個人事業主の方とインボイス制度について軽く話をしていて、相手の口から「でも、消費税は平等だからね」という言葉が出て少々残念だった。別に間違ってはいないのだが、そこには「公平」のニュアンスが含まれているようにも思われる。公平という意味合いも含んで消費増税を肯定しているなら、それは間違いだ。その辺りを意識している人は存外少ないようにも思う。
消費税の性質
消費税そのものに関してある種、＋なイメージを持っている人もいる。しかし何度か書いているがそれは誤りと言うべきか、確かに消費税率は誰にでも平等ではある。しかし公平ではない。消費税は逆進課税である。*1
このようなイラストを見たことが無いだろうか。言ってみれば左が「平等」で右が「公平」だ。背の高さに関係なく１人ずつ踏み台を与えるのが「平等」。背の高さに応じて踏み台を分配するのが「公平」。消費税は左側、「平等」に該当する。決して「公平」ではない。時に弱い者に対して厳しく、強い者をより利するのが「平等」である。
さて、たとえば年収1,000万円の人が10,000円のものを買って消費税1,000円を払うのと、年収200万円の人が同様に消費税1,000円を払うのとで、その1,000円の重みは同じだろうか。
大人が5,000円のものを買って消費税500円を払うのと、子供が同様に500円払うのとで、500円の重みは同じだろうか。
誰が何を買っても税率10%(軽減税率なら8%)を追加で支払う、という点では確かに平等であるし、公平な印象を受けるかもしれない。しかし「平等」と「公平」は違う。消費税は相対的にお金を持っていない人の方が負担が大きくなる。
それが政治家連中が進んで消費増税に頼りたがる理由。彼らや彼らと関係の深いお金持ちの皆さんにとっては、上げられてもあまり負担を感じない都合の良い税金。苦しむのは下々の者だけ。
果たして、このご時世にそうした逆進課税をどんどん引き上げることを許して良いのだろうか。フードバンクがパンクし、全国各地でこども食堂が大流行し、10代の子供から「アフガキ」だのといった言葉が出るような現状で再分配を促進し格差を是正するどころか、その真逆をするばかりで格差を拡大させ続ける政府を、我々は許して良いのか。良い筈がない。このままでは少子化云々以前の問題になる。日本政府は政府としてするべき事をなしていない。他国への支援などしている場合ではない。
インボイス制度の本質
何度か記事にしているが、インボイス制度はざっくり言えば実質的な消費増税である。「ワタシには関係ないわ～」と思っている人間がいまだにちらほら居るが、１消費者として関係の無い人間などほぼ居ない。1,000円の買い物をして追加で100円を支払うのは誰か？日本に住んでいて消費税を払わないで済む人はどれだけ居るだろう。
詳しくは下の記事を読んでいただくとして、まず「インボイス」という横文字からして誤魔化しのための名称でしかない。これを日本語で書くなら「消費税をもっとキッチリ取りましょう制度」。バカみたいだが本質的にはこれ。これをストレートに書いてしまうと反発を生むので、賢い財務省の官僚がいやらしい制度を考えるのに特化した頭を捻って名付けたのが「インボイス制度」。それにまんまと騙され、免税事業者という敵を作ることでまんまとヘイト誘導されて自分の首を絞めさせられているのが日本国民。
今まで消費税が免除されていた所に消費税がかかる、よりキッチリ取られるようになる。となれば、そういった所で10%のコストアップが発生することになる。となれば、その分の費用は最終的にどこへ回って来るか。１消費者としての我々に回って来る。ただでさえ給与が上がらない上に物価高のこのご時世に、である。インボイス制度が本格的に始まれば、廃業する業者や値上げを行う業界が相次ぐだろう。中身もタイミングも最低最悪の悪法といえる。
これだけは言いたい
よほどの大金持ちで「消費税なんかいくら上がろうが関係ないわ」、と言う人でない限り、我々が消費増税を支持し続けるべき理由は無い。「財政のためには仕方ない」などと受け入れる必要も、「お上の言うことだから」と諦めることもすべきで無い。そんなものはただの言い訳であって、実際には金持ちや政治家にとって都合が良い税金だから上げられているにすぎない。これ以上の消費増税を我々は許すべきでは無い。
なーにが「財政健全化のための増税」だ。まずパソナや電通のようなシロアリに吸わせる蜜を無くせ。コロナ関連の業務委託で公金チューチュー、五輪談合で公金チューチュー。無くす必要のない紙の保険証を無くすのもシロアリのため。現金ではなくクーポンを刷って渡すのもシロアリのため。本当、大した「美しい国」だよ。
「シロアリからすれば」美しい国なのだろうな。
