ヤマネコ目線

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ちら見えする大阪維新の会の本性

 大阪府は2025年の万博に、府内の4歳~高校生全員を無料招待する方針を固めた。無料招待は1度だけではなく複数回としている。

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「高校生まで無料」とは違う

 ここで気をつけたいのが「高校生まで入場無料」とするのでは無く、あくまで”無料招待”であるという点。記事でも大阪府は複数回、無料招待を想定していますが、1回目については府が費用を負担します。」としている。では2回目以降はというと各市町村が費用を負担するとしている。

 それも招待する区分があり

  1. 府内の小・中・高(私立含む)の学校に在籍している子ども
  2. 府内在住で府外の学校に通学している子ども
  3. 4歳児~の未就学児
  4. 高等学校に在学しない18歳未満の子ども

 これらのうち1は入場券を各学校へ配布して学校行事として実施、2以下はそれぞれの家庭からの申請にもとづいて入場券を配布するとしている。市町村が実施する場合は入場券が「夏パス」、「通期パス」、「一日券」の三種類を用意するらしい。

 こんな事をするならば、最初から入場の条件に「18歳未満無料」とすれば事足りる。なぜそれをあえてこのような事務的負担の大きい制度にするのか。それは背後にパソナのような事務作業の受託で中抜きで儲ける企業がいるからなのだろう。大阪維新の会自民党と大差なく、その辺りのシロアリ企業への利益供与には抜かりない。行政にかかる業務をパソナに丸投げしているような話は掘れば掘るほど出てくる。

 1に関しては何か見覚えがあると思ったら東京五輪、コロナ禍まっただ中で学生を動員したのが記憶にある。コロナはマシになったとはいえ、「子どもに体験をさせてあげる」という体の良い口実で万博の空気を少しでも盛り上げたい感じが透ける。

大阪維新のなりたち

 そもそも大阪維新の会はどのような成り立ちであったか。府庁舎移転をめぐる対立から自民党府議の中より新たな会派、自由民主党 維新の会」が登場し、そのメンバーや大阪市議・堺市議らを引き連れて橋下徹氏によって2010年に結成された。当時のものらしきサイトがまだ残っていたので貼っておく。

http://www1.odn.ne.jp/imai/life/newpage13.html

 その後、自民党民主党からも維新に加わった政治家がいる。橋下徹氏によって束ねられていただけで、維新の会は根本的には自民党なのではないか。パソナとの関係が続いているのは必然と言える。これがあたかも自民党とは別の野党の一角という顔をしているのだからたまらない。実質的に自民党の別働隊と見るべきだ。憲法改正に対する姿勢にもそれは現れている。

 良くも悪くも強いリーダーシップを発揮していた橋下徹氏が引退した今、一段とそのような感じが強まっているように思う。個人的に維新に抱くイメージは”ジェネリック自民党”、”政府自民党太鼓持ち”。政治団体の質としては同等未満に思う。

美術品保管問題

 それとは別に、地下駐車場に約2.2億円分の美術品をずさんな方法で保管していた件にも触れておきたい。

news.yahoo.co.jp

 この問題の解決のため、大阪府はアート作品活用・保全検討チームとやらを組織している。その初会合を報じた記事が以下。

mainichi.jp

(リンク切れ対策 記事題「『デジタルで見られるなら処分も』地下駐車場 美術品で大阪府特別顧問)

 この「デジタルで見られる状況にしておけば、(立体作品の)物理的な部品は処分してもいいというのはありえると思う」と述べたのは大阪府特別顧問の上山信一氏である。氏は維新の会で政策顧問や政治塾講師などもつとめている。

 ここから垣間見えるのは学術を無駄なもの、特に文化芸術をゴミ同然に扱う意思ではないだろうか。それは自民党とも共通しているように思う。最近では国立科学博物館が運転資金の不足でクラウドファンディングを実施していた。「そういう所にはお金(税金)を回さない」という意思を感じる。自分たちが行っているあまりにもムダが多い税金の使い方を棚に上げて、「文化芸術はムダだ」と言うのだ。そうした意思が無ければ、国立の芸術大学が資金難でピアノを売りに出すようなことも無かっただろう。

 結局、維新も「身を切る改革」などと口ではそれっぽいことを言っているが文書交通費は解決せず、国会議員宿舎の家賃値下げにも異論は出さなかった。彼らは我々が本当に切って欲しいムダは削ろうとしない。彼らの言う経費やムダの削減とは文化芸術などの豊かさを削ることなのだ。そういう部分が透けて見えている。彼らのような団体に今よりも権力を握らせればどうなるか。国立科学博物館が展示品をスキャンしてから売りに出すかも知れない。

余談:安易な「無償化」を歓迎しない

 政治家は人気取りのために無料招待だの無償化だの言ってのけるが、別に無償化したところでその対象サービスにかかる費用がタダになる訳ではない。教育の無償化と言っても教員が全員ボランティアになる訳ではない。当然、そこでかかる実際の費用をどこかから調達する必要があり、それは往々にして増税となって返って来る。無償化とは言い換えれば「税金化」なのである。

 ただでさえ重い税・社会保険料負担で苦しんでいるところに、人気取りのための無償化政策でさらに負担を増やされるなどとんでもない。払える者が払えば良いではないか。特に子育てに関しては。給食費を払わない/払えない、公立の学費も払えないで子どもを作るのがそもそもの間違い。

選挙で自民以外に入れるとしても維新は無い