国立科学博物館が物価高騰の影響をうけ、運営資金が不足したとしてクラウドファンディングを始めた。
(リンク切れ対策:記事題「国立科学博物館が資金不足に...物価高騰受けクラウドファンディングで1億円募集」)
何かおかしく無いか?
つい先日、自民党のパリ研修旅行について書いた。具体的にどれだけの費用が掛かったのかは明言されていないが、あのように国会議員が遊んでいる傍らで、”国立”の科学博物館がイベントのためでも何でも無く、”運営”資金不足に陥ってクラウドファンディングを始めている。女性議員を遊ばせる金はあってもそうした学びの根幹にかけるお金は無いのだなと、本当に辟易する。
パリ観光旅行の日程についてはsmartFLASHの記事で書かれている。
3泊5日の日程の中で研修はわずか6時間とは。庶民は毎日8時間は働いているのにな?セーヌ側でのディナークルーズに2時間半、シャンゼリゼ通りでの自由行動が2時間以上などなど、結構な”研修”だ。
自民党は女性候補者に支援金100万円だと言い出したが、そうして名目上の女性議員を増やしたところで自民党内のパワーバランスは男性中心。女性はあくまで「時代に合わせたやってる感を出すための駒」でしかなく、女性局を見ると感覚が国民とズレ過ぎていてもはや”お飾り”の役割さえ果たせていない。名目だけで女性を増やしても政治に対して何ら改善を望むことは出来ない。国会議員とは国民の代表者であるべきで、単なる駒としての議員の擁立は国民を愚弄している。
今すぐパリ観光旅行にかけた政党助成金を国庫へ返納し、国立科学博物館の予算に回せ。
観光旅行おかわり
(リンク切れ対策:記事題「国会議員、4年ぶり海外視察復活 コロナ収束、5億3千万円計上」)
一方で国会議員の海外視察が4年ぶりに復活するというニュースが色んな意味でタイミングよく?出てきている。その予算5億3千万円。衆議院から約90名、参議院から約60名とこれまた大所帯で行くようで、渡航費は実費支給、宿泊費は上限3万2千円だという。国民が物価高騰で苦しむ中で豪勢なことだ。果たして、本当にそのような大人数で行く必要があるのか。そうして海外視察をしてどれだけ内政に活かされるのか。甚だ疑問である。
国が傾く一方で昔の感覚のままこのような事を繰り返しているあたり、反感を買って当然なのだがそれすら分からない政治家たち、国民の声はどれだけ聴こえているのか。というか渡航費実費支給って何だよ。ファーストクラスとビジネスクラスで行くんですか?たんまり議員報酬もらって文書交通費ももらってるんだから自腹で行け自腹で。
クラファンで支えるのが適切なのか
公的機関がクラウドファンディングをやること自体には反対はしない。が、果たしてそれは本当に正しい道なのだろうか。税金やら何やらで搾取されて手元に残ったお金でなんとか暮らしている国民、そもそも予算を回してもらえない公的機関。どちらも悪政の被害者なのだが、その被害者同士でお金を融通し合えと?
クラウドファンディングで支えると言うことは、裏を返せばそれで支えきれなくなったら終わりという事でもある。毎年クラファンをやってそれで持つだろうか。それで持ちこたえたとして、そのうち政府は公的機関の運営予算にクラウドファンディングをアテにするようになるだろう。公的機関の予算のあり方としてそれが正しいと言えるのか。そもそもクラファン自体は民間事業であり、100%が募集をかける側に入る訳ではない。手数料として数%だかはクラファン実施業者に渡る。公的機関の予算調達をクラファン業者に斡旋するかわりに献金を、といういつものパターンが出来るのは時間の問題だ。
国立科学博物館のクラファンのサイトを上に貼っておく。実施しているのはReadyfor株式会社。
政府はシロアリのような企業にありとあらゆる公共事業で中抜きをさせるのに忙しい。ただ税金をムダにし続けている。何の役にも立たない業者や役所に回す税金はあるくせに、国立科学博物館のような場所には回す金が無い。こども家庭庁なんてものを作っても教員の労働環境改善には使われない。どうしてそんなろくでなしの作ったツケを国民が、公的機関が払わなければいけないのか。
今年2月、国立大学である東京藝術大学が経費削減のためとしてピアノを売却するというのがニュースになったのは記憶に新しい。
(リンク切れ対策:記事題「”経費削減”東京藝大がピアノ売却へ 「電気代高騰等の影響で維持費かかるピアノを...」)
国立博物館がクラファンでもどうにもならなくなったら、価値の低い順に展示品を売りに出すという事になるのだろう。いずれ国立博物館からは展示できるものが無くなるかも知れない。
それも純粋に国が傾いているからではなく政府・政治家の無能さゆえ、それを選ぶ国民の愚かさゆえにあらゆる面において貧しくなり、没落していく。今回のこのニュースはその一端でしかない。藝大のピアノ売却は序章でしかなかった訳だ。何とも情けない。本来は学問の分野にもしっかりとお金を回すべきなのに、過去最高の税収は一体どこへ消えているのか。思えばiPS細胞の山中教授だってHPで寄付を募っていた。ノーベル賞を取った科学者ですらそのような状況に置かれるこの国の科学、先は暗い。
国会議員の海外視察も人数を大幅に削減すればいいではないか。その予算を国立科学博物館に回せばすぐに目標達成だ。
余談:安倍氏の国葬、参列者黒塗り
(リンク切れ対策:記事題「安倍氏国葬、氏名の74%黒塗り 著名人、元議員ら不開示)
話は変わるが安倍元総理の国葬、内閣府の招待名簿などの情報公開請求に対して74%もの氏名が黒塗りとなっている。一体どうしてこのような情報すら黒塗りする必要があるのか。理解に苦しむ。ここから垣間見えるのは、いかに今の政府が情報開示に消極的であるかだ。
民主主義国家において情報の透明性は重要である。国民が政治家とその仕事の是非を判断するためには、そもそも判断材料が無ければお話にならない。政府や政治家の活動にかかる情報は国民がジャッジできるように開示されなければならない。それが現実には行われていない。
パリ”観光”旅行の件も、本当に国民に恥ずかしくない仕事をしているのであればあらゆる情報を開示し、「私たちはここまでやったんです」と言うべきだが、現実はそうではない。森友学園問題も結局はうやむや。一体どこまで後ろめたいことだらけなのか。
「美しい国」ではなく、もはや「恥ずかしい国」