻害されないための措置。これが無ければ行政が意図して議員を逮捕し、反対派を議会から一掃して国会の機能を形骸化させてしまう可能性がある。それを防ぐために必要があって残されている特権であって、不逮捕特権は国会議員が貴族的立場であることの証では無い。

 実際、特捜部のガサ入れは国会が閉会した後に行われた。自民党関係者としか書いていないので議員では無いのかも知れないが、与党にいる人間がこんな事すら理解していないとは嘆かわしい。

 大体、クーデターだと言うのならば国会議員が法を軽視し、破り、民主主義の根幹を脅かした事こそクーデターではないか。自民党議員がしていること自体が法の秩序への挑戦、主権者たる国民に対する裏切りであり反逆。

 そうでなくとも政治家連中は国益ではなく自己の利益ばかり追い求めて利益団体の犬に成り下がり、国会では官僚におんぶに抱っこで議論ごっこ強行採決を繰り返して来た。パフォーマンスで多少の経済政策をやるも増税社会保険料の引き上げで減殺して景気を低迷させ続け、原因を見誤った意味の無い少子化対策にこだわって財源のために現役世代の負担を増やし、少子化を加速までさせている。就職氷河期世代は見殺しにされ、その下の世代も希望が持てるような状況では無い。一方で外国人には手厚い支援。「留学生は国の宝」。田中真紀子氏の言う通りだ。賞味期限の切れた人間が国会議員をやっている。

 こんなザマで何が憲法改正だ。緊急事態条項だ。ふざけるな。そんな事よりも優先してやるべき事があり過ぎるほどある。改正するならまずは政治資金規正法からだ。積極的でスピード感があるのは自分たちのやりたい事だけ。様々な問題の本質を見抜く力も無ければ己の立場も弁えていない。理解していない。そんな奴らにやりたいように、好き放題やらせる訳には行かない。

 直近の動きを見ていると「キックバックを支持したのは故・細田衆議院議長」だのと死者に罪を被せたり、会計責任者を生贄にして自分たちは難を逃れようとする往生際の悪い奴らがいる。「認めなければ立件されない」などとも。もし彼らを法で裁けないのであれば、国民が選挙において鉄槌を下すしかない。