ヤマネコ目線

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立件見送りとかふざけんなよ

 裏金問題をめぐる問題で、東京地検特捜部は幹部らの立件見送りを検討しているとの報道が出ている。幹部らの「派閥の会長と会計責任者で決めていた」という供述を鵜呑みにし、裏金作りをしていた政治家自身の共謀の実証が困難と見ているから、とのことだがまったく以ってバカバカしい。

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(記事題[リンク切れ対策] : 安倍派幹部らの立件見送り検討 政治資金巡り特捜部)

これが許されて良いのか

 結局、会計責任者が在宅起訴されて主な罪は会長=故・細田博之衆院議長と安倍晋三元総理大臣に被せられた形になる。何百万、何千万という資金を不正に調達し、選挙資金等として利用して来た政治家が2人を除いて*1全員無罪放免とは、一体この国の司法はどうなっているのか。

 政治資金規正法の違反はどの程度の刑罰かと言えば下記の資料を見れば分かる。いずれも3~5年以下の禁固刑あるいは50~100万円以下の罰金。また、公民権停止も禁固刑を受けた者、罰金刑を受けた者あるいはそれらの刑の執行猶予を受けたものとなっており、今回の裏金問題ではほぼ全員が何の罰も受けることなく公民権の停止にすら至らない。は?

https://www.soumu.go.jp/main_content/000077920.pdf

 そりゃあ、「検察仕事しろ」とも言いたくなる訳で。たとえば一般企業が裏金を作っていた場合、バレた時に「いや、これは既に亡くなった会長が決めてやってたことで~」と言い訳すれば許してもらえるのだろうか。普通はそのような悪事に関わった者は全員、共犯者では無いのか。法律については専門外だが、そのような事が許されるなら一体何のための司法なのか。

 政治資金規正法の改正は必須である。政治刷新本部だのと無駄な組織をつくってやってるアピールをしているがそれでは到底許されない。それも一番問題が大きい安倍派からのメンバーが一番多いなどもはや意味不明で、刷新されるべきはまず刷新本部のメンバーだろう。岸田総理はメンバー交代を否定しているが、ただでさえ無意味な改革組織がさらに無意味なものに見える。

www.asahi.com

(記事題:首相、裏金疑惑の安倍派9人交代させず「信頼回復へ議論」 刷新本部)

必要な政治改革は何か

 重ねて書くが政治資金規正法の改正は必須である。今回のように裏金作りをしていた政治家が無罪放免となるような法律では意味が無い。刷新本部だのというのはそうした抜け道をいかにして残すか、という悪あがきに過ぎず、政治資金規正法そのものがより厳格に改正されるまで我々は批判を緩めるべきでは無い。

 まずパーティー券をめぐる会計処理そのものを見直す必要がある。課税売上高が(≠年収)1,000万円未満の個人事業主を含む事業者に対してはインボイス制度などと言ってより厳格な納税を求め、それこそ1円単位での経理を求める傍らで、年収4,000万円とも言われる政治家に同等の経理処理を求めていけない道理は無い。どこからの寄附だろうが、1円の寄附だろうが漏らさずに政治資金収支報告書へ記載してもらう。

 そこまで出来ないのであれば政治資金パーティーを廃止するべきだ。

 また、政治資金収支報告書に不記載があった場合の罰則も逃れづらいものにする必要があるだろう。今回のように「既に故人の会長の指示で~」、などという言い訳で逃れられるような法律では規正法の意味が無い。金額の大小に関わらず違反は違反、それも組織的に行っていたのであれば全員を罪に問うべきである。「自民党は犯罪者集団」と言われてもまったく仕方ない。事実それに等しいではないか。

 裏金作りに関わっておきながらそれを恥じるでもなく、「議員を逮捕するなんて検察のクーデターだ」だの、「政治不信は国民のモラル低下」だのとのたまい、過失を認めもせず罰も受けず再発防止策も取らないまま無かった事にしようとしている腐りきった政治家、本当に恥知らずで我慢ならない。あんな奴らが政治の実権を握り続ければどんどんこの国そのものが腐って行く。朽ち果てて行く。今、ここで切り落とさなければ正常な部分まで腐ってしまう。

予備費増額もおかしい

 岸田総理は震災の復旧・復興などに備えるためとして、予備費を1兆円まで倍増させることを表明した。

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(記事題:「能登半島地震で6年度予算の予備費を1兆円に倍増 岸田首相表明」)

 当初、予備費投入の額が少ないとの的外れな批判があったにせよ、だからといってこれはいかがなものか。予備費投入にしても今まで出ている金額は47億円と相当な隔たりがある。震災対応を口実として都合のいい予算の枠を増やしているとしか思えない。震災復興のために予算を組むのは良いが、コロナ禍でも予備費の使途が9割追えないと問題視されたことは記憶に新しい。

www.nikkei.com

 予備費支出は国会の事後承認が必要とはいえ先に使ってしまえば後からはどうしようも無いし、それに対して政治家が責任を追及されることも無い、国会での承認も与党過半数であるので何ら問題にならない、と実質的に好き勝手な支出に使える予算と化している。国会審議をせずに内閣が好き勝手に使える予算を5,000億円でも多いと思うところ、1兆円まで倍増させて良いのか。

 このように「緊急事態である」ということを都合よく利用して自分たちに都合の良いようなことをする連中を私は信用しない。それも裏金問題でも正常な対処が出来ない連中が憲法改正などと分不相応な話を持ち出して来て、そこに緊急事態条項まで付け足そうなどと危険極まりないように思う。判断力が鈍っている上に自分たちのやりたい事ばかりやろうとする、そのために都合の良い解釈と運用をする、そのような政治家が憲法改正など、あの世で言ってろ。

震災批判と政権批判

 話は変わるが、一部で震災対応を政権批判に利用しようという動きが見られる。初動が遅い、あれをしろ、これをしろ、なぜしない、しない/出来ないのは政府が無能だからだ、と。しかし震災対応についてどうこう言うのは悪手に思う。

 素人の下手で的外れな批判は端から見て「何言ってんだこいつら」としか思われず、共感を有むことは無い。無茶無謀、荒唐無稽な話を持ち出し、「それが出来ないから無能」などと言うのは政府批判が目的になっているからであってまったく建設的では無い。何なら反感すら生んで「そんな事を言うが政府はよくやっている」と言い出す人も出てくる。そういう人は何が何でも政権批判をしたいから震災対応も持ち出して批判しているのだろうが、それはむしろ逆効果だろう。それが理解できないからいつまでも「こんな人たち」なのだろうが。

 先の記事でも書いたが素人が思いつくことは現場でも考えつくし、検討した上で理由があって行われていないに尽きる。我々が震災対応について口出し出来る余地はそうそう無い。改善の余地が無いとは言わないがそれを洗い出すにはまだ早く、洗い出した所ですぐ解決できる訳でもない。「物資を空中投下しろ」などと物事を簡単に考えている人々には分からないだろうが、技術の進歩は単純に技術的に可能かどうかだけでは無く、安全性や実用性、法的規制の適合などあらゆる積み重ねが必要になる。

 やっている側は政府批判のつもりだろうが、安直な批判は間接的に現場で災害対応にあたっている組織、人々に対しても向いていることも忘れてはならない。

岸田総理の現地訪問について

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(記事題:「1階をのぞいただけ」 首相の被災地訪問に“パフォーマンス”の声)

 一部では遅いとの声もあったようだが、私見としては下手にすぐ現場入りしなかっただけマシとも思う。総理大臣が来るとなると警備もそれなりになるし、対応にあたる人の多さを考えれば山本太郎のように混乱の中になる被災地へおいそれと行くべきではない。民主党政権時代の菅元総理の例を考えれば特にそう思う。

 上が下手に現場へ来るとかえって邪魔になる、というのは政治や震災に限らずありがちのように思う。必要なのは自分が出来ることと出来ないことを弁えて、少なくとも邪魔にならないように行動すること。遅いと言われているが被災地訪問はむしろもう少し後でも良かったのでは。

 また、岸田総理が被災地訪問によってイメージ回復を狙っているとするのであればそれは大間違いだ。過去の事例から見れば被災地入りは遅かった部類になるし、裏金問題の決着は到底納得できるものでは無い。政治改革も明らかにやる気が感じられず、相変わらず言うことは立派なのだが実態が伴っていない。有権者側もそれを肝に命じなければならないだろう。

余談:レッドサラマンダー

 一部で「オスプレイなんかよりもこっちに金を使えよ」とオスプレイ批判などの山車にされていたレッドサラマンダー、無限軌道災害対応車だが、目立った活躍が無いまま愛知県岡崎市の定位置へ帰還していたようである。オスプレイ等を批判したいがために下手に持ち上げたことがいかに愚かしいか。

 レッドサラマンダーを見れば分かるがあくまで輸送に特化した車両であり、クレーンが付いている訳でも無ければドーザーやバケットが付いている訳でもない。車両に乗りながら何かしらの作業が出来る訳でもなく、瓦礫をどけながら負傷者がいないか1軒1軒確認しているという状況では出番が無かったらしい。

 それにしても、自衛隊が徒歩で行かなければならないほどの難所はこれでも走破できないという事か。無限軌道(キャタピラ)で動くので鈍足だろうし物資の輸送に使うのも使い勝手が悪そう。津波に際して出番があると見込まれての派遣だったようだが、浮力にそこまで余裕が無いらしく流れのある河では航行不可など*2、「宝の持ち腐れ」の誹りはまだまだ剥がれそうに無い。

 元々の車両(ExtremeV)のプロモーション映像を見るにまあ、何というか大陸向けの製品に思う。海外製の車両であって、山国である日本に最適化された車両では無い。

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 納税拒否はやめようね(言いたくなる気持ちは分かるけど追徴取られるだけ)。それよりも次の選挙で国民が鉄槌を下すことの方が大事。選挙に行きましょう。

 

*1:大野泰正参院議員、谷川弥一衆院議員は金額が大きいとして略式起訴か在宅起訴が検討されている

*2:スクリューが無く水中での推進力はキャタピラ頼み